“LGBTの命”を伝える、72カ国の国旗でできた美しいドレス

セクシュアルマイノリティ/アライによるレポートシリーズ。今回は、ユーロプライドで披露されたドレスの話題です。

“LGBTの命”を伝えるドレス

LGBTコミュニティが現在直面する“命を脅かす問題”について啓発するため、72カ国の国旗から1つのドレスが作られました。このドレスは、世界中で同性愛が禁じられている72の国の国旗で作られています。

また、この内の12か国では、同性愛者は死刑にされる可能性もあります。

例えばイランでは同性愛者は死刑になってしまいます。イラン・イスラーム共和国の刑法では、姦通や同性愛について死刑に処することが要求されているからです。

1979年のイランにおけるイスラム革命以来、4000人以上の同性愛者が処刑されたと推計されています。そのため、イランでは同性愛者が相次いで亡命を試みる人たちが多くいます。これは、同性愛が禁止する国にも同性愛者がいることが驚くべきことではなく、当たり前であることを示しているのです。

今回、オランダのデザイナーのマティス・ヴァン・ベルゲン氏とアーティストのオエリ・ヴァン・ウォエツィキ氏が共同で、アムステルダムで開催されたユーロプライドでこの政治的なメッセージ性の強いドレスを発表しました。そのドレスが美しい写真として撮影されました。

「この大きなドレスを着ているのは、私です」と、モデルのバレンティン・デ・ハイフ氏がInstagramに投稿しました。

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参照 https://www.instagram.com/valentijndehingh/

オランダ出身の写真家で映画監督のピーテル・ヘンケット氏は、ユーロプライドが終わった後に、このドレスの写真に関する力強いメッセージをInstagramにコメントしました。

「同性愛者に対する規制が撤廃された国の国旗は、レインボーフラッグに変わっていくことになっています。このドレスがすぐにでも、全てレインボーフラッグのパッチワークのドレスになることを祈りましょう!」

まとめ

この一つの美しいドレスに世界中の同性愛者たちの悲痛なメッセージが込められていると思うと感慨深いと思いました。

この写真はInstagramで拡散され話題になっていますが、SNSを通じて呼びかけていくことは若い世代にも発信することができるので、効果的な手法だと思いました。

私たちの住む日本では同性愛者が死刑にこそならないものの、未だに偏見や差別は根深く残っています。世界中の誰もが、誰のことを愛してもいいのであってそれで命を奪われる意味はないと思います。

このドレスが世界中に拡散されて同性愛者に対する規制が早く撤廃されることを望みます。

日本の間違った性教育

セクシュアルマイノリティ/アライによるレポートシリーズ。今回は日本の性教育についてです。

日本の性教育は間違っている

現在の日本では、「性」についての話題は友達同士や親子の間でもタブーとされたり、ためらわれたりしています。
その原因は日本の性教育に問題があるからではないのでしょうか。

子供達は小学校中学年くらいで「性」について学ぶことになります。しかし、そこでの教育は不十分であり生徒たちが正しく理解できていません。
よって、性について考えることや性について語ることは汚らわしい行為だと思ってしまいます。また、異性の体の仕組みを理解せずに、体の成長の過程で異性の友達にいじめられて悩んでしまう子供がたくさんいます。

人間が生きていくためには「性」を正しく捉えることは不可欠なことです。性を教えるのに、早いとか遅いとか時期は関係なく教えるのは早ければ早いほうが良いのだと思います。

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また、教師はそのような理解をしていないために、性教育についてあまり積極的ではないように感じます。
保健の授業で男女別に区別して、男子には男性の教師が、女子には女性の教師が教える仕組みも改善すべきではないでしょうか。
これでは、異性の身体や成長過程について男女一緒に学ぶことはできずに正しい理解を得られません。また、セクシュアルマイノリティの子供達にとっては苦痛な時間であり、自己に違和感を覚えて必死に隠し通そうとするでしょう。

セクシュアルマイノリティの子供達は様々な問題に直面しています。
自己を受け入れることや開示することに困難になっている子供たちがたくさんいるのです。

世の中には、多様な性が存在するということを日本の性教育では語られていません。
日本では「性」についてまだまだネガティブなイメージを持つ人が多いような傾向にあります。

しかし性の問題は、社会や文化などさまざまな場面で浮き彫りになってきます。日本は、昔から比べたら男女平等がより進んだように思われています。しかし、まだ性の多様性や労働状況などを見てみると、男女平等の問題でさえまだたくさん残っているのが現状です。

子供たちが適切に性教育を受けられれば、これからの日本はもっと多様性を受け入れていくことができるのではないかと思います。そして、そういった性についての理解を幼いころから深めていけたら、差別やいじめを減らすことができるのではないのでしょうか。

日本が多様な性を受け入れて、どんな人でもどんな場所でも輝いて生きていけるような国になるためには性教育の改革が必要になるでしょう。

参考文献
2007年 安達倭雅子著 「子どもと親と性と生」

同性婚をめぐる演劇が下北沢で上演

セクシュアルマイノリティ/アライによるレポートシリーズ。今回は、演劇についてです。

LGBTをテーマにした映画、演劇などは数多く存在しますが、今回はLGBT当事者による劇団をご紹介します。

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ゲイの劇団、「フライングステージ」

「ゲイの劇団」とカミングアウトしている劇団、「劇団フライングステージ」はゲイであることにこだわった芝居作りを続けています。

そんな劇団フライングステージが2016年11月に上演する作品は、同性婚をめぐる物語です。

劇団フライングステージ第42回公演
「Family,Familiar 家族、かぞく」×「Friend,Friends 友達、友達」
アメリカで同性婚が認められるようになり、日本でも各地でパートナーシップ制度が認められるようになった2015年。
 2016年の今、同性婚をめぐる問題はどう変化したのか。パートナーとは、家族とは何か?
私たちの今を見つめ直す新作「Family,Familiar 家族、かぞく」と、昨年初演の「Friend,Friends 友達、友達」を同時上演します。

日程 11月2日から11月6日
会場 下北沢 OFFOFFシアター

チケットは、学生割引やペア割引もあり、その注意事項には「性別、セクシュアリテイ等、不問」の文言が。
同時上演なので、1日で新作と再演を観ることができる日もあります。

http://flyingstage.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/42familyfamilia.html

LGBT劇団演劇集団LGBTI東京

LGBTI東京は、当事者で構成された劇団です。

「演劇集団LGBTI東京」は、セクシャルマイノリティの表現者と、理解者を含むスタッフのみで構成された劇団です。客演にはストレートアライの方が含まれることもあります。舞台芸術をはじめとし、様々な表現で今までと違う本来の自分を表現していきます

http://lgbti-t.jimdo.com/?mobile=1

前回の本公演は東京レインボープライドに協力しており、セクシュアルマイノリティに関する直接的な表現するのではなく、日常生活の中のセクマイのリアルを表現する脚本を得意としています。

当事者だからこそ作ることのできる物語を体感しに行ってみてはいかがでしょうか。
また、この劇団では劇団員・ボランティアスタッフの募集も行っています。
伝えたい想いがあるなら、演劇という形で表現してみるのも良いかもしれません。

国連で初のLGBTめぐる首脳級会合を開催

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ニューヨークの国連本部で今年9月21日、アメリカのバイデン副大統領らが参加して、LGBTの人々の人権について議論する初の首脳級会合が行われました。

「LGBTの皆さんの普遍的権利を守ることが現代の人権問題であり、とても重要なことです」
(アメリカ バイデン副大統領)

会合は潘基文事務総長やバイデン副大統領らが参加したものです。
LGBTの人々の人権をテーマに各国の首脳が参加する会合が行われるのは、国連の71年にわたる歴史の中で初めてだということです。

世界各国からLGBTの団体も参加し、同性愛が70か国で犯罪行為とされていることや、同性愛を理由に殺された人がおととしまでの7年間で1600人あまりに上ることなどについて意見が交わされました。

国連本部前の横断歩道は、今週末までLGBTのシンボルであるレインボーカラーにペイントされ、国連総会に出席する各国の首脳や代表団体LGBT の人権についての理解を促すということです。

このように、さまざまな国がLGBTに目を向けたり、当事者が差別や偏見を持たれてしまうような状況を変えようと努力しています。

「LGBT×就活情報」LGBTフレンドリー企業が受賞した「PRIDE指標」って何?

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LGBT※当事者の学生さん向け「LGBT×就活情報」企画。
今回は、日本初のLGBTに関する企業等の取り組みの評価指標「PRIDE指標」について取り上げます。

※LGBT=レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなどのセクシュアルマイノリティの総称として使用しています。

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LGBTが「ブーム」??

ここ数年でLGBTという言葉の認知度は高まっていますよね。
「ブーム」と表現されることもありますが、一過性の盛り上がりではなく、持続的に取り組もうとする企業や団体も増えてきています。

その中のひとつが、work with Prideです。
work with Pride は、LGBTに関するダイバーシティ・マネジメントの促進と定着を支援する団体で、2012年に発足されました。

ダイバーシティって何??

「ダイバーシティ」というとちょっとわかりづらいかもしれませんが、社員一人一人の個性を活かし、活躍してもらおうということです。

これまではダイバーシティというと女性の活躍が取り上げられることが多かったのですが、ここ最近はLGBT当事者を含むダイバーシティを推進しようとする企業が増えています。

PRIDE指標とは?

話は戻って…
そんなwork with Prideが2016年から始めたのが「PRIDE指標」です。

これは日本初のLGBTに関する企業等の取り組みの評価指標です。

なぜPRIDE指標を「LGBT×就活情報」で取り上げたかというと、PRIDE指標がLGBTフレンドリー企業を見分けるひとつの指標になるからです。

PRIDE指標の項目

Policy: 行動宣言
Representation:当事者コミュニティ
Inspiration:啓発活動
Development:人事制度、プログラム
Engagement/Empowerment:社会貢献・渉外活動

参照 http://www.workwithpride.jp/pride.html

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PRIDE指標2016受賞企業

2016年度は82社が応募、5つの項目のうちいくつ取り組めているかがジャッジされ、ゴールド(5点獲得)は53社、シルバー(4点獲得)は20社、ブロンズ(3点獲得)は6社となりました。

受賞した企業の取り組み事例

・トランスジェンダーが性自認の服装をすることや、通称名を使用することを認めている。

・社員に向けてLGBTの基礎知識を学ぶ研修を実施している。


・社内外に向けてセクシュアリティを理由に差別しないことを発信している。


・社内のLGBT当事者のコミュニティを立ち上げ、アライ(LGBTを理解し支援する人)を増やす活動をしている。


・同性パートナーにも結婚祝金を出すなど、異性カップルと同等に福利厚生を利用できるようにしている。

Etc…


受賞企業の中でも取り組み内容や状況は様々ですが、少なくともLGBT当事者の働きやすさを整えようという姿勢がある企業です。

このような企業が今、どんどん増えています。

これから就活をする方、就活はまだ先だという方も、どんな企業がPRIDE指標で受賞したのかを知ることは、企業選びのヒントにもなります。
是非チェックしてみてくださいね。

ちなみに、nijipiを運営するNijiリクルーティングもゴールドを受賞しました!

 

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PRIDE指標2016ゴールド認定企業

【運輸】
エヌ・ティ・ティ・ロジスコ、全日本空輸、日本航空、日本トランスオーシャン航空

【エネルギー】
関西電力

【金融】
ゴールドマン・サックス、J.P.モルガン、ドイツ銀行グループ、日本におけるAIGグループ、野村証券、バンクオブアメリカ・メリルリンチ、みずほフィナンシャルグループ、モルガン・スタンレー、UBSグループ

【サービス】
アウト・ジャパン、アクセンチュア、EY税理士法人、エクシオジャパン、NTTクラルティ、NTTラーニングシステムズ、エフネス、Diverse、電通、トロワ・クルール、Nijiリクルーティング、パームロイヤル、プラップジャパン、ペンシル、リクルートスタッフィング

【情報通信】
NTTコミュニケーションズ、NTTドコモ、NTTファシリティーズ、ガイアックス、KDDI、日本IBM、NTT、日本マイクロソフト、楽天

【製造】
クボタ、ストライプインターナショナル、ソニーグループ、日本たばこ産業、パナソニック、富士通、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス

【法務】
アンダーソン・毛利・友常法律事務所、長島・大野・常松法律事務所、外国法共同事業法律事務所リンクレーターズ

【保険】
アクサ生命保険、住友生命保険、第一生命保険、ライフネット生命保険

トランスジェンダーの20%が「健康診断を受けない」

LGBT当事者もしくはアライによる「セクシュアリティ」に関するレポートを紹介するシリーズ。
今回は健康診断です。

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企業が従業員に健康診断を受けさせるのは義務

会社に入ると、年に1回程度健康診断を受ける機会があります。
これは、労働安全衛生法で従業員に年1回以上健康診断を受けさせることが義務づけられているからです。
また、健康診断の費用は会社負担となります。

トランスジェンダーは健康診断どうするの?

健康診断は、病気の早期発見にもつながり、健康的な生活をしていくためには必要です。

しかし、トランスジェンダー当事者にとっては、健康診断は悩みのひとつにもなります。

SNSで行ったアンケートでは、21%のトランスジェンダー当事者が「健康診断を受けない」と答えました。

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健康診断を受けた人に聞いてみた

せっかくの機会なので、健康診断を受けておきたいもの。
そこで、健康診断を受けた人に話を聞いてみました。

会社指定の病院で健康診断を受けた
会社もトランスジェンダーだということを知っているので相談したところ、会社から病院側に事前に伝えてくれました。
当日は希望の更衣室を使わせてもらい、特にトランスジェンダーについて触れられることはなかったです。

自分で病院を探して健康診断を受けた
会社に説明するのもいやだったので、自分で病院を探して受診しました。費用は自己負担になるので、1万円くらいかかりました…。ただ、同僚と出くわすこともないですし、気をつかわずに受診できました。

 

まとめ

人によってどうしたいかは異なりますし、会社がどう対応してくれるかも違いますが、できることなら年に1回は健康診断を受けておきたいものです。
会社に相談するのはちょっと…という場合は、かかりつけの病院に相談をしてみるのもひとつの方法かと思います。

ちなみに会社員でない場合は、自治体の健康診断を利用することができます。無料~2000円程度で受けられることが多いので、検討してみてもよいのではないでしょうか。

メキシコで同性愛に反対するデモに、少年が立ちふさがる

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メキシコで、同性愛に反対するデモに、少年が立ちふさがったことが話題になりました。

メキシコでは、首都メキシコ・シティをはじめ10の州で同性婚が認められていますが、残りの21州では同性婚は認められていません。
エンリケ・ペニャ・ニエト大統領は、法律を改正して全ての州で同性婚を合法化しようとしていますが、これに反対するデモがメキシコ全土で行われています。
「家族のための国民戦線」という宗教的かつ保守的な団体は「For Life and Family」と書かれた横断幕を掲げ、同性婚に反対する行進をしています。

デモに立ちふさがった少年

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デモに立ちふさがる少年を撮影したのはジャーナリストのマヌエル・ロドリゲス氏です。

ロドリゲス氏は「最初は少年がふざけてデモ隊の前に立っていると思った」といいます。

しかし、なぜデモ隊の前に立ったのかを尋ねると、少年は「おじさんがゲイなんです。おじさんが嫌われるのが嫌だったから」と答えたそうです。

マヌエル・ロドリゲス氏が撮影した少年の写真は、メキシコのメディア「Regeneración」に掲載された後、「USAトゥデイ」や「The New Civil Rights Movement」「Attitude」「Pink News」など様々なメディアに取りあげられ話題となりました。

少年の行動は、1989年に中国・天安門広場で戦車の前に立ちはだかった「戦車男」と比較されています。
戦車男は、民主化を求める大勢のデモ隊が中国人民解放軍に武力制圧され、多くの犠牲者が出た翌日に、戦車の前に立ちはだかって止めようとました。

デモに立ちふさがった少年の名前は不明です。
彼の行動は、平等な結婚を求めている世界中の人たちを勇気付けています。

LGBT学生×LGBTフレンドリー企業!ReBitさん主催イベントに行ってきましたレポート

10月8日(土)にベルサール三田(東京都港区)で開催された「RAINBOW CROSSING TOKYO」に取材に伺いました!

RAINBOW CROSSING TOKYOってどんなイベント?

RAINBOW CROSSING TOKYO は、LGBT施策に取り組む企業12社とLGBT学生が集う日本初のワークエキスポです。
主催は、「LGBT成人式」でもおなじみの、特定非営利活動法人ReBit(http://rebitlgbt.org/)さん。
当日は530人(学生/社会人380人 、企業74社150人)が来場し、大盛況となりました。

RAINBOW CROSSING TOKYO
2016年10月8日(土)
第一部(10:45〜12:45)、第二部(14:30〜19:30)
http://lgbtcareer.org/rainbowcrossing/

それでは当日の様子をレポートします!

第一部 CROSSING FOR COMPANIES

第一部は企業担当者向けのイベントです。
「職場のLGBT」「ダイバーシティの視点からLGBTについて考える」をテーマにしたパネルディスカッションや、参加者同士で感想を話し合うグループワークが行われました。

パネルディスカッション①「職場のLGBT」

LGBT当事者の方が登壇するパネルディスカッション①では、働く上でのセクシュアリティに関するトークが行われました。

Q. 働く上で困ることは?

「(前職ではゲイであることをカミングアウトしていなかったため)コミュニケーションの一環として恋愛の話をふられることもあって困りました。
キャバクラに誘われることもあって、
断ったら昇進に影響するかも…と思い、困りました」

「勤務中に病院に運ばれたことがありました。
当時は会社にパートナーがいることを話していなかったので、パートナーに連絡が行かず、不安に思いました」

Q.働く上でうれしかったことは?

「フロリダ銃乱射事件(同性愛者向けナイトクラブで起こった銃乱射事件。容疑者を含む50名が亡くなった)が起こったとき、上司や同僚が大丈夫か?と声をかけてくれました。
それだけでなく、私のパートナーや、私の親の心配もしてくれました」

「取引先の人に男女どちらなの?と聞かれたときに、同行していた先輩が「一人の営業として扱ってください」と言ってくれ、とても励まされました」

 

登壇された方々がおっしゃっていた「LGBT当事者の働きやすさには、アライの存在が大きく影響する」という言葉が印象的でした。

トランスジェンダーの当事者の方は、「職場には誰でもトイレがないので不便なことはあるけれど、同僚が理解してくれていることで励まされることも多い」と話していました。

パネルディスカッション②「ダイバーシティの視点からLGBTについて考える」

LGBTの取り組みを行う企業によるパネルディスカッション②では、ダイバーシティについてのトークでした。

登壇企業(順不同)
ギャップジャパン株式会社、日本電気株式会社(NEC)、LGBTファイナンス、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社、野村證券株式会社

各社取り組み内容は様々ですが、共通していたのは「LGBT当事者を特別視していない」ということです。

社員それぞれの個性が活きる職場にするためにダイバーシティを推進しており、その個性の中のひとつとしてLGBT当事者を捉えていました。

そのため、LGBT当事者だけでなく、あらゆる人にとっても働きやすい会社なのではないか、と感じることが多かったです。

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第二部 CROSSING FOR LGBTAs

第二部は就活生、学生、社会人向けに、講演会とパネルディスカッションと、企業ブースが同時進行されました。

パネルディスカッション

第二部のパネルディスカッションは、LGBT当事者の方が登壇する会、LGBTに関する取り組みを行う企業が登壇する会の2回行われました。

どちらの会も大盛況で、立ち見も出る程。最後の質疑応答コーナーでは参加者から質問もたくさん出ていました。

LGBT当事者の方が登壇された会から、2つのトークテーマをピックアップしてご紹介します!

Q.仕事を選ぶ上で大切にしていることは?

株式会社資生堂で働く中住純也さんは、大学卒業後は派遣社員として働いていたそうです。その後海外での勤務を経験し、セクシュアリティに関係なく自分らしく働くことを大切にするようになりました。
「今は自分のやりたいことで仕事を選ぶようになった」と話されていました。

その他の登壇者の方々も「自分のやりたいこと」を軸に仕事を選んだと話されていました。

最後にReBitの代表理事、薬師実芳さんより、
「セクシュアリティを理由に自分で自分の選択肢を狭めてしまいがちですが、可能性はたくさんあるのだから、本当に自分のやりたいこと、自分の人生をどうしたいかで仕事を選ぶことが大切ですね」というお話がありました。

Q.職場でどんな働き方をしていますか?

この質問では、職場でのカミングアウトについての話題にもなりました。

カミングアウトしている方、しているけれど一部の人(上司や同じチームの人)にだけしている方、採用面接でカミングアウトした方、入社から何年も経ってからカミングアウトした方など、様々でした。

職場で必ずしもカミングアウトしなければいけないわけではないこと、カミングアウトに関しては、本当に人それぞれで、いろんな働き方があることを知れました。]

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講演会エリア

講演会登壇企業(順不同)
野村證券株式会社、ギャップジャパン株式会社、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社、グーグル株式会社、LGBTファイナンス、日本電気株式会社(NEC)

講演会の内容は、2社をピックアップしてご紹介します!

日本電気株式会社(NEC)
日系企業よりも外資系企業の方がLGBTフレンドリーが進んでいるイメージがあり、日系企業ではまだまだLGBT当事者は働きにくいのでは?と考える方も多いのではないでしょうか。

ですが、NECさんは日系企業だから難しいことはないとおっしゃっており、実際に様々な取り組みを行っています。

取り組み内容の一部
・採用面接でLGBT応募者を適切に面接するよう注意喚起
・社内勉強会の実施
・社内に掲示しているハラスメント禁止ポスターにLGBTに関する文言を追加
・相談窓口の明確化

ギャップジャパン株式会社
OUT IN JAPAN のスポンサーや、TOKYO RAINBOW PRIDEの協賛も行っているギャップジャパンさん。
世界的にGAP=LGBTフレンドリーというイメージがもたれています。

創業時より多様性を重んじる社風であったため、以前からLGBT当事者に対しても偏見なく個性として受け入れる文化があるようです。

LGBT関連イベントへの協賛だけでなく、店舗では虹色のショッパーを配布したり、WEBマガジンでLGBT当事者の座談会を発信したりと、様々な活動をされています。

ブースエリア

ブース出展企業(順不同)
LGBTファイナンス、野村證券株式会社、グーグル株式会社、日本アイ・ビー・エム株式会社、アクセンチュア株式会社、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社、日本電気株式会社、株式会社LITALICO、NTTグループ、日本航空株式会社、株式会社資生堂、ギャップジャパン株式会社

各社のブースでは、LGBTに関する取り組みのほか、理念や事業内容、社風といった企業情報も紹介されていました。

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最後に

今回のイベントでは、これから社会に出る学生さんもたくさん参加されていました。
LGBTフレンドリー企業がどんな取り組みをしているのか、LGBT当事者の社会人はどんな働き方をしているのかを知ることができ、今後の就職活動にも役立つ内容だったのではと思います。

面接でセクシュアリティに関わる質問をされたら?

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「面接でセクシュアリティに関わる質問をされ困った」という経験を持つLGBT当事者は少なくありません。

今回は、なぜ企業側はセクシュアリティに関わる質問をするのかについてお伝えします。

企業は応募者の人となりを知りたがっている

面接において、「してはいけない質問」を厚生労働省が定めていることをご存知でしょうか。
下記のような項目で採用において差別をしないようにするために、質問してはいけないとされています。

公正な採用選考の基本(3)

<a.本人に責任のない事項の把握>
・本籍・出生地に関すること (注:「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します)
・家族に関すること(職業、続柄、健康、地位、学歴、収入、資産など)(注:家族の仕事の有無・職種・勤務先などや家族構成はこれに該当します)
・住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
・生活環境・家庭環境などに関すること

<b.本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握>
・宗教に関すること
・支持政党に関すること
・人生観、生活信条に関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
・労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること

しかし、面接において上記に関わる質問をされることはよくあることです。

企業がその質問をする理由は、応募者の人となりを知りたいと思っているからです。
例えば、「尊敬する人物」とその理由を聞くことで、その人がどのような価値観を持っているか知ることができます。

彼氏、彼女の有無や、結婚の予定についても、その人がどのような人物で、どんなキャリアプランを考えているのか知るために質問している場合があります。

これらの質問は、セクシュアリティにも関わることなので、答えたくない場合は答えなくてもかまいません。

質問をひとつの指標にしよう

企業が面接で様々な質問をするのは、応募者の人となりを知り、採用すべき人材かどうかを判断するためです。

しかしながら、面接でカミングアウトした場合、面接官が興味本位でセクシュアリティについていろいろと聞く、あまり知識がないのになんとなくで話を合わせている(同性愛者と性同一性障害を混同しているなど)、驚いてしまうといった場合も…

悪気がない場合も多いですが、LGBT当事者にとっては傷ついてしまうこともあります。

面接官の対応は、その企業の社風を知るための判断材料になり得ます。
LGBTに関してどれくらいの知識と理解があるかを知ることもできます。

12歳のトランスジェンダーの児童によるスピーチ

アメリカ・ペンシルバニア州に住む12歳のトランスジェンダーの児童が学校内での性的マイノリティに対する平等を求めるスピーチを職員にしました。

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Ari, my amazing boy, stood before the school board and spoke up for transgender rights. His speech came mere weeks after a student told the school board that she'd rather fail gym class than change with transgender students in the locker room. After Ari's remarks, there was a standing ovation and the school district superintendent stood, walked over to him and shook his hand. Beautiful moment, beautiful night. Love wins.

Alisa Bowmanさんの投稿 2016年9月13日(火)

12歳のアリ・ボーマンは体の性は女性ですが、心の性は男性として生まれました。

彼の学校では身体の性(生物学上の性)に基づいて着替えの部屋を区分していたのですが、一人の女生徒が「私は女性だから、男性の見た目をした人の前では着替えられない。トランスジェンダーの人は私たちと同じ部屋で着替えてほしくない」と主張しました。それに伴って、アリ・ボーマンは学校の職員に対して印象的なスピーチを行いました。

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アリ・ボーマンが伝えたいこととは?