今週の記事まとめ

今週公開した記事をまとめてご紹介します!

同性婚に反対する意見

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は同性婚についてです。
同性愛者はなぜ「結婚」というものにこだわるのでしょうか。
アメリカでは65万世帯に上ったが、彼らにとって結婚とは異性愛者にだけ認められた「特権」であり、法的な婚姻関係にないと、相続や税金などの優遇措置が得られず、不利益を被ってしまうからです。世界では同性婚が徐々に認められつつあります。

https://nijipi.lgbt/life/3797

対物性愛者~「物」と結婚する人々~

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は対物性愛者に関してです。
LGBTという枠からは外れるかもしれませんが、今回は、特徴的な恋愛観をもった人達「対物性愛者」の人達を紹介します。

https://nijipi.lgbt/life/3748

日本の性教育 前編

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は日本の性教育についての前編です。
日本の性教育に関しては、現在も様々な議論が行われています。海外と比較して、「遅れている」と言われることがありますが、その現状はどのようなものなのか。

https://nijipi.lgbt/life/3800

日本の性教育 後編

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は日本の性教育についての後編です。
日本の性教育に関しては、現在も様々な議論が行われています。海外と比較して、「遅れている」と言われることがありますが、その現状はどのようなものなのか。

https://nijipi.lgbt/life/3803

日本の性教育 後編

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は日本の性教育についての後編です。

日本の性教育に関しては、現在も様々な議論が行われています。海外と比較して、「遅れている」と言われることがありますが、その現状はどのようなものなのか。

njipiの記事でも日本の性教育の現状に関しては一度触れています。
https://nijipi.lgbt/life/1739

abemaTVの番組『Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース~』では、性教育をテーマに数人の女性が議論を交わしました。
非常に興味深い内容だったので、ぜひ紹介したいと思います。

「いやよいやよも好きのうち」の風潮

望まぬ妊娠のケースの多さに関係する点で、女性の決定権が男女の関係であまりないことがあげられています。
アダルトビデオの中には、嫌がる女性に対して男性が迫る、というシチュエーションがあります。
もちろん、あくまでアダルトビデオはフィクションの世界なのですが、これが男性に対して、「いやよいやよも好きのうち」という女性への誤解を生んでいる原因になっているのではないかと思います。
そもそも、性行為に対して女性が消極的で受け身であるのがいいこととされている現状に、スウェーデン人の柚井ウルリカさんは疑問を抱いていました。
既存のアダルトビデオに疑問を持った女性たちが、正しい避妊の仕方などの場面がしっかりとある女性向けのアダルトビデオを制作したというのには驚きました。

コメント

女性へのアダルトビデオ出演強要をめぐり、裁判沙汰になったケースが報道されたのはつい最近のことです。
“hentai”が英語圏でも使われていることからもわかる通り、日本のアダルトビデオは海外でも有名です。
有名であることがいいことか悪いことかはわかりませんが、他国に比べて「異常」な部分が存在しているのが理由だと思います。
また性教育に関しては、「未成年での性行為を助長する恐れがある」との理由で禁止されているとのことですが、正しい知識を得られる場がまったくないことのほうが私は問題だと思います。
ノンセクシュアルを自認する方の中には、過去にトラウマになる出来事があったことが理由になっている方もいるかと思います。
そのトラウマの理由として、相手が間違った知識を持っていたから、ということもあるかもしれません。
また本人が間違った知識を持ってしまったことで、嫌悪感を抱いている場合もあるかもしれません。
個人的には、「腐女子」と呼ばれる人向けのコンテンツとしての男性同士の性行為が描かれることが非常に多いのも、間違った知識を得る原因になっているのかと思います。(特に性感染症に関して)
教育に関しては、制度が変わるまでは何も変わることはありません。性に関しては細かな問題が多くありますが、望まぬ妊娠に関しては、はやい時期から正しい知識を得る機会が必要なことは確実です。
すぐに状況が改善することは難しいですが、だんだんとよい方向に向かっていくことを願っています。

日本の性教育 前編

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は日本の性教育についての前編です。

日本の性教育に関しては、現在も様々な議論が行われています。海外と比較して、「遅れている」と言われることがありますが、その現状はどのようなものなのか。

njipiの記事でも日本の性教育の現状に関しては一度触れています。
https://nijipi.lgbt/life/1739

abemaTVの番組『Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース~』では、性教育をテーマに数人の女性が議論を交わしました。
非常に興味深い内容だったので、ぜひ紹介したいと思います。

学校で性行為について教えられない現状

現在日本の教育現場においては、「性行為」「セックス」と言った言葉を使うことが禁止されています。
番組では実際に避妊について生徒に話をした教師が、PTAからのクレームで退職まで追い込まれたケースが紹介されていました。
学校現場での性教育が実質的に不可能なことから、インターネットなどから子どもたちは性に関する間違った知識を得ていると、番組内では指摘されていました。

間違った知識が望まぬ妊娠の原因になっている

学校で正しい知識が得られない子どもたちにとって、アダルトビデオが情報源になっています。
しかし、アダルトビデオでは正しい避妊方法や感染症予防に関する指導はほとんどと言っていいほどありません。
この現代の「AVが教科書になっている」現状が、性感染症リスクが高まっていることや望まぬ妊娠があることの原因になっていると指摘されています。
とくに望まぬ妊娠に関しては、膣外射精であれば妊娠しないという誤解が広まっている現状があります。
番組内には避妊具メーカーの社員の方も登場していて、いくつかの避妊方法に関する議論も交わされていました。
40代の妊娠の多さや、11歳での妊娠があるということにも驚きましたが、個人的には妊娠した女性の中の36%が望まぬ妊娠だったと回答していることです。
学校教育現場で正しい性に関する知識を教えることで、望まぬ妊娠のリスクは下げることができるのかと思うととても残念です。

後編に続く

対物性愛者~「物」と結婚する人々~

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は対物性愛者に関してです。

LGBTという枠からは外れるかもしれませんが、今回は、特徴的な恋愛観をもった人達「対物性愛者」の人達を紹介します。

対物性愛とは

人間や動物などの生命があるものではなく、建物や物に愛情を抱き、性的興奮も感じる1つの恋愛価値観のことです。
虐待を受けた経験や、性的暴行を受けたことがあったり、人間関係で上手くいかなくて人と関わらなくなるようになった結果、物に愛情を抱くようになったりします。
その対象は、車、塔、オルガンなど多岐に渡ります。現在精神医学会などでは認知されていませんが、世界で40人ほどいるとされています。今回は世界でもあまり例を見ない対物性愛者の方を複数人紹介したいと思います。

ベルリンの壁と結婚した女性

スウェーデン出身のエイヤ=リータ・エクレフ=ベルリナー=マウアーさんは「対物性愛」に関して最初に公表した人とされています。
彼女は小さいときにベルリンの壁をテレビで見て以来、壁に恋をしてしまい、ベルリンの壁に何度か訪れたのちに、1979年に「結婚」しました。
結婚した後は、自らをドイツ語でベルリンの壁を意味する「Berliner-Mauer」と名乗り暮らしていたのですが、1989年にベルリンの壁が崩壊した際に二人の愛も崩壊しました。
ドイツ国民が喜びに沸く中、彼女だけは「夫の死」を悼んで悲しみに暮れていたそうです。

エッフェル塔と結婚した女性

アメリカ人のエリカ・ラ・トゥール・エッフェルさんは約3年間の「交際」の末、2007年にエッフェル塔と結婚しました。
初恋の相手はランスという「弓矢」に恋をして、その後世界トップクラスのアーチャーとなったほどです。その次に恋をしたのはドイツ・ベルリンの壁で、壁の破片をベッドルームに持ち込んで、関係を持つに至ったらしいです。
ただエリカさんが永遠の愛を誓った相手はエッフェル塔でした。法的手続きも行い、正式に結婚しました。

遊園地のアトラクションと結婚する予定の女性

アメリカニューヨーク州在住のエイミー・ウルフさんは宇宙船の模型、ツイン・タワー、教会のオルガンや手すりなど、複数の物と交際しています。
中でも最も愛を注いでいるのは、アメリカペンシルバニア州の遊園地にある“千夜一夜物語”というアトラクションです。過去10年間で“千夜一夜物語”に乗った回数は3000回にのぼり、現在州に結婚が認めてもらうように申請中だそうです。

ゲームキャラクターと結婚した日本人男性

「Sal9000」というハンドルネームで知られる日本人男性が、ニンテンドーDSの恋愛ゲーム「ラブ・プラス」のキャラクター姉ヶ崎寧々と結婚しました。
グアムで正式な結婚式も挙げて、日本でも披露宴を開催しました。披露宴ではふたりの馴れ初めを描いたスライドショーや、新郎新婦のキスなどが披露されました。披露宴の様子は動画配信サイト、ニコニコ動画で生放送されたようです。

この他にも対物性愛者の方はいますが、どの方も自分が対物性愛者であることに恥じる様子もなく非常に堂々としています。結婚式も行うぐらいですから社会に発信する事も恐れていません。LGBTとは事情が異なると思いますが、LGBTの方もこのように堂々と恋愛をできる日がくるといいですね。

同性婚に反対する意見

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は同性婚についてです。

同性愛者はなぜ「結婚」というものにこだわるのでしょうか。
アメリカでは65万世帯に上ったが、彼らにとって結婚とは異性愛者にだけ認められた「特権」であり、法的な婚姻関係にないと、相続や税金などの優遇措置が得られず、不利益を被ってしまうからです。世界では同性婚が徐々に認められつつあります。

日本においても渋谷区でパートナーシップ条例が提出されました。それにより渋谷区では同性同士でも結婚に相当するという事になりました。
また、2017年4月5日には大阪市の30代と40代の男性カップルを里親として認定したことがニュースで報じられました。2人は10代の男の子を預かっています。
これらに対して、保守派から抗議の声が次々に上がりました。その保守派の主張は「我が国の伝統的な家族観を破壊している」という立場で反対している意見がほとんどです。しかし、もう少し具体的な反対意見をここで2つ取り上げてみます。

1つ目に、「同性カップルが親だといじめられる」、「子供がかわいそう」といった子供の立場に立った反対意見が最初に挙げられます。
今でも日本では、一般的な家庭では父親と母親がいて、何らかの事情で、母子家庭や父子家庭であってもそれらについて子供たちも理解することができます。
しかし、同性同士の両親というのは大人でも理解が難しく、未熟な子供にとってみるとさらに理解しがたいもので、何もせずに放っておけば確実にいじめの対象になると思います。そのため、同性カップルが里親として子供を迎える場合は、子供の意思を慎重かつ最大に尊重して、仮にいじめの対象となった場合に備えて学校側と対策を練る必要性があります。

2つ目に少子化を助長する可能性があるという事です。人間は同性同士では子供を作ることはできません。
同性カップルが認められていくと、人口が減少していくのではないかという主張です。しかしこれは的外れな意見だといえよう。アメリカを例にとると、同性婚を認めている州が他の州に比べて、出生率の低下は緩やかであったことから、まったく相関関係はありません。

最後に、同性婚が認められることで起こるメリットを取り上げます。
「資源利用の効率性」という考えがあり、1人で生きるよりも2人で生活するほうがより効率的で人々の効用も上昇することが挙げられます。また一方で同性婚を認めた国ではウェディング産業が活性化したという例もあります。

今週の記事まとめ

今週公開した記事をまとめてご紹介します!

「LGBTに偏見はない」という人は本当に偏見がないのか

LGBTという言葉をきいたことがないひとでも、「ゲイ?私は全然偏見とかないから大丈夫だよ」という人がいます。
しかしこの台詞を聞いたことのある人は思った人もいるかもしれません、「本当にそうなのか」?
偏見を持っている人が少ないと言われる若者に関してです。

「LGBTに偏見はない」という人は本当に偏見がないのか

世界一LGBTに優しい国、オランダ

米リサーチ会社ギャラップが実施した「自分の住む国がLGBTにとって暮らしやすいか?」を聞いた国際世論調査結果でオランダが1位にランクインしました。

世界一LGBTに優しい国、オランダ

LGBTインタビューvol.11 杉山文野さん

約11万人が参加したTOKYO RAINBOW PRIDE 2017。今回は共同代表を務める杉山文野さんに、TOKYO RAINBOW PRIDEについて、そしてLGBTダイバーシティについて、お話を伺いました。

interview

性自認とは何か?

LGBTについての説明をする際に、「大きく性自認と性的指向で分ける」という言われ方がされます。
性自認に関して言えば、男女かどちらでもない(Xジェンダー)と言われることがほとんどですが、今回はこの性自認という概念について、もう少し細かく考えてみたいと思います。

性自認とは何か?

性自認とは何か?

LGBTについての説明をする際に、「大きく性自認と性的指向で分ける」という言われ方がされます。
性自認に関して言えば、男女かどちらでもない(Xジェンダー)と言われることがほとんどですが、今回はこの性自認という概念について、もう少し細かく考えてみたいと思います。

性自認は、どのようなところからくるのでしょうか?生まれて物心がつく前から、性別違和を感じていたということはないかと思います。
今回は大きく3つの面で、性自認というものを分けてみます。

身体的な性自認

性別違和を感じている人の中で、第二次性徴における男女の特徴が表れた際に、自認をしたという声が多くあります。
男性で言えば体格のよさやひげなどの体毛、声の低さなどがあり、女性で言えば生理や胸のふくらみ、声の高さなどがあるかと思います。
自身の身体にいわゆる男女の特徴が表れていることに、強い違和感を感じるパターンや、逆にそれを肯定的に捉えているパターンがあるかと思います。
身体的な意味での性自認が異性に近づくほど、性別適合手術を望む人の割合も高いと言えるでしょう。

他者からの認識としての性自認

社会的な性、ともいえるかもしれません。
他者と接する中で、自身を男性としてまたは女性として扱わってほしいという欲求です。中性または無性の場合もあるでしょう。
友人関係や家族もそうですが、恋愛関係におけるものがもっとも顕著かもしれません。男性の身体で生まれて女性と交際していても、恋人から彼氏(男性)として扱われたくない、ということがあるかもしれません。
こちらは上記の、身体の違和感の有無とは異なるかと思います。

表現したい性

周りにどう扱われたいか、ということと、どう表現したいか、ということは別です。
男性的な見た目をし、男性の身体であっても、恋人との関係で男性的な役割をのぞむとは限りません。
表現という中にも、外見(服装や髪形など)と内面(言葉づかいなど)でさらに分けられます。

最後に

性自認と一言で言っても、それをどのような要素で考えているのか、気になったためまとめてみました。
「私は男(女)です」と言っているストレートの人も、なぜそうであると言えるのか、上記の側面から、考え直してみると、程度はあれど性別違和を感じる人は多いかもしれません。

LGBTインタビューvol.11 杉山文野さん

約11万人が参加したTOKYO RAINBOW PRIDE 2017。今回は共同代表を務める杉山文野さんに、TOKYO RAINBOW PRIDEについて、そしてLGBTダイバーシティについて、お話を伺いました。

杉山文野さん
1981年8月10日 東京都新宿区生まれ。早稲田大学大学院教育学研究科卒 フェンシング元女子日本代表。
ジェンダー論を学びその研究内容と性同一性障害と診断を受けた自身の体験を織り交ぜた著書『ダブルハッピネス』を講談社より出版。
現在は日本最大のLGBTプライドパレードである特定非営利活動法人 東京レインボープライド共同代表理事の他、各地での講演会やメディア出演など活動は多義にわたる。
日本初となる渋谷区・同性パートナーシップ証明書発行に携わり、渋谷区男女平等・多様性社会推進会議委員も務める。

TOKYO RAINBOW PRIDE 2017(以下TRP2017)は約11万人が参加と大盛況でした。
まずは終えられての感想をお願いできますか?

2016年の参加者数は約7万人で、今年は約11万人と4万人増えたというのは非常に大きなことでした。
2012年が約5,000人でしたから、5年間でこれだけ増えたということに社会の変化を感じました。
また、以前はLGBT当事者によるLGBT当事者のためのイベントという意味合いが強かったように思いますが、最近はアライの方など、本当に様々な方が来てくださるようになったことも嬉しいです。

TRP2017に参加された方からはどのような感想がありましたか?

LGBT当事者からは「楽しかった」「勇気をもらえた」「嬉しかった」という声が多いです。
地方から来られる方も多いので「一人じゃないと思えた」という方も多いですね。
まだまだ普段の生活の中で困ることがあったり、それぞれいろんな戦いがあるけれど、年に一度ここでみんなに会うと元気をもらえると言ってくださる方も多いです。

今年は企業・団体さんも様々な分野から数多く参加されていましたね。

今年は約190の様々な分野の企業・団体さんが参加し、協力してくださいました。
当日参加された大手の企業の方々からも「仕事ということ以上にイベントとして純粋に楽しかった」と言ってもらえたこともよかったです。

TRPは人権的な活動ではありますが、多様性を祝福する場でもあります。雰囲気はフェスのような感じですし、「こんな楽しいと思わなかった」という方も多くて、楽しんでくださったことが嬉しかったです。

何かしらの形で協力したいけど何をすればよいか迷うケースも多いのですが、こういう形であれば嬉しいといったことはありますか?

それぞれの企業の得意分野で協力してもらえればありがたいです。
例えばチェリオさんにはずっとメインスポンサーをして頂いていて、ボランティアスタッフの飲み物を提供して頂いています。

今年はドン・キホーテさんから事前にご相談頂き、「レインボーグッズが少ないから作ってほしい」と伝えたところ、レインボーのウィッグや帽子などいろいろと作ってくださいました。
TRP当日も好評で、たくさんの方がドンキさんのレインボーグッズを買って身につけていました。

▼TRP2017のブースで販売されたグッズ。

TRP2017の事前説明会や前夜祭・後夜祭、その他のウィークイベントなどの会場はヤフーさん、フリーさん、カフェカンパニーさんなどにご協力頂きました。以前は自分たちで会場探しから行っていたので、とても助かりました。

その他にもWASH&FOLDさんがボランティアスタッフのビブスの洗濯に協力してくださいました。
500枚くらいあるのでクリーニングに出すとそれだけでも数万円かかってしまうので、毎年私たち数名のスタッフがコインランドリーで洗濯していたんですよ(笑)。協力頂けて本当に助かりました。

こんな風に、協賛金ということだけでなく、それぞれの企業さんの得意分野で、無理なく協力してもらえればありがたいですし、協力頂くことで企業さんの方にも広告になるとか、社内のLGBTの理解が進むであるとか、そういったメリットを感じて頂ければ嬉しいです。

今後のTRPについて何か考えられていることはありますか?

今後は海外にも目を向けていきたいですね。
これまでアジアで最も参加者数が多かったのは台湾の8万人と言われていました。TRP2017は約11万人だったので、アジア最大級のイベントになることができました。

今後はアジア諸国が協力してアジアンプライドのようなものをやりたいね、と話しています。
それから2019年はゲイプライド活動のきっかけとなったストーンウォールの反乱から50年です。日本からもニューヨークのプライドパレードにフロートを出したいと考えています。

以前に比べTRPに参加する企業も増え、LGBTフレンドリー企業も増えてきました。
企業はLGBTに関して、どのような取り組みができると思いますか?

企業が取り組めることとしては大きく分けると2つあるかと思います。

ひとつはLGBTのお客様に向けた取り組みです。
LGBT向けというわけではなく、全ての人をターゲットにするという視点で取り組むことで、これまでリーチできていなかった層にリーチすることができます。

例えば丸井さんの取り組みがよい事例だと思うのですが、丸井さんは「すべてのお客様のために」をコンセプトにしています。
靴やスーツのサイズ展開を幅広くすることで、トランスジェンダーの方など数は少ないけれど確実にいる層のお客様にもサービスが提供できるようになり、売り上げが伸びたそうです。

▼一般的なパンプスのサイズ展開は22~25cm程だが、丸井グループでは19.5cm~27cmにすることでトランスジェンダーなど誰にとっても選びやすくしている。

もうひとつはLGBTの社員も含め誰もが働きやすい環境をつくる取り組みです。

「セクシュアリティは仕事に関係ない」という意見もありますよね。LGBTは大人のベッドの上だけの話と勘違いされることも多いのですが、そうではなくアイデンティティの話なのです。自分が何者であるかという大切なアイデンティティを隠しながら働くのはとても大変なことです。

例えば彼がいるんだけれど職場では「彼女」と言い換えて話をしたり、上司に女性がいる店に誘われて断ったら「付き合いが悪い」と言われたり…。ひとつひとつは小さなことですが、積み重ねるとストレスになり、それが原因で辞めてしまう人もいます。

働きやすい環境においても、「LGBTのため」というよりも「全ての人が働きやすい」という視点で考えるのがよいと思います。
最近はLGBTの正しい知識を身につけられるよう研修を開催したり、同性パートナーを配偶者として福利厚生を使えるようにして不平等感をなくしたり、LGBTに関する相談窓口を設けたりといった、取り組みをする企業が増えてきていますよね。

今、日本は2020年というのがひとつの目標になっています。こうしたわかりやすい目標があれば取り組みやすいと思いますし、これをきっかけに、LGBTダイバーシティにも取り組むとよいのではないかと思います。

2020年というお話がありましたが、Nijiリクルーティングでも2020年に向けて20万人のアライを増やす「アライ宣言2020」プロジェクトを行っています。
アライが増えることについてはどのようにお考えですか?

LGBT当事者としても、アライが増えていくことは嬉しいです。
TRP2017にも今まで以上にLGBT当事者ではない友達が来てくれることが増えました。
友達が子どもと一緒に来てくれて、「このおじさんも昔は女の子だったんだよ」と子どもに話すのですが、子供はぽかーんとしていましたね(笑)。

でもそういったことが大切だと思います。いいとか悪いとかではなく、いろんな人が一緒に生活しているということを子どもの頃から知ることで、大人になったときにも自然に多様性を受け入れられる人になるのではと思います。
今はLGBTについてアライと使っていますが、私は誰もが誰ものアライになれると思います。みんなそれぞれにある違いを認めることが大切なのではないでしょうか。

nijipiに訪問してくださる方の中には、就活生の方も多いのですが、メッセージをお願いできますか?

私も以前はカミングアウトして働ける企業なんてないと思っていましたし、そう思い込みすぎているところがありました。
ですが、実際にはLGBTフレンドリー企業はどんどん増えてきているので、ネガティブに考えすぎなくてもよいのではと思います。

それから、今の職場で何か嫌なことがあったら、どうすれば誰もが働きやすい環境になるのかを考え、会社に提案してみるというのもひとつの方法です。
できることから、できる人からでいいと思いますが、自分たちから働きかけて、働きやすい職場にしていくこともできます。

最後に今後取り組んでいきたいことについて伺えますか?

今後はLGBTのことだけでなく、いろんな人がいるということを伝えていきたいです。
LGBTに関する問題はどこに課題があるのかと考えたときに、マジョリティの課題なのではないかと私は思います。
私もセクシュアリティではマイノリティですが、別の部分ではマジョリティでもあります。誰にだって人には言えないコンプレックスがあり、マイノリティな部分がある。
そう考えると、マイノリティな部分を持っている人の方が多いのではないでしょうか。マイノリティの課題に向き合うということはマジョリティの課題に向き合うことですし、マイノリティが暮らしやすい社会はマジョリティにとっても暮らしやすい社会なのだと思います。
みんなにとって生きやすい社会をみんなで話し合ってつくっていきたいです。

ありがとうございました!

編集部より
TRPはこの数年でさらに大きな規模へと成長しています。そしてその中心にいるのが杉山文野さんです。
多くの人が様々な想いで関わるTRPをひとつにまとめあげるのは想像以上に難しく大変なはず。
杉山さんとお話していると、「LGBTを含む誰もが生きやすい社会にしたい」という真摯で熱い想いを感じならがらも親しみやすい温かさを感じます。
そんな杉山さんだからこそ、たくさんの人が惹かれ、想いをひとつにTRP成功に向けて動くことができているのではと思いました。

取材は杉山文野さんが経営されているタイレストラン「irodori」で行われました。
心地よい雰囲気とおいしいお料理が楽しめる素敵なお店です。

▼irodori
東京都渋谷区神宮前 2-14-17 1F
http://irodori-newcanvas.com/

世界一LGBTに優しい国、オランダ

米リサーチ会社ギャラップが実施した「自分の住む国がLGBTにとって暮らしやすいか?」を聞いた国際世論調査結果でオランダが1位にランクインしました。

83%の同性愛者が暮らしやすいという驚くべき結果が出ました。ランキングの上位は欧州各国が連なり、アフリカ各国が下位に並ぶといった結果で、日本は全123か国中50位でした。
今回はそんな「世界一LGBTに優しい国」と言われているオランダでの同性婚についてのことや、その具体例を紹介していきたいと思います。

オランダの同性婚に関する現状

2000年12月に同性結婚法が成立し、2001年4月1日に同法律が施行されました。
これは世界で初めて異性同士の結婚と同じ婚姻制度を導入した例です。ただ厳密には同じといえず、財産や相続、社会保障などは異性同士の結婚と同等の権利を持ちますが、海外から養子を迎えることが不可能であったり、永住権を持たない外国人はオランダで結婚できないなどの規制もあります。
世論調査を行ったところ、現在オランダの国民の85%~90%の国民が同性婚を支持している、毎年の結婚数75000組のうち3000組が同性婚であるという結果がでました。

同性婚の話の話からは逸れますが、オランダではカミングアウトする平均年齢は14歳と言われています。
14歳といえば、思春期の時期なので、オランダの教育機関でのLGBTの教育やサポート体制が整っていることが伺われます。

実際の様子

オランダ北部の街グローニングでギャラリーを営む、ヤンさんとサンドロさんカップルを紹介します。
二人は20代からゲイの人たちの権利獲得のための活動を続けています。2人は同性婚がオランダで施行された2001年に、お互いの家族が自然と受け入れる形で結婚しました。ヤンさんの小さな甥も、ヤンさんサンドロさんが結婚していることを誇らしく思っているようで、学校でも友達に彼らのことを男女の夫婦と同じように紹介しているそうです。
これは二人が結婚した当時の社会とは全く違っていて、子どもたちの世代が、同性婚を普通のことだと思っているようです。

他にも、電車で久々に会った男女の会話で、女性が結婚する旨を伝えた所、男性が男性と女性どっちと結婚したのか、といった会話が普通にあるということです。

日本でも渋谷区でパートナーシップ制度ができる、同性婚に関する動きが広まっていますが、オランダみたいに同性婚と異性婚を同等に見る世代が出てくるにはまだまだ時間があかかりそうです。

「LGBTに偏見はない」という人は本当に偏見がないのか

LGBT当事者orアライによるレポート。今回はLGBTと偏見についてです。

LGBTという言葉をきいたことがないひとでも、「ゲイ?私は全然偏見とかないから大丈夫だよ」という人がいます。
しかしこの台詞を聞いたことのある人は思った人もいるかもしれません、「本当にそうなのか」?
今回は偏見を持っている人が少ないと言われる若者に関して書きたいと思います。

「ゲイの友達が欲しい」?

ゲイやLGBTの話題になった際に、「ゲイ(LGBT)の人と友達になりたい」と答える人がいます。
その理由をきいてみると、「女の子の気持ちも男の気持ちもわかるから」「おしゃれな人が多いから」といった答えが返ってきます。
なぜそう思うのかを聞いても、はっきりとした答えは返ってきません。そのように答える人は勝手なイメージで、そのような返答をするのです。

気付かないうちに偏見を持っている

ゲイ(LGBT)だから男女両方の気持ちを理解できる、ファッションセンスに長けている。当事者の方ならよくわかるかもしれませんが、実際にそんなことはありません。
おそらく、テレビの中の有名人や、アニメや漫画などのコンテンツの中のゲイやLGBTをイメージしているからこそ、そのような間違った認識をしています。
たしかにゲイの中にもいわゆる女性的なしぐさをし、容姿も女性に近い人もいるでしょう。しかしそれはノンケの中にも存在するでしょうし、「ゲイだから」という理由にはなっていません。
特にテレビで見るLGBT当事者は、受けがいいためにかなり派手なキャラクターだったり、奇抜なファッションをしている場合が多いです。
そのような人しか目につかないために、LGBT全体がテレビの中の人と同じようであるという間違った認識を持ってしまいます。
そしてそれが、「なんか想像していたLGBTと違う」という偏見につながってしまうのです。

最後に

「全然偏見ないから大丈夫」という人の中には、本当に正しい理解をしている人もいるかと思います。
ただまだまだ、LGBTは会ったことない特別な人、と思っている人も少なくありません。
若者に寛容な人が増えた、という理由として私は2つあると思っています。
1つは、ジェンダーレスという言葉が流行ったように、男女問わずファッションが多様になったこと、もう1つは、集団への帰属意識があまりないために、他人と協調するという考えが少なくなったことです。
正しい知識を得たうえで、「まったく偏見なんてない」という人がもっと増えればいいなと思っています。