アメリカの企業がLGBTダイバーシティを積極的に進める理由とは?

9e170b8159a54f785f0b850e08f42b3d_s

LGBTダイバーシティを積極的に進める理由

アメリカでは、LGBTを含めたダイバーシティに積極的な企業が、日本と比較すると多い傾向にあります。

例えば、2013年2月には同性婚を国レベルで認めてもらえるようにアメリカ全土で200社以上もの大企業が申請しました。

アメリカの婚姻制度は州法によって異なるため、2015年までは同性婚が認められていない州もありました。
そのためアメリカ全体でビジネスをする企業は、州によって社員の福利厚生制度等を変更する必要がでてきます。
アメリカ全土で同性婚が認められれば、業務の効率化にもなるという考えから、多くの企業がアメリカ全土での同性婚合法化を支持しました。

企業がLGBTダイバーシティを推進する理由は、その他にも様々あります。

・企業イメージのup
LGBTダイバーシティに積極的であることは、消費者、投資家などに好印象を与えます。
LGBTに対応しているかどうかを、取引や企業を評価する際の基準にする企業も増えています。

・優秀な人材の獲得、企業ロイヤリティの向上
LGBTの対応に積極的な企業には、優秀なLGBT当事者はもちろん、LGBT非当事者も集まりやすくなります。
LGBTに対応しているということは、ダイバーシティが進んでおり、誰もが働きやすい企業であるというひとつの指標になるからです。

また、既存の社員の企業ロイヤリティの向上にもつながり、離職防止になります。

LGBTに関する企業の役割

アメリカでは、企業がLGBTダイバーシティを積極的に推進することで、LGBTの認知、理解を広めることに貢献しました。

現在のアメリカでは、すでにその段階は過ぎ、他社と比較しどれだけのことが出来るか、という企業間競争の時代になっています。
それは人権のためでもあり、ビジネスのためでもあります。アメリカは、LGBTを二つの側面から生かしているのです。

現在の日本でもLGBTダイバーシティを推進する企業が徐々に増えてきました。
LGBTダイバーシティを推進することが、企業の成長にも好影響を及ぼすという理解が広まっているのです。

日本でも誰もが働きやすい社会に向けて、少しずつ変化しています。

日本のLGBTフレンドリー企業一覧はこちら

LGBTの認知が高まると、ホモフォビアも増える?

39007f4bd36bcd1500cf5f54885ac6ca_s

LGBTの存在が認知され、LGBTは身近な存在であるということが近年理解されるようになってきています。
その一方で、このような懸念も存在しています。

「LGBTの認知度が上がれば、それに対するホモフォビア的迫害も強くなるのではないだろうか」

この問いは、果たして本当に正しいのでしょうか。

ホモフォビアとはなにか

ホモフォビアとは、ギリシア語の「homo-(同じという意味。ホモセクシュアルもこの言葉に由来する)」と「-phobia(恐怖の意味を表す接尾辞)」からきている言葉であり、「同性愛者や同性愛に対する嫌悪感や恐怖」を意味します。

このホモフォビアの根本は、大きく2つあると考えられています。

1つは、宗教的な理由から。
信じている宗教が同性愛を禁じているために、ホモフォビア思想を持つ場合があります。

もう1つは、生理的嫌悪からホモセクシュアルを否定すること。
これは「よく分からないから」などの知識不足からくるもの、「興味があるが、それを認めたくない」という防衛機制からくるもの、「自分が性の対象になることが怖い」といった危機感からくるものがあります。

これらの理由はいずれも根深いもので、簡単には解消できないものだと言えるでしょう。

日本におけるホモフォビア

日本は海外よりも過激なホモフォビアが少ないような印象を受けますが、日本にも、ホモフォビアは存在します。

日本で特によく見られるのが、「無意識の」ホモフォビアです。

・「オカマ」「ホモ」などの表現を使う
・教師や親が子供に「男らしく」「女らしく」と言う、もしくはそのような行動を強いる
etc…

これらは、ホモフォビア的でありながら、ホモセクシュアルやLGBTへの明確な悪意をもってされるものではありません。
このような「ホモフォビアもどき」とも言えるようなものが、多く見られる傾向があるように思われます。

LGBT浸透による、ホモフォビアへの影響

LGBTの存在が世間に広まることで、ホモフォビアへの影響は少なからずあるでしょう。

声を上げることで、潜在的なホモフォビアの人を刺激してしまうのではないかという声も聞かれます。
もちろん、身近にいるLGBTの人々の存在を受け入れられない人もいるかもしれません。

しかし、LGBTの認知度が高まり、理解が深まることで、改善される可能性があるものがあります。

それは、先ほど述べた、「意識されないホモフォビア的文化」です。

例えば、「オカマ」「ホモ」といった言葉がLGBTの人たちを無意識に傷つけてしまう可能性がある、と知れば、改めようとする人々が出てくるでしょう。

LGBTの認知度が高まるということは、決して悪いことではありません。
LGBTとホモフォビアの共存できるところを探していくことも、今後可能になってくると思います。