アセクシュアルを認識して

LGBT当事者orアライによるレポート。今回はアセクシュアルについてです。

ゴールデンウィークに開催されたTOKYO RAINBOW PRIDE2017は、来場者数が10万人を突破したそうです。その中のLGBT当事者が何割いたのかはわかりませんが、数年前に比べると非当事者、いわゆるストレートの人でもこのような活動に参加をする人は格段に増えたと思います。

「色んな愛の形があっていい」「自分らしく生きることができる社会を」

このような言葉を掲げてパレードを歩いたり、ブースを出展しているのをいくつも目にしました。しかし私はまだまだ、世間に可視化されていないセクシュアル・マイノリティはたくさんいると思います。

アセクシュアルとは

Asexual(アセクシュアル)とは、性指向の1つで、日本語では無性愛と訳されます。他者に対して、恋愛感情や性的欲求を抱かない人のことを指します。

誤解されがちなのですが、友情という意味で人を好きになるということはあります。あくまで恋愛対象としての好きという感情を抱かないということです。

アセクシュアルへの理解

ふと見渡してみると、この社会は本当に恋愛することが前提で成り立っていると感じます。一昔前までは異性愛ばかりでしたが、最近同性愛について認識されはじめています。「愛に性別は関係ない」と言うことなんて、つい数十年前までは考えられなかったでしょうから、ずいぶんと変わってきているだろうと思います。

しかしやはり、性別は関係なくても恋愛を誰しもがすることが当然のようになっていると思います。交際経験がないというだけでも、20歳位になるとかなり珍しがられます。特に学生時代においては、好きな人がいないと言うと、無理やりにでも気になっている人をきかれることもありました。修学旅行の夜などに、このような経験をした方も多いのではないでしょうか。

LGBT関連の活動でも、同性愛やトランスジェンダーについてのものが多くて、恋愛をしないという選択肢はあまり語られることはありません。LGBT当事者の中でもアセクシュアルという言葉自体きいたことがなかったり、知っていてもいることを忘れている場合が多い気がします。

これからのLGBTの認識

LGBTという4文字、4つのセクシュアリティについては認知度は高いですが、それ以外のセクシュアル・マイノリティはまだまだ認知されていません。アセクシュアルの他にも、両性や無性などのXジェンダーや、トランスジェンダーではない異性装などもそうだと思います。(異性装がセクシュアル・マイノリティかは微妙かもしれませんが)

人間は誰しも同性か異性と恋をし、性行為をする。人間の性別は男女2パターンのみ。このように思われているのをだんだんと変えていくのが次の段階ではないでしょうか。

大学におけるLGBT対応

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は大学におけるLGBT対応についてです。

昨今LGBTに対する認識も高まってきましたが、大学でもLGBTに対する認識が高まってきています。身近なところだと、全国の様々な大学においてLGBTサークルが結成されていることが挙げられます。

早稲田大学

そのような団体が結成される一方で、2017年4月8日付けの日経新聞によると、早稲田大学が4月から性的少数者(LGBT)が安心して学生生活を送れる環境の整備に乗り出したと報道しました。この内容を要約すると多目的トイレを「誰でもトイレ」と改称し、教員には性別を問わずに「さん」付けで呼ぶように指導して、相談窓口も設置しました。その相談窓口として「GS(ジェンダー・セクシュアリティ)センター」を新設し、専門知識を持つ職員を配備しました。

このように大学においても様々な背景を持つ学生のために、ダイバーシティの確保が課題となってきました。

国際基督教大学

この問題に対して早大よりも早くから取り組んでいた東京都三鷹市にある国際基督教大学では「各人の性自認や性的指向を尊重」を明記した学長宣言を公表しています。

2015年秋には、「LGBT学生生活ガイドin ICUトランスジェンダー」というガイドブックを出しました。ガイドブックによると、ICUでは2003年より性別に違和感を持つ学生の学籍簿上の指名・性別表記の変更が可能でしたが、人権相談員が対応しなければならず、2015年より通常の学生対応で可能になりました。

また体育実技の授業では、2015年より性別を問わずに利用できる更衣室が新しく常設されました。更衣室利用の際は内側から鍵をかけることができるため、登録がなく自由に使うことができます。さらに学生寮でも上層階に性別を問わないフロアを初めて設置しました。

他にも、学内行事とし「ふわカフェ」と呼ばれるイベントが存在し、相談よりもより気軽に参加することができ、予約不要参加費無料で、飲み物やお菓子が用意されており「ふわっとおしゃべり」できる環境が整っています。

最後に

ICUでも入学から卒業まで男女二元論・異性愛主義が基準となっている部分も依然としてまだ多くあります。その原則を維持したまま、マイノリティを特別扱いして対応する体制はかえって差別にもつながってしまうこともあり、ただ単純にICUを「先進的LGBTフレンドリー大学」といった評価することができないことも現状の問題点として浮き彫りになっているのではないでしょうか。

今週の記事まとめ

今週公開した記事をまとめてご紹介します!

セクシュアルマイノリティの就職活動や職場の問題

セクシュアリマイノリティと一口で言っても、労働環境における問題はさまざまです。

https://nijipi.lgbt/job/3834

LGBTフレンドリーなカフェ&バー~Osora ni Niji wo Kake Mashita~

2014年4月26日青森県の戦後闇市の時代からある駅前銀座という飲屋街に、コミュニティカフェ&バー「Osora ni Niji wo Kake Mashita」(お空に虹をかけました)がオープンしました。

https://nijipi.lgbt/life/3840

タイ王国におけるLGBTの権利

約11万人が参加したTOKYO RAINBOW PRIDE 2017。今回は共同代表を務める杉山文野さんに、TOKYO RAINBOW PRIDEについて、そしてLGBTダイバーシティについて、お話を伺いました。

https://nijipi.lgbt/life/3849

韓国でのLGBTの受け入れについて

LGBTについての説明をする際に、「大きく性自認と性的指向で分ける」という言われ方がされます。
性自認に関して言えば、男女かどちらでもない(Xジェンダー)と言われることがほとんどですが、今回はこの性自認という概念について、もう少し細かく考えてみたいと思います。

https://nijipi.lgbt/life/3852

韓国でのLGBTの受け入れについて

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は韓国でのLGBTの受け入れについてです。

韓国人は20歳以上になれば性別適合手術の実施が認められます。2002年には法的に性別変更が可能となりました。また韓国では同性愛について言及した項目はありません。しかし韓国軍では法律において、同性間の性行為は最長で懲役1年間と規定されており、「相互強姦」と呼ばれています。その背景として、韓国では最大宗派がキリスト教であることから同性愛を「ソドム」として悪いものだととらえていました。そのため韓国では日本よりも自身のセクシュアリティのカミングアウトが困難な社会であることがわかります。

その例として、一部のキリスト教の団体がLGBTについて激しいデモを行いました。そのプラカードには「同性愛が早く治りますように」、「同性愛が神の教えに反している」、「私たちは普通の家族をサポートします」書かれており、LGBT差別は過激なものになっています。さらに、韓国では教育者がLGBTに偏見を持っている人が多く、学校でLGBT差別を受けている生徒の40パーセントが「学校の先生」から差別を受けていると答えた。

しかし一方で、KQCFというLGBT応援のイベントが行われ、過去最多の3万人が参加しました。ここでも一部の韓国人がパレードを妨害する様子が報道されています。韓国でも少しずつ理解しようという運動は起っているようですが、差別社会である韓国では他の国に比べれば理解は得られていません。

ソウル大学学長のLGBT告白

そのような社会状況の中、2015年11月にソウル国立大学の学生会長であるキム・ボミさんが会長選挙演説中にレズビアンであることを公表しました。韓国の最高学府でもあるソウル国立大学での出来事であるだけに、韓国国内で大きな話題を呼びました。

しかしカミングアウトをした後は、「実は私もそうだった」というような声も届くようになり、周囲の反応が少しずつ良い方向へ変わっていく様を目の当たりにしてさらなる勇気を得たそうです。

韓国でも若い人たちでは偏見は少なくなっており、偏見のほとんどは中高年の層であることかからも、彼女が勇気を出して告白してくれたことによって韓国社会では大きな衝撃を受けたことからも、今後LGBTを含めたマイノリティの人たちに対して寛容な社会になることを期待したいです。

タイ王国におけるLGBTの権利

LGBT当事者orアライによるレポート。今回はタイ王国におけるLGBTの権利についてです。

私が今年の春休みにタイへ旅行した際、タイの人たちは日本人に比べてLGBTに対してかなりオープンだなと感じたので少し調べてみることにしました。

LGBTに対してオープンなタイ

まず初めに、私がそう感じた実際のエピソード少しお話します。

バスツアーに参加した際、運転手さんの自己紹介が、「私はゲイです!」から始まったことが最初の驚きでした。日本では、このような自己紹介を聞いたことがなかったからです。そこから派生して、この国にはゲイが使う挨拶もあるということをガイドの方が教えてくれました。私はこのとき、タイには性別によって違う挨拶があるということを初めて知りました。他にはニューハーフショーを鑑賞しました。

第三の性、中立な性別である不特定を現在認めている各国

同性婚・・・アメリカの一部の州、カナダ、フランス、イギリス、北欧各国

第三の性・・・インド、パキスタン、バングラディッシュ

不特定・・・オーストラリア

このように、性的少数者の権利保護は世界的に進んでいます。

こういった動きがある中で、外国人の性転換手術も可能など、LGBTや性別に対してかなり理解のある国の一つがタイです。また、東南アジアで一番LGBTフレンドリーな国もタイといわれています。

18の性別が存在

タイには、男性・女性・ゲイ・レズビアン・レディボーイ・トムボーイ・男性と女性のバイセクシュアル、さらに細分化すると18の性別が存在します。特に女性の格好をした男性であるレディボーイ、いわゆるニューハーフはとても有名で、タイのニューハーフショーは国の名物でもあります。このように、タイでは性的少数者に対する差別があまりありません。家族や周りの人たちからの偏見もほとんどないようです。

法的課題

とはいっても、タイでは現行の法律では性別を変えることができません。そのため、レディボーイに対しても“男性”として徴兵検査が課せられたり、男性間および女性間の性的な関係は違法ではないけれど、同性間カップルやその家族に対しては異性カップルが享受できるものと同一の法的保護は受けられないなどといった法的課題がまだまだあるそうです。

タイでは、2015年に憲法起草委員会性が、新憲法において同性愛者“第三の性”の権利を認めることに同意し、2011年からは政府機関やNGO団体が法律草案を作成し、政府による承認の道を模索しています。同性婚が法的に認められ、LGBTに関する法律が制定される日も近いかもしれません。

LGBTフレンドリーなカフェ&バー~Osora ni Niji wo Kake Mashita~

2014年4月26日青森県の戦後闇市の時代からある駅前銀座という飲屋街に、コミュニティカフェ&バー「Osora ni Niji wo Kake Mashita」(お空に虹をかけました)がオープンしました。この場所は、人種、職業、性別、性的指向、性自認、性表現、年齢などに関係なく、みんながゆったりと過ごせて、安心して話せる場所として、特にLGBTの方々や、性暴力に悩む方々、そのほか生きづらさを抱える人のために開かれました。

そらにじカフェ&バーって?

ここでは、お茶をしたり、ごはんをたべたり、お酒をのんだりする以外にも、たとえば地域の人やお友達とのイベントをするのに使ったり、企画を持ち込めば一緒にイベントをしたりなど地域の情報から、全国各地のお役立ち情報をシェアできるそうです。

また、困りごとが起きたとき、悩んでいるとき、何か助けがほしいなと思うときは、そうしたことに対応できる相談員もいます。生活が苦しい、子育てに困っている、セクシュアリティについて悩んでいるなど、様々なことについての情報が置いてあり、本などを読むことも可能です。

これまでに行ったイベント

・青森レインボーパレード

・講演イベント(レイプトラウマ・シンドローム、セクシュアル・マイノリティ×DV、LGBTに対する暴力)

・大画面でファミコン

・流しそうめん

スタッフの声

街中にこのような学びの場を設けることはずっとやりたかったこと。私たち自身お客様からたくさん学びを得ることができました。

お店について、セクシュアル・マイノリティや性暴力サバイバー、DVサバイバーなど、何らかの“問題がある人”じゃなきゃ行けないんでしょ?という声をよく聞くのですが、そういった区別は特にありません。自分に何があるかなんて、自分が決めればいいことですよね。あってもなくても、私たちは同じ街に一緒に生きているんですから。

実際にそらにじカフェ&バーに行った方の声

最初そらにじを知ったのは読売新聞でした。「行ってみたいけど、僕大丈夫かな?」という気持ちを胸にめちゃくちゃドキドキしながらお店のドアを開けたことを覚えています。そんな僕をそらにじは笑顔で迎えてくれて、僕は僕のままでいいってことを教えてくれました。むしろ、僕は自分自身を諦めていたことが恥ずかしく思えました。

そらにじに出会えて本当によかった。

最後に

都内に限らず地方でもこのような活動がされていることは、私たちアライにとってとてもうれしいことに思えます。LGBTなどに理解のあるカフェ&バーとして、青森に留まらず全国に広まっていってほしいです。

今週の記事まとめ

今週公開した記事をまとめてご紹介します!

同性婚に反対する意見

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は同性婚についてです。
同性愛者はなぜ「結婚」というものにこだわるのでしょうか。
アメリカでは65万世帯に上ったが、彼らにとって結婚とは異性愛者にだけ認められた「特権」であり、法的な婚姻関係にないと、相続や税金などの優遇措置が得られず、不利益を被ってしまうからです。世界では同性婚が徐々に認められつつあります。

https://nijipi.lgbt/life/3797

対物性愛者~「物」と結婚する人々~

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は対物性愛者に関してです。
LGBTという枠からは外れるかもしれませんが、今回は、特徴的な恋愛観をもった人達「対物性愛者」の人達を紹介します。

https://nijipi.lgbt/life/3748

日本の性教育 前編

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は日本の性教育についての前編です。
日本の性教育に関しては、現在も様々な議論が行われています。海外と比較して、「遅れている」と言われることがありますが、その現状はどのようなものなのか。

https://nijipi.lgbt/life/3800

日本の性教育 後編

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は日本の性教育についての後編です。
日本の性教育に関しては、現在も様々な議論が行われています。海外と比較して、「遅れている」と言われることがありますが、その現状はどのようなものなのか。

https://nijipi.lgbt/life/3803

日本の性教育 後編

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は日本の性教育についての後編です。

日本の性教育に関しては、現在も様々な議論が行われています。海外と比較して、「遅れている」と言われることがありますが、その現状はどのようなものなのか。

njipiの記事でも日本の性教育の現状に関しては一度触れています。
https://nijipi.lgbt/life/1739

abemaTVの番組『Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース~』では、性教育をテーマに数人の女性が議論を交わしました。
非常に興味深い内容だったので、ぜひ紹介したいと思います。

「いやよいやよも好きのうち」の風潮

望まぬ妊娠のケースの多さに関係する点で、女性の決定権が男女の関係であまりないことがあげられています。
アダルトビデオの中には、嫌がる女性に対して男性が迫る、というシチュエーションがあります。
もちろん、あくまでアダルトビデオはフィクションの世界なのですが、これが男性に対して、「いやよいやよも好きのうち」という女性への誤解を生んでいる原因になっているのではないかと思います。
そもそも、性行為に対して女性が消極的で受け身であるのがいいこととされている現状に、スウェーデン人の柚井ウルリカさんは疑問を抱いていました。
既存のアダルトビデオに疑問を持った女性たちが、正しい避妊の仕方などの場面がしっかりとある女性向けのアダルトビデオを制作したというのには驚きました。

コメント

女性へのアダルトビデオ出演強要をめぐり、裁判沙汰になったケースが報道されたのはつい最近のことです。
“hentai”が英語圏でも使われていることからもわかる通り、日本のアダルトビデオは海外でも有名です。
有名であることがいいことか悪いことかはわかりませんが、他国に比べて「異常」な部分が存在しているのが理由だと思います。
また性教育に関しては、「未成年での性行為を助長する恐れがある」との理由で禁止されているとのことですが、正しい知識を得られる場がまったくないことのほうが私は問題だと思います。
ノンセクシュアルを自認する方の中には、過去にトラウマになる出来事があったことが理由になっている方もいるかと思います。
そのトラウマの理由として、相手が間違った知識を持っていたから、ということもあるかもしれません。
また本人が間違った知識を持ってしまったことで、嫌悪感を抱いている場合もあるかもしれません。
個人的には、「腐女子」と呼ばれる人向けのコンテンツとしての男性同士の性行為が描かれることが非常に多いのも、間違った知識を得る原因になっているのかと思います。(特に性感染症に関して)
教育に関しては、制度が変わるまでは何も変わることはありません。性に関しては細かな問題が多くありますが、望まぬ妊娠に関しては、はやい時期から正しい知識を得る機会が必要なことは確実です。
すぐに状況が改善することは難しいですが、だんだんとよい方向に向かっていくことを願っています。

日本の性教育 前編

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は日本の性教育についての前編です。

日本の性教育に関しては、現在も様々な議論が行われています。海外と比較して、「遅れている」と言われることがありますが、その現状はどのようなものなのか。

njipiの記事でも日本の性教育の現状に関しては一度触れています。
https://nijipi.lgbt/life/1739

abemaTVの番組『Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース~』では、性教育をテーマに数人の女性が議論を交わしました。
非常に興味深い内容だったので、ぜひ紹介したいと思います。

学校で性行為について教えられない現状

現在日本の教育現場においては、「性行為」「セックス」と言った言葉を使うことが禁止されています。
番組では実際に避妊について生徒に話をした教師が、PTAからのクレームで退職まで追い込まれたケースが紹介されていました。
学校現場での性教育が実質的に不可能なことから、インターネットなどから子どもたちは性に関する間違った知識を得ていると、番組内では指摘されていました。

間違った知識が望まぬ妊娠の原因になっている

学校で正しい知識が得られない子どもたちにとって、アダルトビデオが情報源になっています。
しかし、アダルトビデオでは正しい避妊方法や感染症予防に関する指導はほとんどと言っていいほどありません。
この現代の「AVが教科書になっている」現状が、性感染症リスクが高まっていることや望まぬ妊娠があることの原因になっていると指摘されています。
とくに望まぬ妊娠に関しては、膣外射精であれば妊娠しないという誤解が広まっている現状があります。
番組内には避妊具メーカーの社員の方も登場していて、いくつかの避妊方法に関する議論も交わされていました。
40代の妊娠の多さや、11歳での妊娠があるということにも驚きましたが、個人的には妊娠した女性の中の36%が望まぬ妊娠だったと回答していることです。
学校教育現場で正しい性に関する知識を教えることで、望まぬ妊娠のリスクは下げることができるのかと思うととても残念です。

後編に続く

対物性愛者~「物」と結婚する人々~

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は対物性愛者に関してです。

LGBTという枠からは外れるかもしれませんが、今回は、特徴的な恋愛観をもった人達「対物性愛者」の人達を紹介します。

対物性愛とは

人間や動物などの生命があるものではなく、建物や物に愛情を抱き、性的興奮も感じる1つの恋愛価値観のことです。
虐待を受けた経験や、性的暴行を受けたことがあったり、人間関係で上手くいかなくて人と関わらなくなるようになった結果、物に愛情を抱くようになったりします。
その対象は、車、塔、オルガンなど多岐に渡ります。現在精神医学会などでは認知されていませんが、世界で40人ほどいるとされています。今回は世界でもあまり例を見ない対物性愛者の方を複数人紹介したいと思います。

ベルリンの壁と結婚した女性

スウェーデン出身のエイヤ=リータ・エクレフ=ベルリナー=マウアーさんは「対物性愛」に関して最初に公表した人とされています。
彼女は小さいときにベルリンの壁をテレビで見て以来、壁に恋をしてしまい、ベルリンの壁に何度か訪れたのちに、1979年に「結婚」しました。
結婚した後は、自らをドイツ語でベルリンの壁を意味する「Berliner-Mauer」と名乗り暮らしていたのですが、1989年にベルリンの壁が崩壊した際に二人の愛も崩壊しました。
ドイツ国民が喜びに沸く中、彼女だけは「夫の死」を悼んで悲しみに暮れていたそうです。

エッフェル塔と結婚した女性

アメリカ人のエリカ・ラ・トゥール・エッフェルさんは約3年間の「交際」の末、2007年にエッフェル塔と結婚しました。
初恋の相手はランスという「弓矢」に恋をして、その後世界トップクラスのアーチャーとなったほどです。その次に恋をしたのはドイツ・ベルリンの壁で、壁の破片をベッドルームに持ち込んで、関係を持つに至ったらしいです。
ただエリカさんが永遠の愛を誓った相手はエッフェル塔でした。法的手続きも行い、正式に結婚しました。

遊園地のアトラクションと結婚する予定の女性

アメリカニューヨーク州在住のエイミー・ウルフさんは宇宙船の模型、ツイン・タワー、教会のオルガンや手すりなど、複数の物と交際しています。
中でも最も愛を注いでいるのは、アメリカペンシルバニア州の遊園地にある“千夜一夜物語”というアトラクションです。過去10年間で“千夜一夜物語”に乗った回数は3000回にのぼり、現在州に結婚が認めてもらうように申請中だそうです。

ゲームキャラクターと結婚した日本人男性

「Sal9000」というハンドルネームで知られる日本人男性が、ニンテンドーDSの恋愛ゲーム「ラブ・プラス」のキャラクター姉ヶ崎寧々と結婚しました。
グアムで正式な結婚式も挙げて、日本でも披露宴を開催しました。披露宴ではふたりの馴れ初めを描いたスライドショーや、新郎新婦のキスなどが披露されました。披露宴の様子は動画配信サイト、ニコニコ動画で生放送されたようです。

この他にも対物性愛者の方はいますが、どの方も自分が対物性愛者であることに恥じる様子もなく非常に堂々としています。結婚式も行うぐらいですから社会に発信する事も恐れていません。LGBTとは事情が異なると思いますが、LGBTの方もこのように堂々と恋愛をできる日がくるといいですね。