ノージェンダーコスメ「SIX」が、店頭販売へ

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http://www.sixtokyo.com/より

8月24日、伊勢丹新宿本店メンズ館に新たな商品が登場しました。モノトーンのシックなパッケージが特徴のその商品は、「SIX」と呼ばれるシリーズ化粧品。LGBTメディア「GENXY」が企画開発した、ノージェンダーコスメです。

ノージェンダーとは主にファッション業界で使われる言葉で、「男女の性差を感じさせない」こと。男女両方の性に向けたユニセックスとは違い、最初から性差を意識していないことを指します。
ノージェンダーは、LGBT当事者であるなしに関わらず、ここ最近若者を中心にトレンドともなっています。

そんな中、今年の3月に登場したのが、ノージェンダーコスメ「SIX」です。
もともと、「男性向けの商品は清涼感が強すぎる、もっと刺激のない化粧品を使いたい」や「女性に限定された可愛らしいものではなく、セクシュアリティを感じさせない商品を使いたい」といった要望は多く、その要望が寄せられたLGBTメディア「GENXY」が企画開発しました。

「SIX」と名前を付けられたそのシリーズ、当初はインターネット上での販売でした。しかし口コミで話題となり、8月24日より新宿伊勢丹での店頭販売が開始しました。

現在のラインナップは、美容水(化粧水と美容液をミックスしたもの)と、洗顔フォーム。どちらもすべて国内産の材料で作られた、高級感のある仕上がりになっています。

かつては女性のものというイメージがあったスキンケアや化粧。しかし現在では体の性に関係なく、多くの人が取り入れています。LGBT当事者だけでなく、自分の好きなようにファッションを楽しみたい、自分を表現したいという需要が増えてきているのです。
ノージェンダーコスメは今後も、需要は高まっていくのではないでしょうか。

渋谷区と世田谷区の「パートナーシップ制度」何が違うの?

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同性カップルの婚姻関係に相当する「パートナーシップ制度」が、2015年に渋谷区と世田谷区で導入されました。
パートナーシップ制度には法的な効力はありません。しかしながら婚姻関係と同等のものとして自治体が証明することで、これまで同性カップルにとっては難しかった同棲や入院時の面会などが認められやすくなります。
では渋谷区と世田谷区の制度にはどのような違いがあるのでしょうか。

条例と要綱の違い

渋谷区のパートナーシップ制度は「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」という“条例”です。条例とは法令の一種で、議会の決議を経て決定されるものであり、守らなければいけないルールです。

世田谷区のパートナーシップ制度は、「世田谷区パートナーシップの宣誓の取扱いに関する要綱」という“要綱”です。要綱とは、事務をする上で必要となるマニュアルのこと。不公平なく、スムーズに事務処理を行うために定められたものです。法令ではないので、法的な拘束力はありません。

発行される書類の違い

渋谷区ではパートナーシップ証明書が発行されます。
これは、同性パートナーシップであることを渋谷区が認めるという証明書です。

世田谷区では受領証が発行されます。
これは、世田谷区に対して自分たちがパートナーシップであることを宣誓し、それを世田谷区が受領するという書類です。

申請費用と期間の違い

渋谷区でパートナーシップ証明書を申請するには、2種類の公正証書が必要です。二人分の書類作成に約8万円の費用がかかります。また、申請から発行までには1週間程を要します。

世田谷区の宣誓には公正証書が必要ないため書類作成費用はかかりません。
宣誓には予約が必要なので事前に世田谷区に問い合わせた上で区役所に行く必要はありますが、受領証は即日発行されます。

パートナーシップ制度に違反した場合の違い

渋谷区の条例には、違反した事業者には是正勧告を行い、勧告に従わない場合には事業者名を公表するといった内容が盛り込まれています。

(相談及び苦情への対応)
第15条 区民及び事業者は、区長に対して、この条例及び区が実施する男女平等と多様性を尊重する社会を推進する施策に関して相談を行い、又は苦情の申立てを行うことができる。
4 区長は、関係者が前項の勧告に従わないときは、関係者名その他の事項を公表することができる。
「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」

一方世田谷区の要綱には渋谷区のような内容は明記されていません。

効力がより強いのは渋谷区、手間・費用がかからないのは世田谷区

渋谷区のパートナーシップ証明書は、条例に基づいたものであることから、世田谷区の受領証と比較すると効力がより強いと言えます。
しかし手間や費用を比較すると、世田谷区の方が手軽に手続きをすることができます。

私の初めての彼女

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LGBT当事者もしくはアライによる「セクシュアリティ」に関するレポートを紹介するシリーズ。
今回はアメリカ留学中の体験からセクシュアリティをより意識するようになったという方のレポートです。

BUG=卒業するまではバイセクシュアル

「BUG」という言葉をご存知だろうか。
この言葉はBisexual untill graduationの頭文字をとったもので、直訳すれば「卒業するまではバイセクシュアル」である。英語圏、特にアメリカの大学生の一部が使う言葉である。

日本では寮生活をしている大学生は少数だが、アメリカでは大半の大学生が大学内の寮に入る。
寮に入ると新しい出会いもなく、異性との関わりが極端に減る。そういった生活を続けていると、本来はストレート(異性愛者)ではあるが、同性に対して恋愛感情を持ち始めたり、同性で性的欲求を満たそうとする人たちがいる。このように大学卒業の間だけバイセクシュアルとして過ごしている人のことを「BUG」と呼ぶ。

かくいう私もアメリカ留学中、何か月も寮で過ごしていたためか、パーティーでレズビアンの人にキスを求められ応じてしまったことがある。
同性を好きになるという感情はなかったが、地味な寮生活に刺激がほしかったのか、それから何度かそういう事があった。

夏休みに入る前に、一人の女性と出会った。
彼女は優しくユーモアがありすぐに仲良くなった。周りの友人から「お似合いのカップルだね」とよく言われるようになったが、「仲良しだね」程度の意味で言われているのだと思っていた。

しかし、相手の様子が以前と違ってきていた。もしかして私たちはカップルとして付き合っているのだろうか?そう考えるようになった。しかし相手に聞くのも失礼な気がしてしまい、もやもやした思いを持ちながらもそのまま夏休みに入った。
夏休み中に届く彼女からのメールは嬉しかったし、早く会いたくなった。

夏休みが終わったある日、私は彼女の友達何人かの前で、「私のgirlfriend」だと紹介された。
やはり私たちは付き合っていたのか…。

いざ付き合っていると思うとメールの返信が遅いことにやきもきしたり、他の人と二人でいることにも嫉妬したり、彼女のルームメイトをライバル視したり…、とにかく私は面倒な彼女だった。

しかし、帰国の日が近づくにつれ、どんどん気持ちが冷めていった。特に彼女から別れは告げなかったが、寄せ書きには「またあなたと一緒になりたい」と書かれていた。

彼女からは「帰国前に会いたい」というメールが届いたが、返信はしないままに帰国の日を迎えた。

帰国後、私は彼女のFacebookで新しいガールフレンドらしき人ができたことを知ったが、特別何も感じることはなかった。あれ程思っていたのに大学を出たとたんに気持ちが消えてしまったのだ。

これが私が体験した、典型的なBUGの一例である。

私は正しくフェミニストだったのか

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LGBT当事者もしくはアライによる「セクシュアリティ」に関するレポートを紹介するシリーズ。
今回はバイセクシュアルであることを自認している方のレポートを紹介します。

私は正しくフェミニストだったのか

私はフェミニストである。
つい数年前まで、私は度々そう自称していた。
ここで言う「フェミニスト」とは近現代で使われるようになった「女権拡張主義者」の意味ではない。本来の意味である「女性を特に尊重する、女性を大切にする」という意味で用いる単語である。

自分がフェミニストであると自覚したのは小学校高学年のときだった。
女の子に優しくしたい、守ってあげたいと思う気持ちが他人よりも強いらしいということに気付いた。そして、そのような人をフェミニストと呼ぶことを知った。

また、中学生になる頃には、どうやら自分はバイセクシュアルな部分があり、恋愛対象として女性にフェミニズム思想を持っているのではないかと考えるようになった。
フェミニストを自称するようになったのは、その頃である。

しかし、現在の私はフェミニストであると自称していない。
自称することを辞めた理由は一つ、高校の同級生に言われた言葉に引っかかってしまったからだ。

同級生の彼は言った。
「女なのにフェミニストなの?それって自分も特別大事ってこと?どっちかっていうとナルシストなんじゃない?」

私はその瞬間、二つのことに気付いた。
まず、私は自分をフェミニズムの対象にはしていないこと。
そして私が「女の子だから」という扱いを受けることをとても不快に思うこと。

私はバイセクシャルだが、性自認は間違いなく女である。
スカートに抵抗もないし、小物はピンクを好む。女性に恋をするのも、女の自分としてだ。

フェミニストの私は大切にしたいが、優しくすべき対象の女性に自分は入っていない。
自分自身が女性として丁重に扱われることは拒否してしまう。

この感情は一体どこから来るものなのだろうか。
自分が気づいていないだけで、実はトランスジェンダーなのか。もしくは私の中には男性と女性、二人分の「私」がいるのだろうか。

この問いの答えを、私は未だに持ち合わせていない。同級生の彼に、どのような返事をしたのかも覚えていない。きっと、大したことは答えられなかったのだろう。
だから私は今日も、自分が「正しく」フェミニストであったのかを考えている。

同性パートナーシップ制度ってどんなもの?

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パートナーシップ制度ってどんなもの?

現在日本では、同性カップルの婚姻は合法化されていません。しかし、異性カップルの夫婦のように、婚姻関係を認められたいと願う同性カップルは多数います。
なぜなら同性カップルの婚姻が合法化されていないことで、以下のように様々な弊害が起きるからです。

・病院でパートナーに面会したくても、家族でないため断られる
・同性カップルで同棲しようとしても、入居を断られる(賃貸契約を拒否される)
・パートナーに対する医療行為に「同意」できない
・パートナーの遺産を相続できない
・パートナーの葬儀に参列できない
・パートナーの介護のための介護休業を取得できない

そこで、婚姻とは異なるものの、婚姻関係に相当するものとして、「パートナーシップ」を認める自治体が表れてきました。

パートナーシップに法律上の効果はありませんが、同性カップル、そしてLGBT(性的マイノリティ/セクシュアルマイノリティ)への偏見や差別が少しでもなくなることを目的として導入されています。

たとえば2015年にパートナーシップ証明の発行が始まった渋谷区の場合。パートナーシップ証明書を持つ同性カップルが賃貸契約時に拒否されることがあった場合、拒否をした事業者に対し、是正勧告が行われ事業者名が公表されます。

パートナーシップ制度を導入している自治体

渋谷区

「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」に基づき、男女の人権の尊重とともに、「性的少数者の人権を尊重する社会」の形成を推進しています。
パートナーシップ証明は、法律上の婚姻とは異なるものとして、男女の婚姻関係と異ならない程度の実質を備えた、戸籍上の性別が同じ二者間の社会生活における関係を「パートナーシップ」と定義し、一定の条件を満たした場合にパートナーの関係であることを証明するものです。
(渋谷区 https://www.city.shibuya.tokyo.jp/est/oowada/partnership.html

発行の条件
・渋谷区に居住し、かつ、住民登録があること
・20歳以上であること
・配偶者がいないこと及び相手方当事者以外のパートナーがいないこと
・近親者でないこと

申請には2種類の公正証書が必要です。この書類作成に約8万円かかるため、経済的な負担が大きいです。そのため1種類の公正証書でも可能となる特例もあります。
申請から約1週間で発行となります。

世田谷区

「世田谷区パートナーシップの宣誓の取扱いに関する要綱」に基づき同性カップルである区民がその自由な意思によるパートナーシップの宣誓を区長に対しておこない、同性カップルの方の気持ちを受け止める取組み
(世田谷区 http://www.city.setagaya.lg.jp/kurashi/101/167/1871/d00142701.html

発行の条件
・双方が20歳以上
・世田谷区内に同一の住所を有する、または、一方が世田谷区内に住所を有し、かつ他の一方が世田谷区内への転入を予定している

世田谷区では公正証書の必要はなく、申請をすると即日発行されます。

上記以外にも、三重県伊賀市、兵庫県宝塚市、沖縄県那覇市でもパートナーシップ制度を導入しています。
今後も同性カップルを婚姻関係に相当するパートナーシップとして認める自治体は増えていくとみられています。

私がLGBTアライになったきっかけ

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LGBT当事者もしくはアライによる「セクシュアリティ」に関するレポートを紹介するシリーズ。
今回はあるきっかけでアライになったという方のレポートを紹介します。

私がLGBTアライになったきっかけ

大学三年生の春、一年次から仲の良い友人に突然「女性を好きになることってあるよね」と言われました。
私は人として好きになるという意味だと思ったのですが、彼女は恋愛感情として好きになるという意味だと言いました。そして「おかしなことではないと思っているがこれまで口に出して言うことができなかった」と、言いました。

当時の私はLGBTにまったく知識もなく、関心もありませんでした。ですから彼女の気持ちがわからず、素直にそう伝えてしまいました。

最近、新聞や雑誌などでLGBTというキーワードが登場することが多くなりました。LGBTについて知る機会が増えたことで、当時、彼女が勇気を出して告白してくれたということに気づきました。
この出来事が私のLGBTに関心を持つきっかけでした。

今までの私は、誰が誰を好きになっても自由なのだから、口に出して言う必要性はないと考えていました。
しかし、この出来事をきっかけに、彼女たちは自分は変ではないと思っていても、人と違うことに不安を感じ、ネガティブな感情を持っているということに気づきました。
だからこそ、あえて声に出すことで、ありのままの自分を知ってもらい認めてもらいたい、自分と同じような人と出会い共感しあいたい、と考えるのかもしれないと思うようになりました。

しかし、私はあえて声を出していかなければ不安な社会は変だと思います。人を好きになるもならないもその人個人の自由です。将来的にはLGBTという言葉も聞かなくなり、ごく普通の人だという認識がされる社会になるべきだと思います。