「17歳のカミングアウト」youtubeでゲイであることをカミングアウトした歌手の話

youtubeには、自分のセクシュアリティについて語る動画がたくさんupされています。
今回はその中から、オーストラリアの歌手でyoutuberのトロイ・シヴァンの動画を紹介します。

17歳のカミングアウト

オーストラリアの歌手でyoutuberのトロイ・シヴァンは2013年8月7日に自身のユーチューブチャンネルでゲイであることをカミングアウトしました。

その動画は2016年10月時点で700万回以上再生されています。
トロイ・シヴァンが動画でカミングアウトをした日のちょうど3年前、2010年8月7日に彼は家族に自分がゲイであることを伝え、17歳になりネット上でリスナーにも公言するという形になりました。

トロイ・シヴァンってどんな人?

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参照:https://www.instagram.com/troyesivan/

南アフリカ出身、オーストラリア育ちのシンガー・ソングライター。
子供の頃は俳優として活躍し、『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』(2009)ではヒュー・ジャックマン演じる主人公の幼少期を演じた。
2014年1st EP「TRXYE」リリース、66か国のiTunesで1位、全米ビルボード・アルバム・チャート5位、TIME誌の“2014年最も影響力のあるティーン”の一人に選ばれる。

トロイ・シヴァン | Troye Sivan – UNIVERSAL MUSIC JAPANより
http://www.universal-music.co.jp/troye-sivan/

 

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トロイ・シヴァンがカミングアウトした理由とは?

トランスジェンダーは大学で「通称名」を使えるのか?

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トランスジェンダーやXジェンダーの人たちが日常生活で要請していることのひとつに、「身体の性別に基づいて付けられた名前ではなく、自分のセクシュアリティに準ずる名前(通称名)を使って生活がしたい」というものがあります。

さて、就活を控えた学生にとって、身分証明書と言えば学生証です。学生証にも通称名を使いたい、という需要はもちろんあると思います。
大学では通称名の使用についてどのように対応しているのでしょうか。

通称名を使える大学も多い

文部科学省は、「(トランスジェンダーの通称名使用に関して)通知は出しておらず各大学での対応」としており、現状では各大学がそれぞれ対応しています。

今年1月には、北九州市立大が性同一性障害(GID)の学生の要望を受け、「心の性」に沿った通称名使用を認める制度を始めました。

この他にも早稲田大学など、通称名が使える大学は増えてきており、明確に制度がなかったとしても、相談をすれば対応してくれる大学も多いようです。

改名をするときにも通称名は重要

現在は通称名だけれど、いずれ戸籍も変更したいと考えているトランスジェンダーにとって通称名を使うことは重要です。

なぜなら、改名の手続きを行うためには通称名を日常的に使用していることが必要だからです。

手紙の宛先や職場での名札などがその一例ですが、大学での通称名の使用はそれに代わる大きな証拠になることができます。

学生証などに明記されていれば、準公的な身分証として通用していることになります。

通称名に変更するだけでは解決されない問題も

名簿や学生証を通称名に変更するだけでは解決されない問題も残っています。

名簿の名前は通称名だけれど、性別欄が身体の性別のままになっている場合などです。
下記のような事例もあります。

T: ある授業では、先生がコミュニケーションの一環として名簿でF(女性)と書いてある人に「彼氏はいるの?」というような質問で場を和ませることがありました。
そのクラスで僕は男子生徒として過ごしていたのですが、名簿にはF(女性)と書いてあるので、先生からは「彼氏いるの?」と聞かれました。

参照:早稲田大学 一人ひとりが輝くキャンパスへ WASEDA LGBT ALLY WEEK開催にあたって
https://www.waseda.jp/inst/diversity/news/2016/08/23/1748/


この他にも、学生証を通称名に変えてもデータベースが変更されておらず、学期が変わる毎、授業が変わる毎に教授に通称名の説明をしなければならなかったといった事例もあります。

トランスジェンダーやXジェンダーの学生にとって、何度も自分のセクシュアリティを説明しなければならないのは精神的負担も大きく、また、アウティングの問題にもつながってしまう危険性があります。

名簿や学生証の名前を通称名に変更するだけでは充分ではなく、性別欄もセクシュアルティに準じて変更する、もしくは性別欄自体をなくす、といった対応も必要です。

また、上記のように担当教授が無意識にアウティングにつながるような発言をしてしまわないよう、大学側がLGBTに関する勉強会を開くといったことも必要です。

LGBTの認知が高まると、ホモフォビアも増える?

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LGBTの存在が認知され、LGBTは身近な存在であるということが近年理解されるようになってきています。
その一方で、このような懸念も存在しています。

「LGBTの認知度が上がれば、それに対するホモフォビア的迫害も強くなるのではないだろうか」

この問いは、果たして本当に正しいのでしょうか。

ホモフォビアとはなにか

ホモフォビアとは、ギリシア語の「homo-(同じという意味。ホモセクシュアルもこの言葉に由来する)」と「-phobia(恐怖の意味を表す接尾辞)」からきている言葉であり、「同性愛者や同性愛に対する嫌悪感や恐怖」を意味します。

このホモフォビアの根本は、大きく2つあると考えられています。

1つは、宗教的な理由から。
信じている宗教が同性愛を禁じているために、ホモフォビア思想を持つ場合があります。

もう1つは、生理的嫌悪からホモセクシュアルを否定すること。
これは「よく分からないから」などの知識不足からくるもの、「興味があるが、それを認めたくない」という防衛機制からくるもの、「自分が性の対象になることが怖い」といった危機感からくるものがあります。

これらの理由はいずれも根深いもので、簡単には解消できないものだと言えるでしょう。

日本におけるホモフォビア

日本は海外よりも過激なホモフォビアが少ないような印象を受けますが、日本にも、ホモフォビアは存在します。

日本で特によく見られるのが、「無意識の」ホモフォビアです。

・「オカマ」「ホモ」などの表現を使う
・教師や親が子供に「男らしく」「女らしく」と言う、もしくはそのような行動を強いる
etc…

これらは、ホモフォビア的でありながら、ホモセクシュアルやLGBTへの明確な悪意をもってされるものではありません。
このような「ホモフォビアもどき」とも言えるようなものが、多く見られる傾向があるように思われます。

LGBT浸透による、ホモフォビアへの影響

LGBTの存在が世間に広まることで、ホモフォビアへの影響は少なからずあるでしょう。

声を上げることで、潜在的なホモフォビアの人を刺激してしまうのではないかという声も聞かれます。
もちろん、身近にいるLGBTの人々の存在を受け入れられない人もいるかもしれません。

しかし、LGBTの認知度が高まり、理解が深まることで、改善される可能性があるものがあります。

それは、先ほど述べた、「意識されないホモフォビア的文化」です。

例えば、「オカマ」「ホモ」といった言葉がLGBTの人たちを無意識に傷つけてしまう可能性がある、と知れば、改めようとする人々が出てくるでしょう。

LGBTの認知度が高まるということは、決して悪いことではありません。
LGBTとホモフォビアの共存できるところを探していくことも、今後可能になってくると思います。

同性カップルは「家庭」ではない?台湾大学の試験問題の記述が問題に。

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台湾の名門、台湾大学の筆記試験の問題のとある記述が問題になっています。

家庭は、異性カップルで構成されるもの?

今年の3月に行われた台湾大学機械学部の筆記試験の問題文の中に「家庭は、1人の男性と1人の女性によって構成される」という記述がありました。

この記述は、家庭は異性カップルで構成されることを限定しているように捉えられます。
そのため、日本の文部科学省にあたる台湾教育部は、同性カップルなどセクシュアルマイノリティの人たちなどの「性別の平等に反する」と批判しました。

その結果、台湾大学には3万元(日本円で1000万円弱相当)の罰金が科されました。

なぜ問題になったのか

台湾教育部の顔宝月氏は「『性別平等基本法』第13条によって、学校は生徒を募る際、性別や性差、性自認や性指向によって区別をしてはいけない。国際的にみて婚姻は男女1人ずつ、一夫一妻とは限らない、性の多様性から見て問題である」と述べています。

台湾では法律で同性婚は認められていませんが、世界的な目線で批判をしています。

日本でも起こっている

この問題は、日本における家庭科や保健の教科書の問題と似ているように感じます。

今までの家庭科の教科書では「家庭は父母と子どもで構成されるものである」、といった内容があったり、保健の授業では「子どもは思春期になると異性を意識し始めます」、といったことが書かれていました。

実際に学校でこの内容に基づいた授業を受け、絶望的な気持ちになった、という同性愛者の方の声も多く聞いたことがあります。

現在では、性の多様性を認めるべきである、といった観点からLGBTの説明が教科書の中に書かれていたり、同性カップルの紹介をしているものもあります。

日本で同性婚合法化をめぐる際には、憲法の「婚姻は、“両性”の合意のみに基づいて成立し」という記述がネックになっているとよく言われています。

その国、地域での法律での規定がどうであれ、LGBTなど今までないがしろにされてきた人たちを考慮してどんどん内容が変わっていくのはとてもいいことですね。
教科書や試験問題等の文面だけでなく、全てのものが異性愛前提でなくなっていくことを願います。

koasenseこあせんせー

 

この記事を書いた人

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こあせんせー
早稲田大学法学部卒のストレートアライ。
時事ネタ、法律関係が得意。趣味は将棋とモノポリー。

兵庫県宝塚市のパートナーシップ制度ってどんなもの?

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兵庫県宝塚市の同性パートナーシップ制度は、東京都渋谷区、世田谷区、三重県伊賀市に続いて全国4例目として導入されました。
ひとくくりに「同性パートナーシップ制度」といっても、自治体によって内容は様々です。
では宝塚市の制度はどのようなものなのでしょうか。

同性カップルを公的にパートナーとして認める

宝塚市の同性パートナーシップ制度は、LGBT(性的マイノリティ/セクシュアルマイノリティ)への支援策の一環です。法律上の効果はありませんが、誰もが自分らしく暮らせるまちづくりを目指すして導入されました。

宝塚市が発行するのは受領証

宝塚市のパートナーシップ制度は、「宝塚市パートナーシップの宣誓の取扱いに関する要綱」という要綱に定められています。
同性カップルがパートナーシップを宣誓し、それが受領されると受領証が発行されます。

対象者

  • 双方が20歳以上であること。
  • 双方が市内に住所を有すること又は一方が市内に住所を有し、かつ、他の一方が市内への転入を予定していること。
  • 双方に配偶者がいないこと及び当事者以外の者と同性カップルでないこと。

手続きの方法

宣誓をしたい日時を市と調整した上で市役所に行きます。市職員の前で宣誓書を記入し、市長に提出します。宣誓書は人権男女共同参画課にて受領され、受領証が発行されます。

(宣誓の方法)
第4条
パートナーシップの宣誓をしようとする同性カップルは、市職員の面前においてパートナーシップ宣誓書(様式第1号)(以下「宣誓書」という。)に自ら記入し、市長に提出するものとする。
2 パートナーシップの宣誓をしようとする同性カップルは、宣誓する日時等について事前に市と調整するものとする。
3 宣誓書は、人権男女共同参画課において受領するものとする。
4 同性カップルの一方又は双方が宣誓書に自ら記入することができないときは、当該同性カップ
ルの双方の立会いの下で他の者に代書させることができるものとする。

「宝塚市パートナーシップの宣誓の取扱いに関する要綱」より
http://www.city.takarazuka.hyogo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/016/495/a.pdf

▼実際の書類
宝塚市宣誓書
宝塚市受領証

申請に必要な書類

渋谷区のパートナーシップ制度のように、公正証書等は必要ありませんが、本人確認のために以下のいずれかを提示する必要があります。

  • 住民基本台帳カード(顔写真が貼付されたものに限る。)
  • 個人番号カード
  • 旅券
  • 運転免許証
  • 前各号に掲げるもののほか、官公署が発行した免許証、許可証又は登録証明証であって、本人の顔写真が貼付されたもの

パートナーシップ宣誓のメリット

受領証の交付を受けることで、これまで異性カップルの夫婦や家族にしか認められていなかったことが、認められるようになります。

  • 市立病院にパートナーが入院した際に連帯保証人になれる
  • 市立病院での手術の承諾書にサインできる
  • 市立病院で病状の説明を受けることができる

また、宝塚市では市営住宅への応募できるようにするため条例の改正を検討する、民間の不動産業者に同性カップルが入居できるよう働きかける、といった動きを引き続き行っています。

問い合わせ先
兵庫県宝塚市 人権男女共同参画課
Tel 0797-77-9100

プライドパレードってどんなことするの?

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日本でも開催される「プライドパレード」。
今回はその起源や、そもそもプライドパレードの意味などをお伝えします。

プライドパレードの起源

プライドパレードの起源は、1969年7月28日、ニューヨーク・マンハッタンの「ストーンウォール・イン」というゲイバーを発信として行われた警察への抵抗運動です。

当時警察によるゲイバーの捜索は日常茶飯事で、そこを訪れる客たちはそのことに対してフラストレーションや怒りをため込んでいました。
そして、ついにその怒りが沸点を超え、大規模な暴動に発展したのが「ストーンウォールの反乱」です。

その運動から、LGBTの人々は、もっと声を上げていくべきであり、自分たちはLGBTではない人々と平等であるべきであるとする自尊心を持ちました。その自尊心は、やがて暴動ではなく「パレード」という形での意思表明を生み出していくのです。

プライドパレードとは、なにをするのか

ではプライドパレードとは具体的にどのようなことをするのでしょうか。

その内容について、今年の5月に開催された「東京レインボープライド」を例に見てみましょう。
「東京レインボープライド2016」は、「パレード」と「フェスタ」、そしてその前後を含んだ「レインボーウィーク」によって構成されています。

パレードでは、「フロート」と呼ばれる山車が先導し、参加者たちが新宿・原宿の通りを音楽とともに行進します。
フロートの上ではドラァグクィーンのパフォーマンスなどが行われ、皆で盛り上がりながら行進していきます。

フェスタでは、LGBT当事者やアライによるスピーチや、パフォーマーによるステージなどが行われます。
イベント会場ではLGBT関係団体や各国の大使館によるブースが出展され、イベント会場でさまざまな情報を発信します。飲食ブースも設置され、食事をしながら当事者やアライが語り合うことができます。

レインボーウィークの期間中は、イベント会場以外の協力店舗や団体がイベントを開催しています。広い地域で行われているので、イベント会場とはまた違う人と出会い、意見を交換することができるかもしれません。

日本のプライドパレード

東京以外でも、プライドパレードは東京、北海道、京都、兵庫、大阪、福岡、愛知、沖縄など、日本各地で開かれています。
大都市を中心に、北から南までまんべんなく行われていて、今後も開催する都市は増えていくと予想されます。

また、プライドパレードにおいて深刻なのが、協賛企業や支援団体が少ないことによる資金不足です。東京のプライドパレードも、過去に資金不足で中止となってしまったことがあります。

プライドパレードの目的は当事者同士が交流することと、理解者を増やすことです。パレードが盛り上がることが、次の支援者を募ることにつながります。その盛り上がりの一端を担うために、ぜひ一度参加してみてはいかがでしょうか。

同性愛は病気なの?後編 LGBT当事者orLGBTアライによるレポート シリーズ

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LGBT当事者もしくはアライによる「セクシュアリティ」に関するレポートを紹介するシリーズ。
今回は、「同性愛が病気か」というテーマのレポートです。

前編はこちら「同性愛は病気なの?前編」

自然主義的誤謬

大切なのが「自然主義的誤謬」という哲学の領域における考え方です。たとえば著名なオランダ人動物行動学者のフランス・ドゥ・ヴァールはその著書『利己的なサル、他人を思いやるサル―モラルはなぜ生まれたのか』(草思社)の中で次のように述べています。

自然から倫理規範を引き出そうとするのは,とても危険なことだ。
生物学者は物事の成り立ちを説明したり、場合によっては人間の性質を詳しく分析するかもしれないが、行動の典型的な形や頻度(「正常」かどうかを統計的な意味で判断する)と、行動の評価(道徳的な判断)のあいだには、確かな関連性などないのである。

自然から何らかの規範を引き出そうとする試みは、「自然主義的誤信」(引用者注:「自然主義的誤謬」のこと)と呼ばれており、いまにはじまった話ではない。
物事の状態を表す「である」を、物事のあるべき姿を表す「であるべきだ」に移しかえることは不可能なのだ。

『利己的なサル、他人を思いやるサル―モラルはなぜ生まれたのか』(草思社)
フランス・ドゥ・ヴァール著
pp.69-70

同性愛と生物学

このような考え方は18世紀の哲学者デイヴィッド・ヒュームもその著書『人間本性論』の中で言及していますし,社会学者マックス・ヴェーバーの「価値自由」の考え方にも通じるものです。

確かに今のところ同性愛男性に特有の脳の解剖学的・神経学的特徴は特定されていません。

たとえば,異性愛男性・女性・同性愛男性の間で性差があるとしてS. LeVayにより報告され注目された脳部位として視床下部間質核(INAH:interstitial nucleus of the anterior hypothalamus)の中のINAH3という組織がありましたが、その後W. Byneらによって行われた追試では統計的に有意な差は確認されず、現在に至るまで追試もなかなかあがっていないのが現状です。

しかしながら、こうした生物学的研究の現状をもって同性愛が病気ではないとするのは、同性愛男性に特有の解剖学的・神経学的特徴が見つかったとき再び同性愛が病気だと見なされる危険性を残してしまうことでもあります。

大切なのは何か同性愛男性に特異的な解剖学的特徴が仮にあったとしても、それをもって同性愛が病気であるとか異常であるという結論が必然的に導き出されるかのように考えるのは誤りであるということです。

また、双生児法をその基本的方法論に据える行動遺伝学の研究によって、性的指向の決定に遺伝的要因が関与していることは既に示されていますが、この事実によって同性愛の正常/異常を決定することも同様にできません。(この遺伝子があれば100%ゲイになる,という遺伝子が存在するという意味ではありません。)

そしてこれは同時に同性愛を擁護する際にも注意しなければならないことです。
たとえば時折見かける議論として、動物など自然界でも同性愛は多く存在しているのだから同性愛は異常ではない、というものがあります。

実際、確かに「同性愛」行為はピグミーチンパンジー(ボノボ)やヒツジなど多くの動物で確認されていますが、だからといってその事実によって同性愛は「正常」である、という結論を導くことはできません。
「自然主義的誤謬」を犯しているという点では同じなのです。

先に引用したドゥ・ヴァールの文章にも述べられている通り、ある行動や形質が「正常」か「異常」かを定める倫理的規範が自然から必然的に導き出されることは決してありません。
しかし、こうした「自然主義的誤謬」を犯している議論は、同性愛に肯定的なものも否定的なものも含め世の中にたくさん流布しています。

みなさんも同性愛に関する議論を目にしたとき、それが「自然主義的誤謬を犯していないか」という観点から眺めてみてはいかがでしょうか。

同性愛は病気なの?前編 LGBT当事者orLGBTアライによるレポート シリーズ

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LGBT当事者もしくはアライによる「セクシュアリティ」に関するレポートを紹介するシリーズ。
今回は、「同性愛が病気か」というテーマのレポートです。

同性愛は異常?

2016年6月に博報堂DYグループのLGBT総合研究所によって実施された調査によるとLGBTを含むセクシュアルマイノリティに該当する人は8%にも上るそうです。

セクシュアルマイノリティの人々に対する認知は広まりつつありますが、そうした動きの中で否定的な発言があることもまた事実です。

たとえば昨年11月には神奈川県海老名市議による同性愛は「異常動物」であるとのツイートや、同年12月の岐阜県議による「同性愛は異常」とのヤジが非難を集めました。

こうした事例に象徴されるように、同性愛者を含むセクシュアルマイノリティの人々に対しては、「生物学的」に「異常」であるとの主張によって反発の声が上がることが少なくありません。

同性愛の病理化/脱病理化

同性愛はかつて「病気」として扱われていた歴史があります。
これはジェンダー研究の領域では同性愛の病理化として言及されているものです。この「同性愛の病理化」の歴史は,1987年に米国精神医学会のDSM-Ⅲ-R(精神障害のための診断と統計の手引き,改訂第3版)から「自我不親和性同性愛(ego-dystonic homosexuality)」が削除され,1992年に世界保健機関(WHO)による国際疾病分類 改訂第10版(ICD-10)からも同性愛に関する項目が削除されたことをもって終わりを迎えました。

では、どのような認識に基づいてこうした同性愛の脱病理化の決定はなされたのでしょうか。

もちろん当事者による運動の影響も大きいですが、たとえば分子生物学者の石浦章一氏は『サルの小指はなぜヒトより長いのか』(新潮文庫)という本の中で、「ホモセクシュアルは病気か」という問いかけに続いて次のように書いています。

これ病気の定義になるんですけれども,病気って何かというと,検証可能な病理像がないといけないんです。ある病気だったら,必ず脳のこの場所にこういう症状が出るっていう検証可能なものがなきゃいけないわけです。

…ところが,この検証可能な病理像は,…ホモセクシュアルの人にはない。…つまり,病気という定義には明らかに当てはまらないということで,このホモセクシュアルが病気かっていう議論は,現在ではノーっていうことになっています。

『サルの小指はなぜヒトより長いのか』(新潮文庫)
石浦章一著
pp.240-241

しかしこれで本当に良いのでしょうか?

確かにたとえば男性同性愛に限定すると、現在は同性愛男性に特異的な脳の解剖学的・神経学的な特徴は明確には特定されていません。
その限りでは同性愛が病気として扱われることもないでしょう。

ただ、今後研究が進んで器質的な要因が明らかになったときは,やはり同性愛は病気だということになってしまうのでしょうか?

-後編につづく-

同性婚合法化は出生率低下を招くのか

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同性婚合法化は出生率低下を招くのか

2016年4月18日、産経新聞のネットコラムにこのような記事が掲載されました。

「LGBT差別禁止法に異議あり! 異性愛を指向する価値観に混乱をきたしてはならない」
http://www.sankei.com/column/news/160418/clm1604180005-n6.html

この記事の中で、著者の八木秀次氏は下記のように述べています。

LGBTの人たちへの配慮も彼らが生きやすい社会をつくることも必要だ。
しかし、だからといって彼らの考えを中心として社会を再構築することは別の話だ。
異性愛を指向する大多数の人たちの価値観に混乱を来してはならないし、婚姻はあくまで男女のものであり、それを前提とした制度・慣行も守らなければならない。

基本を譲れば社会は崩れ、少子化も一気に加速する。これは同性婚を認めた米国から得られる教訓でもある。

同性婚と出生率の関係性は薄い?

実際に、アメリカの出生率は、同性婚によって急速に低下しているのでしょうか。
人々が異性ではなく同性を結婚相手として選ぶことで子どもを作ることができず、そのために全体的な子どもの数に影響が出ているのでしょうか。

実は、そのような明確なデータは存在しません。

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出典 http://ecodb.net/country/US/fertility.html

このデータよれば、アメリカで同性婚が全州で合法とされる2015年前からじわじわとアメリカの出生率は低下しています。

アメリカで最初に同性婚が州法で認められたのは2004年ですが、それ以降同性婚を認める州は増えているはずなのに、出生率が上がっている年もあります。

同性婚と出生率が必ずしも関係しているとは言えない状況でしょう。

また、アメリカにおける出生率の低下については、このような見解があります。

中流階級としての家族の生活を守るために働く必要があり、かつてないほど仕事をしている。また彼女たちが暮らす社会では、自分たちの子どもの将来を安泰にするためには、多大な時間と金を投じることが求められる。
(中略)
彼らは時間的にも金銭的にも高くつくため、中高所得社会では少なからぬ寂しさとともに、欲しいだけの子どもを持つ余裕がないとあきらめる女性が増えている。

コラム:米国での出生率低下、その脅威とジレンマ
http://jp.reuters.com/article/tk0571741-column-birthrates-idJPTYE8BA04320121211?sp=true

このコラムでは、出生率の低下について、中流階級女性が自分たちの生活を今の生活圏内で安定させるため、子どもの未来を安定させるために働かなくてはいけなくなったことが原因だとしています。
同性婚が原因ではなく、社会の在り方が変わったことが原因だというのです。

出生率の低下は、先進国を中心に世界中で起こっていることです。それは深刻な問題であることに間違いはありません。
しかし、その原因は同性婚ではないでしょう。同性婚が合法な国でも、そうではない国でも、少子高齢化に悩んでいることには変わりがないからです。

しかし、この記事のような考え方が存在することも確かです。そういった人々に、同性婚が少子化を推し進めるものではないことをどのように説明していけばいいのでしょうか。

その方法を考えることが、日本における同性婚の合法化、LGBT差別禁止法を成立させるための第一歩となるかもしれません。

トランスジェンダーのドキュメンタリー映画「ハイヒール革命!」

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MTFのトランスジェンダーある女優、真境名薫のドキュメンタリー映画「ハイヒール革命」が9月17日に公開されました。

ハイヒール革命は、男性として生まれた真境名ナツキ(本名:真境名薫)が、性の壁を越え女性に生まれ変わり、いかにコンプレックスを豊かな個性に変えていったのか-インタビューパートに少年時代の再現ドラマパートを交えながら描いています

黒いランドセルにモヤッとした違和感

真境名ナツキが性に違和感を感じたのは小学校に入学する時。真黒なランドセルをプレゼントされた時、愕然としたといいます。
説明のできないもやもやした違和感を感じました。

女子の制服を着たくても先生にも理解されない中学時代から一転、高校時代は女子バレー部のキャプテンとして活躍します。

家族のやさしさに支えられ、なりたい自分へ近づくため、女性として生まれかわっていきます。

取材に基づいた再現パート

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取材に基づいて描いた再現ドラマパートも見どころのひとつ。

大河ドラマ「龍馬伝」で子役として注目された濱田龍臣が、ナツキの少年時代を熱演。
今回の役を演じるにあたり、「LGBTについて調べたり、真境名さんに話を聞いた」といいます。インタビューでは下記のように語っています。

―この作品を通して「性」に対する考え方は変わりましたか?

そうですね。劇中に「周りが理解してくれれば障害じゃなくなる」っていうせりふが出てくるんですけど、まさにそのとおりで、周りの人の受け止め方次第なんだなって思いました。

―ナツキさんの場合は、お母さんが最大の理解者となってくれたことが大きいですよね。

そうですね。身近に支えてくれる人がいるっていいなって。力になるんだなって思いました。僕ももし、身近にLGBTの方がいたら、その人の話や意見をちゃんと聞いて自分なりに受け止めてあげたいし、何か力になってあげられたらと思いましたね。

濱田龍臣インタビュー 映画「ハイヒール革命!」で初めての“女の子”役に挑戦
http://www.tvlife.jp/2016/09/09/71579

ハイヒール革命は公開中!

ハイヒール革命は、9月17日から公開しています。
劇場情報は下記サイトより確認できます。

http://highheels.espace-sarou.com/info/

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※記事中の写真は、映画「ハイヒール革命」公式サイトより参照
http://highheels.espace-sarou.com/