FTMの働き方。自衛隊での体験。

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LGBT当事者もしくはアライによる「セクシュアリティ」に関するレポートを紹介するシリーズ。
今回はFTM当事者であり、陸上自衛隊に入隊した方のレポートです。

自分らしく仕事ができると期待したが…

私はFTM当事者です。高校を卒業し私が選んだ道は、男性主体で尚かつ公務員である陸上自衛隊に入るという選択でした。
入隊試験を経て、無事合格。入隊式を終え、自衛隊こそ自分らしく仕事に専念できる環境であると信じて期待していました。

しかし、いざ自衛隊員としての生活が始まってみると、想像とはまるで違いました。
完全なる男女別での行動。女性自衛官として特化した教育。
同じ自衛官であるにもかかわらず通称(女性陸自隊員をワックという)まで違い、この職場環境に私は愕然としてしまいました。

公務員という職業は、国という大きな組織の下にあり、決して我々性的少数者(セクシュアルマイノリティ)が生きやすい職場ではないということに、私はそこでやっと気が付いたのでした。

上司に相談しても、「前例が無いから」「正直よくわからないから」「そういう面倒なことは隠しておいた方が良い」などと全く相手にはされず、寧ろ煙たがられているのがハッキリっと感じられました。
しかし自分が選んだ職業をそう簡単に投げ出すわけにもいかず、悶々とした日々を送っていました。

お前はお前らしく堂々と胸張って仕事すればいい

そんなとき、一人の先輩が「お前はお前らしく堂々と胸張って仕事すれば良い」と声をかけてくれました。
そこで私は、前例が無いのなら自分が初めての例になって微力ながらもこの組織に何らかの風穴を開けてやろうと決意したのでした。

私が思うに、日本人ならではの特徴がLGBTを受け入れる体制作りを阻んでいるのだと思います。
郷に入れば郷に従え。
人権の尊重といいながらも、「出る杭は打たれる」という全くもって個性を殺してしまう固定観念の色眼鏡。男性は雄々しく女性は淑やかに。女らしさ男らしさという考え方。このように数えればキリがないほどの固定観念で固められた人々の頭は非常に固く、日々自分の性認識について説明し続ける日々でありました。

しかしながら個人が説明をするのではなく、組織として現状を受け入れ、人権などの教育にLGBTのことに関しても含めるべきだと強く感じました。
そして集団生活の中にも、こうした性的少数者(セクシュアルマイノリティ)への配慮として、多目的トイレの設置や個別のシャワー室の利用ができるようにする等、できることは山ほどあるように思います。

その中でも最も重要であると思うのは、1人1人の理解の広がり、偏見の払拭だと思うのです。
国の傘下にある公務員こそ、積極的にこの問題に取り組むべきであり、国全体として理解ある社会づくりの代表的な組織であってほしいと思うのです。

この国の全ての企業や組織におけるLGBTへの理解と知識を深める機会を増やすことが非常に重要であり、この国が一歩前進できる素晴らしいきっかけとなってくれることを切に願います。

編集部より

今回は自衛隊で働くことを経験したFTM当事者の方のレポートでした。
まだまだLGBT当事者にとって、働きやすさが整っていない環境があるのも事実…。しかし、この方のように理解ある先輩と巡り合い、自分らしい働き方を目指している方の言葉は、LGBT当事者にとっては勇気になるのではないでしょうか。

18卒LGBT学生の就活スタートアップイベントレポート

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18卒LGBT学生の就活スタートアップイベント開催

こんにちは!nijipi編集長のtommieです!
8月27日(土)に株式会社Nijiリクルーティングが開催した「LGBT就活応援会」に取材に行ってきましたので、レポートします!

当日のプログラムは、「就活スタートアップ講座」と「交流会」の二本立てでした。
今回のイベントに参加したのは、18卒就活生でありLGBT当事者もしくはアライのみなさん。さらに、交流会では希望の企業から内定を獲得した17卒のLGBT学生さんたちも加わりました。

「どんな企業で働きたい?」就活スタートアップ講座

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就活スタートアップ講座は、基本的な就職活動のノウハウを学ぶ内容でした。
「就活の目的は2018年4月から働く会社を探す、見つける、決めること」。そのためにやるべきことは何なのか?を講師がわかりやすく解説。
途中でテーブル毎に「今自分が考えている希望の就職先」についてディスカッションを行いました。

当日使用されたスライド
就活スタートアップ講座

LGBT学生のみなさんにとっては就職先を選ぶ上でセクシュアリティの問題も気になるところ。
今回のイベントでは参加者がLGBT当事者もしくはアライのみということで、みなさん自分のセクシュアリティのことも気兼ねなく話すことができたようです。

「大学で専攻している分野を活かしたい」
「Xジェンダーなので服装が自由な職場がいい」

「就職で東京に出たいと思ってる」

「自分はチームワークよりも一人で集中する仕事の方が向いているかも」

「ダイバーシティを推進している企業がいい」

などなど、みなさん今自分がイメージする働き方を自由に話し合っていました。

ディスカッション中の様子。
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最後に講師から、希望の就職先を探すには①自分の希望や適性を内省し、明確にすること、②どんな会社があるのかを知ること。そしてそのためには、たくさんの情報をインプットすることが大切だという話がありました。

18卒の就活では2017年3月に広報解禁すると経団連が発表しています。しかし、これはあくまで経団連が会員企業1340社に向けて通知しているにすぎません。多くの企業がすでに様々な手法で採用活動を行っており、企業と接触できる機会はたくさんあります。

「今の時期から、たくさんの情報をインプットしましょう!」講師からのそんなメッセージで講座はしめくくられました。

「就活で苦労したことは?」17卒LGBT学生に質問!

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続いて行われた交流会では、アルコールや軽食も出され、和やかな雰囲気でスタート。ここから希望の企業から内定を獲得した17卒のLGBT学生さんも加わりました。

18卒のLGBT学生さんからの質問に、17卒のLGBT学生さんが答えるという場面も。

これまでNijiリクルーティングの就活イベントに参加したり、キャリアアドバイザーに就活相談をしながら無事内定を獲得した17卒LGBT学生のみなさん。
「内定先が決まってほっとしているし、うれしい」
「自分の体験が後輩のみなさんの役に立てれば」
と話していました。

こんな質問が出ていました!

Q.今の時期から就職活動に向けてやっておいた方がいいことってありますか?
A.インターンシップの参加、SPIの勉強、業界・企業研究をしておくといいと思います。自分が就活を経験してみて、早い時期からやっておけばよかったなと思いました。

Q.就活では誰に相談しましたか?

A.就職を経験している友人にアドバイスをもらいました。友人は一度就職したのですが、再度専門学校に通っています。自分のやりたいことをどうやって見つけたのかなど、相談に乗ってもらいました。

Q.セクシュアリティはオープンにしましたか?
A.私はオープンにしました。ですが、いい反応をされない企業もあったので、失敗したなと思うこともありました。カミングアウトするかしないかは自分が必要だと感じればすればいいと思います。カミングアウトする場合は、企業の社風や社員さんの人柄などを見極めた上で、タイミングをはかって行うのがいいと思います。

LGBT学生同士で交流できて楽しかった

当日のアンケートでは、多くの参加者の方が「楽しかった」と回答。

「普段LGBT当事者と交流する機会があまりないので交流できてよかった」という方や、「同じセクシュアリティの人と話したいと思い参加した。実際に出会えて話をすることができてよかった」という方も。

最後には気の合った人同士で連絡先を交換するなど、それぞれが交流会を楽しんだ様子でした!

就活ではいろんな人に話を聞いてみるのも大切ですよね。
今回のイベントでは18卒同士はもちろん、17卒と18卒とも交流ができ、みなさん楽しそうに帰っていきました^^!

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関西外国語大学卒、LGBTアライ。
nijipi編集長。イベント&エンタメ系担当。趣味はアイドルのおっかけ。

「LGBTは社会で許容されるべきではない」93%の人がYESと答えるインドネシア

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「LGBTは社会で許容されるべきではない」93%の人がYESと答えるインドネシア

アメリカのピュー研究所が2013年に発表した「ホモセクシュアリティーに対しての寛容度調査」内の「ホモセクシュアリティーは社会で許容されるべきか」という質問で、90%以上が「NO」と答えたインドネシア。
なぜインドネシアにはこのような考えを持つ人が多いのでしょうか。

インドネシアはイスラム教徒の人口が世界最大の国であり、国民のほとんどがイスラム教です。イスラム教では同性愛が禁止されていることから、ゲイやレズビアンなど同性愛者に対する世間の目は厳しく、LGBTの存在はまだまだ社会に受け入れられていません。

さらに、2016年からLGBTなどのセクシュアルマイノリティ(性的少数者)に対する非難や攻撃がますます加速していることが問題になっています。

インドネシアで最も強固にLGBTに厳しい態度を取るのはスラム組織を統括する「インドネシア・ウラマ評議会(MUI)」です。彼らはその宗教上の理由から、LGBTを許容することはできないとしています。

彼らを含むLGBT反対派が今、起こしているのが、刑法改正のための裁判です。
「成人の同性間の同意に基づく性行為を犯罪化し、最長5年の禁固刑」という内容を刑法に追加することがその目的。この法律が可決されれば、現在法律レベルでは規制されていないLGBTが正式に国家の規制の対象となってしまいます。

インドネシアのLGBTへの差別は様々な形で行われています。
2016年1月には、イスラム防衛戦線と呼ばれる過激派グループが、インドネシアの大都市であるバドゥンの宿泊施設に、同性カップルを「発見」したとして襲撃をかけました。建物を襲った後、同団体は「レズビアンとゲイは我々の地域に入るな」という趣旨の文言を書いた旗を掲げ、LGBTへの明確な差別を示しました。

暴力的ではない差別も無視することはできません。インドネシアの放送監視官からは「検閲令」が出されました。それによって、LGBTの人々を正常なものであるとする番組の放送が禁止されました。
また、インドネシア通信情報省がLINEのアプリ内で販売されていたLGBTに関するスタンプを削除するよう申請。LINEはこれを受けて削除を行いました。

精神科医の医師会がLGBTを「精神疾患であり、矯正すべきもの」と発言したころから、LGBTは正常ではないという考えがさらに拡大。
若い母親向けに「自分の子供がどうしたらゲイにならないか」というセミナーも開催されています。

インドネシア政府は、こういった事態にどのような対応をしているのでしょうか。
現政府は、LGBTに関して「LGBTの人々は人権を持つインドネシア国民である」という見解を持っています。しかし、決してLGBTについて寛容なわけではありません。
ルフット・パンジャイタン政治・法務・治安担当調整相は「LGBTは染色体の病気であり、治療が必要である」といった発言をしており、政府は反LGBT団体の過激な差別行動には一切の沈黙を保っています。

こあせんせーは先日TEDで「子ども達が成し遂げたバリのレジ袋廃止運動」を観て大変感銘を受けました。そんな素敵な人々がいるインドネシア。
LGBTの人たちも暮らしやすい社会になってほしいな、と心から思いました。

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こあせんせー
早稲田大学法学部卒のストレートアライ。
時事ネタ、法律関係が得意。趣味は将棋とモノポリー。

上司・同僚・部下がLGBだとしたら?「嫌でない」が65%「嫌だ」が35%

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LGBT等のセクシュアルマイノリティ当事者は8%

日本労働組合総合が、LGBTに関する職場の意識調査を行いました。
調査は2016年6月30日~7月4日の5日間、インターネットによって実施され、全国20~59歳の有職男女1000名が回答しました。

自認している性別、性的指向を聞き、回答を分類したところ、LGBT当事者は8.0%という結果が出ました。

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LGBTに関する職場の意識調査より http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/chousa/data/20160825.pdf

LGBTの認知率は47%。

LGBTの認知状況について「知っていた」が47.1%。世代別にみると若い世代ほど認知率が高い傾向にあり、20代が最も高く54.8%という結果になりました。
また、役職別では管理職の56.1%が最も高い結果となり、役職が上位である程認知率が高い傾向がありました。

上司・同僚・部下がLGBだとしたら?「嫌だ」が35%

上司・同僚・部下がLGBだとしたら?の質問に、「嫌でない」が65.0%、「嫌だ」が35.0%という結果に。
世代別では「嫌でない」との回答は20代が最も多く、71.6%でした。役職別では「嫌でない」との回答は、一般社員・一般職員が64.8%、リーダーの役割が66.1%、管理職が64.9%でした。

また、上司・同僚・部下がトランスジェンダーだとしたら?という質問にでは、「嫌でない」が73.7%、「嫌だ」が26.3%でした。
LGBの当事者に対する抵抗感よりも、Tの当事者に対しての抵抗感が低いことがわかりました。

LGBT関連のハラスメントの原因は「差別や偏見」と考えるが59.5%

職場におけるLGBT関連のハラスメントを受けたり見聞きしたりした人は22.9%となりました。
LGBT関連のハラスメントの原因を聞いた質問に関しては、「差別や偏見」が最も多く59.5%、次いで性別規範意識(「男」はこうあるべき、「女」はこうあるべき等の規範意識)は43.4%、「職場の無理解な雰囲気」18.1%、「上司のハラスメントに対する意識の低さ」16.9%、「会社(組織)全体としての職場の人権に関するポリシーがない」15.7%、「いわゆる「LGBT」に関するハラスメントの啓発不足」15.0%が続きました。

LGBT関連のハラスメントは、差別や偏見が原因と考えている人が多いこと、職場にも原因があると考える人も少なくないことがわかりました。

トランスジェンダーへの配慮は「性自認に基づいた自由な装い」が38.1%

職場におけるLGBT関連の差別に関する質問では「なくすべき」の回答が81.0%となりました。
トランスジェンダーへの配慮が課題になった・課題になったと聞いたことがあるかという質問には、10.1%が「課題になった・聞いた」と回答。
また、今後トランスジェンダーへの配慮としてどのようなことが必要だと思うかという質問には、「性自認に基づいた自由な装い」が38.1%、「性自認に基づいた装いをできるように、話し合いや調整を行う」が36.6%となりました。
一方で「特に配慮は必要ない」は29.0%となっており、役職別では管理職が最も高く43.9%となりました。

管理職では認知度や受容度が高い反面、抵抗感等もやや高い傾向に

今回の調査から、日本労働組合総合連合会は「管理職では認知度や受容度が高い反面、抵抗感等もやや高い傾向」があると発表しています。

職場にLGBT当事者がいることに抵抗がない人が65%である一方で、抵抗がある人も35%存在することが気になるところ。
LGBTに関するハラスメントをなくすべきとの回答は81%ではありましたが、まだまだ職場でのLGBTへの配慮は十分とはいえないようです。
ただ、LGBTフレンドリー宣言を行い積極的に取り組んでいる企業も増えてきています。nijipiではそういった企業の取り組みも紹介していきたいと思います!

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早稲田大学法学部卒のストレートアライ。
時事ネタ、法律関係が得意。趣味は将棋とモノポリー。

渋谷区と世田谷区の「パートナーシップ制度」何が違うの?

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同性カップルの婚姻関係に相当する「パートナーシップ制度」が、2015年に渋谷区と世田谷区で導入されました。
パートナーシップ制度には法的な効力はありません。しかしながら婚姻関係と同等のものとして自治体が証明することで、これまで同性カップルにとっては難しかった同棲や入院時の面会などが認められやすくなります。
では渋谷区と世田谷区の制度にはどのような違いがあるのでしょうか。

条例と要綱の違い

渋谷区のパートナーシップ制度は「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」という“条例”です。条例とは法令の一種で、議会の決議を経て決定されるものであり、守らなければいけないルールです。

世田谷区のパートナーシップ制度は、「世田谷区パートナーシップの宣誓の取扱いに関する要綱」という“要綱”です。要綱とは、事務をする上で必要となるマニュアルのこと。不公平なく、スムーズに事務処理を行うために定められたものです。法令ではないので、法的な拘束力はありません。

発行される書類の違い

渋谷区ではパートナーシップ証明書が発行されます。
これは、同性パートナーシップであることを渋谷区が認めるという証明書です。

世田谷区では受領証が発行されます。
これは、世田谷区に対して自分たちがパートナーシップであることを宣誓し、それを世田谷区が受領するという書類です。

申請費用と期間の違い

渋谷区でパートナーシップ証明書を申請するには、2種類の公正証書が必要です。二人分の書類作成に約8万円の費用がかかります。また、申請から発行までには1週間程を要します。

世田谷区の宣誓には公正証書が必要ないため書類作成費用はかかりません。
宣誓には予約が必要なので事前に世田谷区に問い合わせた上で区役所に行く必要はありますが、受領証は即日発行されます。

パートナーシップ制度に違反した場合の違い

渋谷区の条例には、違反した事業者には是正勧告を行い、勧告に従わない場合には事業者名を公表するといった内容が盛り込まれています。

(相談及び苦情への対応)
第15条 区民及び事業者は、区長に対して、この条例及び区が実施する男女平等と多様性を尊重する社会を推進する施策に関して相談を行い、又は苦情の申立てを行うことができる。
4 区長は、関係者が前項の勧告に従わないときは、関係者名その他の事項を公表することができる。
「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」

一方世田谷区の要綱には渋谷区のような内容は明記されていません。

効力がより強いのは渋谷区、手間・費用がかからないのは世田谷区

渋谷区のパートナーシップ証明書は、条例に基づいたものであることから、世田谷区の受領証と比較すると効力がより強いと言えます。
しかし手間や費用を比較すると、世田谷区の方が手軽に手続きをすることができます。

私の初めての彼女

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LGBT当事者もしくはアライによる「セクシュアリティ」に関するレポートを紹介するシリーズ。
今回はアメリカ留学中の体験からセクシュアリティをより意識するようになったという方のレポートです。

BUG=卒業するまではバイセクシュアル

「BUG」という言葉をご存知だろうか。
この言葉はBisexual untill graduationの頭文字をとったもので、直訳すれば「卒業するまではバイセクシュアル」である。英語圏、特にアメリカの大学生の一部が使う言葉である。

日本では寮生活をしている大学生は少数だが、アメリカでは大半の大学生が大学内の寮に入る。
寮に入ると新しい出会いもなく、異性との関わりが極端に減る。そういった生活を続けていると、本来はストレート(異性愛者)ではあるが、同性に対して恋愛感情を持ち始めたり、同性で性的欲求を満たそうとする人たちがいる。このように大学卒業の間だけバイセクシュアルとして過ごしている人のことを「BUG」と呼ぶ。

かくいう私もアメリカ留学中、何か月も寮で過ごしていたためか、パーティーでレズビアンの人にキスを求められ応じてしまったことがある。
同性を好きになるという感情はなかったが、地味な寮生活に刺激がほしかったのか、それから何度かそういう事があった。

夏休みに入る前に、一人の女性と出会った。
彼女は優しくユーモアがありすぐに仲良くなった。周りの友人から「お似合いのカップルだね」とよく言われるようになったが、「仲良しだね」程度の意味で言われているのだと思っていた。

しかし、相手の様子が以前と違ってきていた。もしかして私たちはカップルとして付き合っているのだろうか?そう考えるようになった。しかし相手に聞くのも失礼な気がしてしまい、もやもやした思いを持ちながらもそのまま夏休みに入った。
夏休み中に届く彼女からのメールは嬉しかったし、早く会いたくなった。

夏休みが終わったある日、私は彼女の友達何人かの前で、「私のgirlfriend」だと紹介された。
やはり私たちは付き合っていたのか…。

いざ付き合っていると思うとメールの返信が遅いことにやきもきしたり、他の人と二人でいることにも嫉妬したり、彼女のルームメイトをライバル視したり…、とにかく私は面倒な彼女だった。

しかし、帰国の日が近づくにつれ、どんどん気持ちが冷めていった。特に彼女から別れは告げなかったが、寄せ書きには「またあなたと一緒になりたい」と書かれていた。

彼女からは「帰国前に会いたい」というメールが届いたが、返信はしないままに帰国の日を迎えた。

帰国後、私は彼女のFacebookで新しいガールフレンドらしき人ができたことを知ったが、特別何も感じることはなかった。あれ程思っていたのに大学を出たとたんに気持ちが消えてしまったのだ。

これが私が体験した、典型的なBUGの一例である。

子供からのカミングアウト90%が「受け入れる」

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子供からのカミングアウト90%が「受け入れる」

「LGBTマーケティングラボ」が日本全国の子どもがいる男女を対象に、「もし子どもからLGBTのカミングアウトを受けたら?」という調査を行いました。(2016年8月8日〜8月11日のインターネット調査。調査対象は30~59歳の男性 285名、女性281名の計566名)

この結果、全体の90%近くの親が「子供がLGBTであることを受け入れる」と回答。
内訳としては「受け入れたくないが、しょうがないので受け入れる」が 38.9%、「時間をかければ受け入れられる」が27%、「驚くがすぐに受け入れる」が18.4%、「好意的に受け入れる」が4.9%となりました。
一方で、「断固として受け入れられない 」は10.8%となりました。

LGBTの知識がある親は「受け入れる」

「受け入れる」と回答した理由については、「親の意思で変わるわけではないから」が61.2%と最も多く、次いで「ニュースなどで色々なセクシュアリティがあると知っているから」が 42.6%、という結果になりました。

この結果から、受け入れると回答した親の多くが、LGBTの知識があることが伺えます。

「受け入れたくない」と回答した理由で最も多かったのは「この先苦労しそうだから」が50.8%。子供の将来を心配していることが理由でした。

次いで多かったのは、「恥ずべきことだと思うから」29.5%、「気持ち悪いから」26.2%、「病気だと思っているから」21.3%となりました。

この結果から、受け入れたくないと回答する親の約半数はLGBTの知識がなく、偏見を持っていることが伺えます。

これらの結果から、親にカミングアウトした際の反応は、親のLGBTへの知識が左右することがわかりました。

「カミングアウトした相手」は親よりも友人が多い結果に

NHKが2015年に行ったLGBT当事者へのアンケートにおいて「カミングアウトした相手」の質問に対する回答では、「家族」が51.2%であるのに対し、「LGBTではない友人」が82.6%、「LGBTの友人」が78.8%という結果になりました。
この結果から、家族へのカミングアウトはLGBT当事者にとってハードルが高いことがわかりました。

昨今では様々なメディアでLGBTを知る機会があり、LGBTに理解ある人も増えてきました。しかしまだまだ偏見もあります。
LGBTをアイデンティティとして誰もが受け入れる。そんな社会になれば親へのカミングアウトに悩む当事者も少なくなるのではないでしょうか。
やはりそのためにもアライの存在は不可欠ですね。こあせんせーも自分にももっとできることがあるのではないか、改めてそう思いました。

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「同性婚が特別でなくなることを願う」リオ五輪金メダリストの女性バスケ選手が同性婚を発表

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Elena Delle Donne Official Instagramより @de11edonne

「同性婚が特別でなくなることを願う」リオ五輪金メダリストの女性バスケ選手が同性婚を発表

過去最多のLGBT表明選手が出場したリオオリンピック。その選手の中の1人、女子バスケットボールアメリカ代表メンバーとして金メダリストになったエレナ・デレ・ダン選手が、アメリカのファッション雑誌である『VOGUE』で同性愛者であり、交際中の女性と婚約状態にあることを語りました。

リオオリンピック開催前に行われたインタビューでデレ・ダン選手は、「この発表はカミングアウトを主目的としたものではない」と発言。同性愛者であるという告白に世間が騒がなくなることが目標だと語っています。
デレ・ダン選手はオリンピックを前にしてこの発表ができたことをとても喜んでいるそうです。
彼女がSNSを通して公開しているパートナーとの写真には全世界から「いいね」の声が届いています。素敵なプロポーズの写真もその中には入っていて、彼女たちがいかに幸せなカップルであるかを知らしめる形となっています。

パートナーの女性と。
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Elena Delle Donne Official Instagramより @de11edonne

アメリカは2015年に全州で同性婚が認められた

同性婚が世界で初めて合法化されたのはオランダであり、2001年に同性婚の法律が制定されました。
その後、ベルギーやスペイン、カナダがこれに続き、現在では約20か国が同性婚を法制化しています。

アメリカでは2004年にマサチューセッツ州で同性婚の登録が開始しましたが、州によって同性婚に対する考えは様々。賛成・反対の激しい論争が続いていましたが、2013年にアメリカ連邦最高裁判所が婚姻を男女間に限定した連邦法が違憲だとする判断を下しました。しかし、アメリカ合衆国では、連邦制をとっているため、同性婚が認められるには各州での立法が必要です。
2014年の時点では13州が同性婚を認めないとしていたため、これに対し同性カップルが提訴。しかし、オハイオ州、ミシガン州、ケンタッキー州、テネシー州の4つの州を管轄する合衆国高等裁判所が同性婚を認めない判断を示したため、最高裁判所に判断が委ねられることになりました。
その結果、2015年6月に最高裁判所が全州での同性婚を認める判断を示し、大変な話題になりました。

アメリカでの同性婚を巡る歴史的な裁判はドキュメンタリー作品「ジェンダーマリアージュ」として映画化もされ、様々な映画賞を受賞しています。

世界では多くの国が同性婚を認めていますが、まだまだ「同性愛」や「同性婚」は特別な事例としてメディアに取り上げることが多いのが現状です。
デレ・ダン選手は、「女性と結婚しても私の顔が変わるわけではないし、イメージに影響するわけでもない」と話しており、いつか結婚が同性婚だからという理由で騒がれるのではなくなってほしいとも話しています。

とても素敵で幸せそうなカップルですね!
デレ・ダン選手は「何も包み隠すことなくやっていこうと決めました」とインタビューで話しているそうです。
リオ五輪に出場したアメリカ代表のバスケットボールチームにはデレ・ダン選手の他にLGBTであることを公表している選手が3名います。
現在はLGBTというと、どうしても特別なこととして報道されがちです。しかし、著名人のカミングアウトや幸せな報告はLGBT当事者にとって勇気になるはず。今はまだ特別なこととして報道されますが、こうした発表が増えていくことで、いつしかそれが特別ではないこととして世界に浸透していくといいなと思いました!

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LGBTイベント 8/29~9/4

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こんにちはnijipi編集長のtommieです!
今週は9/4(日)までの全国LGBTイベント情報をピックアップします!

[福島]第14回ふくしまダイバーシティ・ナイト

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毎月行われているトークイベントの第14回目。今回のテーマは「みんなで考えよう、表現の自由!」。
事前予約不要で参加できるそう。
年齢層は様々、初めての方も大歓迎、セクシュアリティを明かす必要もなし、話を聞くだけでもOKとのこと。気軽に交流してみたい方にもおすすめです。

第14回ふくしまダイバーシティ・ナイト
開催日:8月29日(月)
開催時間:19:00~20:30
開催場所・会場:Live & Coffee Bar Re-Acoustic
福島県福島市大町2-11
入場料:1,000円(ワンドリンクつき)※学生500円
URL:http://diversity-fukushima.jimdo.com/

[北海道]さっぽろじぶんカフェ

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「コミュニティセンター・にじいろほっかいどう」が主催するイベント。
にじいろほっかいどうは、北海道の性的マイノリティとその生き方を支援する人々が連携して、みんなが暮らしやすい社会を作るために活動する新しい非営利グループとして、様々なイベントや講演会を開催しています。
さっぽろじぶんカフェは事前申し込み不要の交流イベントです。

さっぽろじぶんカフェ
開催日:9月4日(日)
開催時間:14:00~17:00
開催場所・会場:7丁目のママ
札幌市中央区南5条西7丁目 第一ファミリービル1階
入場料:1ドリンク500円(2杯目以降200円、高校生以下学割あり)
URL:http://nijiirohokkaido.jimdo.com/

どちらも継続的に開催されているイベント。気軽に交流できそうですね(^o^)!
nijipiではLGBTイベントカレンダーに今後の予定もまとめていま~す♪
よければこちらもどうぞ♪LGBTイベントカレンダー

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「知ることから始めましょう」岐阜県関市のLGBTフレンドリー宣言

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2016年8月10日、岐阜県関市がLGBTフレンドリー宣言を行いました。
10日に開かれた記者会見では、尾関健治市長が総合福祉会館前の広間で「LGBTフレンドリー宣言」(岐阜県関市HPでの発表 http://www.city.seki.lg.jp/0000010054.html)を行い、空にはLGBTを表すレインボーカラーを模して色とりどりのバルーンが飛ばされました。

LGBTフレンドリーとは?

さて、そもそも「LGBTフレンドリー」とはどのようなものなのでしょうか。
一般的な意味としては、「LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなどのセクシュアルマイノリティの人々)に対して温かく、開かれた状態」であることを示します。
具体的な内容としては、差別禁止の明文化、LGBTの理解を促す啓発、同性カップルを異性と同等に対応する制度の導入、LGBT関連イベントの積極的な開催や協賛などが挙げられます。
そして、この状態になるように努力します、という趣旨の宣言を「LGBTフレンドリー宣言」といいます。

岐阜県関市のフレンドリー宣言の内容とは

LGBTへの理解を広め、差別をなくしていく活動
・関市職員、保育士、教職員を対象とした研修の実施
・関市の市民を対象としたセミナーを開催
・広報せきやHP等を活用した情報発信
・LGBTに関の理解を深める子ども向け及び教職員等大人向けのパンフレットやポスターの作成、配布
・中学校等の児童生徒及び保護者が相談できる環境の整備
・LGBTの理解を深める授業づくり
・企業に採用や職場環境整備についてのLGBTを差別しないよう啓発
・パートナーシップ証明を発行した際に、その証明をもって家族と認めサービスが受けられるよう企業や病院等に協力を依頼(病院での連帯保証人、市営住宅や賃貸住宅への入居等)
・LGBTに関するe-ラーニング教材の開発と提供

LGBT当事者が暮らしやすい市にしていくための活動
・パートナーシップ証明書発行
・電話による相談の実施
・公共施設に多目的トイレを設置するなど、だれもが使用しやすい表示に改善
・LGBT当事者である関市職員が働きやすい職場環境の整備
・同性パートナーを配偶者と認め、家族手当の支給・結婚休暇の取得・結婚祝い金の支給が行えるよう制度の見直し

その他、コミュニティスペース(交流会)の開催など、上記のような内容を進めていきたいと宣言しました。

尾関健治市長自身も体験、「知ることが大事」

フレンドリー宣言を行った関市の尾関健治市長がLGBTフレンドリー宣言をするきっかけとなったのは2015年3月に参加したLGBTセミナーだったようです。尾関健治市長は自身のブログにて下記のように述べています。

LGBTの方が抱えている問題やLGBTフレンドリーの自治体や企業の動きを伺って、初めて知ったことも多かったですし、今まで何気ない会話の中で、自分自身も誰かを傷つけていたこともあったんだ、と思いました。

私自身にも先入観というか思い込みのようなものがあったのですが、今日のセミナーでかなり取れた気がします。

企業では優秀な人材確保や売上げアップに結びつけるため、LGBTフレンドリーの取り組みを進めている企業が出ているのですが、関市としても考えていきたい、と思います。

日刊「オゼ☆ケン通信」より http://oze-ken.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/9-1ba6.html

また、LGBTフレンドリー宣言を行った当日のブログでは、下記のように書き込みを行っています。

今回の「LGBTフレンドリー宣言」は、まずは市役所内から研修会をはじめ、市内の企業・団体、市民の皆さんに理解が深まるよう、今日から活動をスタートさせる、というものです。

「レズ」や「ゲイ」という言葉を聞くだけで、心に壁を作られる方も少なくない、と思います。私も3月に市川さんの講演を聴くまで、率直に言って同様でしたのでお気持ちは分かります。

まずは、知ることから始めましょう。

日刊「オゼ☆ケン通信」より http://oze-ken.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/lgbt-617d.html

尾関健治市長は記者会見で「フレンドリー宣言はキックオフのようなものであり、これから取り組みを進めていきます」とも語っています。
注目度の高いパートナーシップ証明に関しては来年度にも導入したい考えとのこと。今後の取り組みが注目されています。

 

尾崎健治市長自身が「知る」ことで意識が変わり、理解へとつながる体験をしたことがフレンドリー宣言のきっかけにもなったのですね。
こあせんせーもこれまでLGBTに偏見はなかったものの、勉強することで初めて知ったことはたくさんありました。
あらゆる差別の根本には、「知識がないこと」があるように思います。
“まずは知ること”…とても大切なキーワードだと思います。

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この記事を書いた人

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こあせんせー
早稲田大学法学部卒のストレートアライ。
時事ネタ、法律関係が得意。趣味は将棋とモノポリー。