保険証の「通称名」表記について

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は保険証についてです。

京都府酒販国民健康保険組合が、戸籍上は男性ですが女性として生活している京都市の50代の会社経営者について、保険証に通称の女性名を記載することを認めました。保険証において通称名の使用が認められるのは極めて珍しいといえます。

一般に「通称名」とは外国籍の者が日本国内で使用する通称名を指します。また、トランスジェンダーの人が使用する戸籍上とは異なる名前を指すこともあります。

経営者は2012年にGID(性同一性障害)と診断され、2014年春に性別適合手術を受けました。ホルモン治療を受け、化粧をするなど普段から女性として暮らしています。子どもがいるため、戸籍上の氏名は日常生活への影響を考えて変更していないそうです。
そのために、病院で男性名で呼ばれたり、人間ドックでは男性用の更衣室に案内されて、ストレスを感じていました。

経営者は本人が加入している組合に相談をしました。そして、差支えないという厚生労働省の判断で通称名の使用が可能になりました。今までは、改名をしていないと保険証の氏名は変更できないという認識がありました。しかし、これによって手術をしていない方にとっても大きなメリットとなると思います。

通称名の使用についてはいくつかの大学や企業で使用を認めているところもあります。しかし、保険証や公的な身分証において認められたということはすごいことだと思います。普段から自分の戸籍上の名前に違和感を抱いている人たちにとって喜ばしいニュースですね。

トランスジェンダーが生活上で抱える悩みはたくさんあると思います。少しづつ周りの理解を広めていけば、自分が過ごしやすい環境を作り出すことが可能かもしれません。この経営者のように、積極的に行動してみると良い方向に進むかもしれませんね。

テキサス州の町長、トランスジェンダー公表

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は、テキサス州の町長、トランスジェンダー公表についてです。

テキサス州の小さな町で、町長がトランスジェンダーであることを公表しました。
「受け入れてもらえたら嬉しい」とそれだけを願って告白した彼女であったが、待ち受けていたのは予想もしない暖かなサポートでした。

テキサス州ニューホープで2016年5月から町長を務めるジェス・ヘルブスト町長は、町のウェブサイトに「ニューホープの皆さんへのオープンレター」を掲載しました。
彼女は記憶のある限り幼いころから、トランスジェンダーであることを伝えました。
彼女の性的指向は女性であり、妻も娘もいます。その家族にも自身のことを話していて、支えてくれていると話しました。

また、彼女は女性として生きる決断までの道のりや、トランスジェンダーとしての人生をブログに綴ってきています。それをみなさんに読んでもらいたいと紹介し、彼女はジェフという名前からジェスに変えました。

このオープンレターに対し、予想を上回る励ましの手紙が届いたそうです。保守的な街においてこのようなやり取りが見られるのは、社会の大きな変化の第一歩だとも言えそうですね。少しずつ、LGBTやセクシュアルマイノリティに偏見のない世界になろうとしているように感じます。

アメリカでは最近大統領がトランプさんになったことで、アメリカの今後を不安視するLGBTの声で溢れ返りました。彼は、反LGBTとしても知られてきました。それは「同性婚合憲判決を見直す必要がある」などの発言から見受けられたものです。しかし、選挙間近の演説では、レインボーフラッグを掲げるなど、その言動がころころ変わってあまり信用ができないのが今の印象です。これからのトランプさんの発言や行動に目が離せないですね。

LGBT入居可能物件検索サービス開始について

LGBT当事者orアライによるレポート。今回はLGBT入居可能物件検索サービス開始するSUUMOについてです。

住宅情報サイトの大手である「SUUMO」がLGBTも入居可能である物件検索サービスを開始することが分かりました。これによってLGBTであることを理由に、入居を断られるなどの不当な扱いを受けることなく、入居できるのではないのでしょうか。

LGBTの住宅事情

そもそも、なぜこのようなサービスが必要なのでしょうか。本来であればLGBTであることは関係なく住居を選択できるはずです。
そこには、当事者の抱える様々な問題があります。“夫婦同士として、入居したいのに世間的には「お友達」としていないといけない”不動産会社には同性カップルだと受け入れてもらえても、大家にそれが伝わると入居を拒否されることがあるそうです。

また、トランスジェンダーの方で、外見上と戸籍上の性別が一致していないと、問い詰められてカミングアウトしなくてはいけなくなります。不動産会社は理解があっても、大家に受け入れてもらうのは難しかったりするなど、いろいろ困難があるようです。

LGBTの人たちが、同居に制約を感じたり入居そのものを断られたりして、物件を探す際に苦労している現状がある。そういった問題を改善するために、このようなサービスが生まれたのです。具体的には、SUUMOで扱う賃貸住宅のうち、LGBTの人たちも入居可能だとうたう物件を登録する取り組みを来月からスタートすることを決めました。

これによって、理解のある大家のもとで安心してパートナーと入居できる人が増えそうですね。業界大手がLGBTのための入居可能検索サービスを取り入れたのはこれが初めてだと言います。来月からサービスを開始するそうなので、これを機に、新しい住まいを探してみても良いかもしれません。

映画「ムーンライト」でLGBTに触れる

LGBTに関連する映画紹介。今回は現在上映中の「ムーンライト」を紹介します。

ムーンライトとは

主人公シャロンの少年時代、高校生時代、青年時代の3つの時代を描いた作品です。

少年時代のシャロンは内気な性格で、学校ではいじめの標的にされてしまいます。唯一の友達は同級生のケヴィンです。
シャロンはそんなケヴィンに惹かれていきます。

高校生になったある日の夜、シャロンとケヴィンは初めてお互いの心に触れることに。
しかしその翌日、学校ではある事件が起こります。

LGBTQ作品初、アカデミー作品賞受賞

自分の居場所を探し求める主人公の姿を色鮮やかな映像と情緒的な音楽でつづったムーンライトは、北米で大ヒットし、数々の賞を受賞しました。

第74回ゴールデン・グローブ賞では作品賞
第89回アカデミー賞®では作品賞・脚色賞・助演男優賞(マハーシャラ・アリ)の3部門受賞

LGBTQをテーマにしたラブストーリーが、作品賞を受賞したのはアカデミー賞史上初です。

LGBTに触れ合う

人種、年齢、セクシュアリティを越えた普遍的な感情が描かれているムーンライト。
純粋で美しい愛の映画として話題になっています。

LGBTの幼少期を描いた作品はあまりなく、LGBTについて知る機会、多様な個性を持つ人が生きやすい社会にするためにはを考えさせられる映画にもなっています。

親友のカミングアウト

LGBT当事者orアライによるレポート。今回はカミングアウトについてです。

親友の話をしようと思います。

親友と私は高校1年生の時に出会いました。
同じクラスで、共通の趣味から初対面から話が弾み、気づけば毎日一緒に過ごす仲になりました。

そんな親友から、ある日突然「実は、女の子と付き合っている」という話を聞きました。
私は親友が冗談を言っているのだと思いました。
なぜなら親友と私は、それまで頻繁に男性の好みや結婚観についての話などをしていたからです。
何の違和感もなく、“親友の恋愛対象は男性である”と認識をしていた私には、冗談のようなカミングアウトでした。

親友は私にパートナーを紹介し、詳しく話をしてくれました。
中学校の同級生で、女友達として接していたが、卒業前に「ずっと好きだった」と告白され、それを受け入れたとのこと。
親友は告白されるまで、自分のセクシュアルはストレートであると認識していたが、レズビアンの女友達からの告白で、バイセクシュアル、あるいはパンセクシュアルと呼ばれるようなセクシュアルであることに気付いたそうです。

性にとらわれない、“人として好き”だから受け入れるという親友の想いに、私は驚きとともに感動したことを覚えています。
同性の恋愛について、お互いの本質をとらえた深い愛の形であると思えるようになりました。

その後も二人はデートの報告や喧嘩の相談など、それぞれ私に連絡をしてくれます。
高校卒業後から同棲をはじめ、最近は結婚についても二人で話し合いはじめたそうです。

親友たちがこれからもずっと一緒にいられることを祈っています。

友情結婚とは?

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は友情結婚についてです。

同性婚の認められていない現在の日本では、ヘテロセクシュアルではない人にとってその選択肢はないものになっています。
偽装結婚や友情結婚という言葉をきいたことあるでしょうか?今回は日本初の友情結婚支援サービスについて紹介します。

友情結婚・偽装結婚とは?

友情結婚とはその名の通り、恋愛ではなく友情が成立している2人の間の結婚です。
同性愛者やAセクシュアルの人は、異性と恋愛をして結婚する、というプロセスは踏むことはありません。しかし、家族など世間からの結婚へのプレッシャーは、生涯独身の割合が増えたとはいえど存在します。
このような場合に仲のいい異性と、「家庭を築く」ことができるのが友情結婚です。
一般に偽装結婚というとそのイメージは、犯罪や在留資格をとるためのネガティブなものでありますが、友情結婚はそうではなく、お互いの利害が一致した場合に成立します。

友情結婚相談所

友情結婚相談所カラーズ(https://www.colorusfsb.com/)は、日本初の友情結婚をしたい方のための結婚相談所です。
もともと婚活支援事業を行っている会社が運営しているため、安心できるサービス化と思います。

どのような需要があるのか

同性愛者(ゲイ、レズビアン)の方からの需要はあるかと思います。その他には、バイセクシュアルからの需要もあるかと思います。
その他、ノンセクシュアルやAセクシュアルなど、異性との性的接触に抵抗のある人からの需要もあるそうです。

友情結婚を望む理由については、上記で述べたように親や社会的なプレッシャーによって、結婚することで周りを安心させたいというものがあります。
他にも、生涯独身であることがさびしい、という理由で家庭を求める人がいます。
また、異性との性的接触を望まない場合でも、子供が欲しいという人も存在します。友情結婚をした家庭で子供を育てるのであれば、傍から見ればごく一般的な家庭であるため、友情結婚をするメリットはあるかと思います。

最後に

年頃になれば異性と結婚し、子供を育てるという慣習は、日本で伝統的に続いているものです。田舎であれば、都心部よりもそこに対するプレッシャーは大きいものです。

しかし、本当に恋愛対象として好きな異性と結婚して家庭を持つことだけが幸せの形ではない、と私は思います。
伝統に縛られない、新しいライフスタイルの方法の1つとして、友情結婚を視野にいれてみてはいかがでしょうか。

地方でのLGBTの知名度を上げたい

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は地方でのLGBTをテーマにした講演会についてです。

岩手大学LGBTs学生団体Poi(ぽい)が今年2月に性のあり方や多様性をテーマとした講演会「『あたりまえ』にクエスチョン!」を同大学学生センターB棟1階多目的室で開催しました。

講演会は同団体が制作したパンフレットを基に、性別や恋愛、結婚に関することや、「男らしさ」「女らしさ」という考え方など、性のあり方に関して「当たり前」と思われている事柄に疑問を投げ掛けながら、参加者と一緒に多様性について考えていく内容となったようです。

同団体はLGBTsやその当事者であるAlly(アライ)の居場所作りを目的に活動している団体です。
映画鑑賞や座談会、勉強会などの活動を通したコミュニティーづくりを中心に、大学の文化祭などでパネル展示やワークショップを行いLGBTsに関する情報発信や啓発活動を行っているそうです。

地方では都会と異なってLGBTのコミュニティが少なかったり交流する機会があまりありません。
LGBTの存在すら知らない人がたくさんいるため、正しい知識がないままに偏見を持つ人も少なくありません。そのために地方のLGBT当事者は都会と比較すると孤立しやすい、差別されやすいといった傾向があります。

地方で、ダイバーシティを積極的に推進するには、そしてその人たちにLGBTの存在を知らせるためには、やはり誰かから情報を得ないと分からないと思います。そして、この講演会で当事者の想いを実際に聞き、自分自身で気づくものが多くあると思います。LGBTやセクシュアルマイノリティを知ることで何か自分の考えが変わるかもしれません。

オーストラリアのLGBT事情は?現地レポート

LGBT当事者orアライによるレポート。今回はオーストラリアのLGBTについてです。

先日旅行でオーストラリアのシドニーへ行ってきました。日本はまだまだ寒いですが、シドニーはまさに真夏、汗がとまらない中観光してきました…(笑)

シドニーといえば南半球最大のゲイパレードともいわれるMardi Grasが開催されています。パレードは2月から3月にかけてのようなので、時期は合いませんでしたが、ゲイタウンに行ってきたので、写真とともにご紹介します。

Hyde ParkやDarling harborなどの観光地から歩いて行ける距離にあるOxford Streetです。ゲイタウンとして有名ですが、写真右手は普通のカフェなんです。わかりにくいですが、左手の標識の柱部分もレインボーになっていて、すごくカラフルな通りでした。
いった時間は昼だったのでバーはまだ開いていませんでしたが、夜はきっともっとにぎやかなんだと思います。

通りに貼ってある広告は、ドラッグクイーンによるショーの宣伝なようです。昼ですが通りでは虹色の衣装を身にまとったドラッグクイーンの方々も見かけましたよ!

オーストラリアのLGBT事情

シドニーのあるオーストラリアのLGBT事情はどうなんでしょうか。同性婚こそ認められていないものの、同性カップルの養子縁組を認めていたり、同性愛差別を法律で禁止しています。

去年の年末には、同性婚合法化の国民投票が行われる一歩手前という段階でしたが、野党の反対により投票は行われませんでした。
投票が行われれば合法化確実とも言われていただけにとても残念でした。

また冒頭でも少し触れましたが、Mardi Grasという南半球最大級のパレードが毎年行われています。今年は2月17日から3月5日まで行われるようです。

おまけ

シドニーで少しお世話になった大学の寮には、Ally Programと題した活動のポスターが貼ってありました。許可がとれなかったため画像を貼れないのが非常に残念ですが、男性と思われる方が2人手をつないでいる写真とともに次のようなことが書かれていました。

・性的(gender,sexual)なアイデンティティにかかわる問題に気付けるようにしよう
・性的指向やジェンダーに関係なく、学生たち全員を尊重しよう
・多様で安全なこのキャンパスをこれからも支持していこう

学生の多くが住んでいる寮にこのような掲示がされているのは素晴らしいですよね。だんだんとLGBTであることが多様性の中の1部として受け入れられているようで、日本も同じように進んでいってほしいと思います。

学校で起こるLGBTに関わるいじめ問題

本日は、LGBT当事者orアライによるレポートです。

東京都の渋谷区と世田谷区で同性カップルに対するパートナーシップを認める制度が導入されるなど、同性カップルへの配慮も少しずつですが進んできたような気がします。

LGBTやセクシュアルマイノリティへの理解や認識は、徐々に日本でも広まっているように感じます。
それは、テレビや新聞、SNSなどで取り上げられることが増えてきたからだと思います。しかし、それは学校などにおいてもその理解は広まっているのでしょうか。

2013年のデータによると、回答者の84%が、学校でLGBTをネタにしたからかいを見聞きした経験があったそうです。
それだけではなく、回答者の68%がLGBTであることを理由に暴力やいじめを受けており、担任の教師が加害者だったケースも12%あったといいます。
生徒・児童同士のいじめや暴力でなく、加害者が教師だったケースが12%もあることは衝撃的な事実です。

私には、小学生の妹がいます。ある日、妹とクラスの友達について話しました。
「クラスの中に、男の子だけど仕草や話し方が女の子っぽい子がいるの」と話していました。また、何人かはその子のことをからかっていると言っていました。

やはり、どんなに幼くても人の振る舞いや行動でセクシュアリティを勘付くものだと思います。これから先、多様な性があることを、妹をはじめとする今の子どもたちはどこで、いつ、だれから教えてもらうのでしょうか?
教師さえ、偏見を持っているようではこの状況は変わらないようにも思えます。

LGBTを学ぶことで気づいたこと

LGBT当事者orアライによるレポート。今回はLGBTを学ぶことで気づいたことです。

私は留学していたオーストラリアで、セクシュアルマイノリティ(ゲイ)である中国人と友達になった。
私は彼との出会いによってセックス、ジェンダー、セクシュアルマイノリティに興味を持つようになった。

留学する前から、西欧には日本に比べてカミングアウトしている人が多いということはなんとなく知っていた。
しかしセクシュアルマイノリティの人と友達になるのは初めてで、LGBTについての知識が自分には全然足りないと感じるようになった。その当時私はまだ専攻をはっきりとは決めていなかったため、LGBTについてもっと知識を深めたいと思いジェンダースタディーズを専攻することを決めた。

ジェンダースタディーズの授業で学ぶことは多かった。
まず、ジェンダーとセックスの違いだ。
私は性についてそれまで深く考えたことがなかったため、セックスは生物学上の性であること、ジェンダーは文化・社会的性であることにまず驚いた。

日本にはここまではっきりとこの2つの違いを説明できる言葉はないのではないかと思った。
この2つの違いはとても大きく、特にセクシュアルマイノリティの人にはとても大切なことである。それなのに日本語には「性別」という単語にセックスとジェンダーどちらの意味も含まれていることに違和感を覚えた。

また、授業を受けていく上で「普通・標準」を意味する「norm」という単語を頻繁に耳にした。
セクシュアルマイノリティは社会でnormとして認識されていないことが問題視されている、といった話題でよく使われていた。

私も、ジェンダーについて学ぶ前は、自分は女だから恋愛対象は男であると思っていた。
しかし、社会のnormに縛られてそう思い込んでいるだけなのかもしれない、と考えるようになった。今も自分のセクシュアリティについては考えている最中だ。

性ついて何が普通で何が普通でないかを決めているのはマジョリティだ。
マイノリティにとっての「普通」は、マジョリティにとっては「普通ではない」。それが要因となってマイノリティは生きにくくなっている。

働くということに関しても、マイノリティにとって困難はたくさんある。
セクシュアリティは人間のアイデンティティを形成する大きな要素のひとつだ。しかし、現在は自分のセクシュアリティを話すことを躊躇う人も多いため、どこか本来の自分を隠しながら働かなくてはいけない人も多い。

このような現状を変えていくためにも、もっともっと理解者が増え、お互いを尊重し合える社会になっていけばいいと思う。