ペンギンの同性カップル

ドイツにあるブレーマーハーフェン動物園で飼育されているドッティーとジーというフンボルトペンギンが、ゲイカップルとして10年を迎えました。

10年前に、動物園は二羽ともオスだということを知らずに飼育していました。しかし、2005年にDNA鑑定をしたところ、二羽がオスでありそのために子供ができないことが判明しました。

同動物園において、ペンギンの同性カップルは一組だけではありません。十組のカップル中三組が同性カップルだそうです。動物園は、フンボルトペンギンの絶滅を危惧してメスのペンギンを新たに増やして飼育してみるなど試みた。しかし、結果は試みに反して同性カップルが以前にも増して恋愛関係を持ち始めたそうです。

ドッティーとジーは「家族を作りたい」という意思表示である巣作りを毎年行っているそうです。2009年に、この二羽には母親に捨てられてしまった卵を与えられたそうです。二羽は役割を分担して、卵をかえし、食べ物を与えました。

科学者によると、地球に存在する450種以上の動物に同性愛行動が見られているそうです。
「ゲイ&バイセクシュアル」の動物はたくさん存在しています。子孫繁栄の目的があるから同性愛はありえないという考えは異なっているようです。

例えば、バンドウイルカの場合だと多くの場合がゲイもしくはバイセクシュアルなのです。バンドウイルカは動物の中で最も賢いとされていて、コミュニケーション能力に長けているそうです。

また、オスのブラックスワンのおよそ25%は同性のパートナーと一緒になっています。そのカップルはメスを含めた三羽で性行為に及んで子供を作り、子供を作った後はメスを追い出してオス同士のカップル二羽で育てていくそうです。

このように同性愛・両性愛は人間だけでなく他の動物にも見られるようです。
人間を含め様々な愛の形があり、子供の育て方があることが分かりますね。

「お母さんが二人」LGBT家族

LGBT当事者orアライによるレポート。今回はLGBT当事者の家族についてです。

最近20~30代のレズビアンの間に「妊活」が広まっているそうです。
LGBT家族を応援する団体「にじいろかぞく」の代表、小野春さんは、以前の異性結婚で授かった男の子2人と、そして離婚後に出会った同性パートナーとその娘と、10年ほど前から暮らしています。

2人の関係については、同棲当初から子どもに言わずとも隠していなかったが、5年前、都内のホテルで開催した結婚式を機に、彼らに正式にカミングアウトしたといいます。
以後、どこにでもいるような仲良しの5人家族として生活をしています。

「私たちのなかでは、ごくごく普通の当たり前の家族。親しい友達や家族、親戚などには言っていて、理解もしてもらっています」。
子どもたちの学校ではカミングアウトしていないが、2人は保護者として同様に認識されていて、互い先生たちに「もう1人のお母さん」として自然に接してもらっているそうです。悩みもあるが、ある意味、日常生活のなかでは一般の家族同様に受け入れられているようにも感じ取れるそうです。

以前の異性結婚でできた子どもを育てるLGBT家族が多いですが、人工授精で子どもを産んで育てている女性のカップルも数年前から着実に増えています。
里親になる同性カップルもいるそうです。そして以前より、妊娠をするために行動を起こすレズビアンが急増しています。
たとえば人工授精や施設などについての情報交換などが行われているそうです。そんな彼女たちをテレビなどで見て、自分たちも様々な方法で子どもが産めることに気づき行動を起こし始めたレズビアンが多いのです。

~感想~
同性同士でも結婚し子供ができて楽しい生活を送ることができると思うと、不安にならずに将来に希望を持てる同性愛者の方も多いのではないのでしょうか。
一方で同性愛者の間に生まれたり、育てられた子供はコミュニティ内で差別を受けやすい傾向にあるそうです。そういった二人の間の子どものこれからの問題も考えていくことが大事になるでしょう。
日本でも同性愛者はこれからも増え続けていきます。その中で、同性愛者の子どもの権利の保障は守られなければなりません。いじめなどに苦しまないような行政や地域、学校、企業の取り組みがこれからも注目されていくでしょう。

LGBTのためのオリンピック?フランスで開催予定

昨年8月にブラジルで開催されたオリンピック、日本でも連日テレビで中継され、大きな盛り上がりを見せました。
また、今回の五輪は自身のセクシュアリティをオープンにした選手が過去最多というニュースも話題となりました。(参考:リオ五輪LGBT選手の47%がメダルを獲得!!
しかしこのオリンピックとは別に、ゲイのオリンピックが行われているのをご存知でしょうか?

Gay Games

その大会の名前はGay Games。1982年に、第一回がアメリカのサンフランシスコで開催され、以降オリンピックと同じく4年に1度のペースで行われています。
夏季オリンピックの中間の年に行われるので次回は2018年、8月4日~12日、フランスのパリで開催されます。

どんな大会なの?

オリンピックという名前こそ使っていませんが、様々な種目があるのは同じ。次回のパリでは36種目が行われる予定です。卓球やバレーボール、柔道と言ったおなじみのスポーツから、フランス発祥のカーリングに似たペタンク、水上で行うピンクフラミンゴなど、ユニークなものまであるようです。
気になる参加資格ですが、なんと条件は特にありません!開会式当日に18歳以上になっていれば、国籍やセクシュアリティなど、全て不問だそうです。
また、運動のみならず、文化的な側面もあり、映画上映やオーケストラの演奏、ファッションショーなども行われます。

Gay Gamesの思い

名称こそゲイ(同性愛者)の運動会ではありますが、Gay Gamesはもっと広い視野を持っています。
彼らのモットーは“all equal”。SOGIに関係なく、LGBTをはじめとしてすべての人が平等な世界を目指しています。

2018年の大会はまだ再来年になりますが、既に70か国以上、15000人以上の方が参加申し込みをしているそうです。興味のある方は是非参加してみてはいかがでしょうか。

参考
FEDERATION OF GAY GAMES
PARIS 2018 GAY GAMES 10

セクシュアリティに言及した本 後編

LGBT当事者orアライによるレポート。前回につづいて今回は性と性格についてです。

男らしさ、女らしさってなに?この質問に100点満点の答えはないと思います。正解がないからです。今回はこれに言及した100年以上前の本を見てみたいと思います。
※一部女性にとって不快な内容が含まれます。あくまで一意見としてお読みください。

『性と性格』の論旨

『性と性格』の概要については、前半の記事を参照してください。(セクシュアリティに言及した本 前編参照

著者ヴァイニンガーの主張はこうです。人間は誰しも男性的形質と女性的形質を兼ね備えている。その割合は人によってまた年代によって異なっているが、本質的には、全ての人間は男性または女性である。
つまり例えばゲイの男性は男性に惹かれているため、女性的形質の割合が多い。しかし彼は本質的には男性であることには変わりはない。と言った具合です。
上記の同性性欲やユダヤ人などに触れながら、男性的形質と女性的形質つまり男らしさと女らしさとは何かを説いているのが『性と性格』です。

女性的形質とは何か

では彼の主張する女性的形質とは何か、以下に彼のいう女性的形質をいくつか羅列してみます。

・自我(意思)をもたない
・論理的思考ができない
・性欲が強い
・身体が美しくない
・非生産的である

どうでしょう。現代にこの主張をした人がいれば大バッシング間違いなしですよね。
男性的形質はこの逆であり、論理的思考ができ、個をもっている、身体も美しい高度な存在です。

なぜこの主張に至ったのか

現在この本を読むと、なぜヴァイニンガーはこのような極端な女性蔑視の思想に行きついてしまったのか不思議でなりません。
当時、女性は家庭に入り子供を育て、男性は外で働くことが当たり前でした。また大学で学ぶことや、政治を行うのもほとんどが男性でした。

つまり、女性が自分自身の意見を言う環境がほとんどなかったのです。
このような環境が要因となり、彼は以上のような思想になったのではないかと思います。逆を言えば家の外で活躍する女性は、彼の目には男性的にうつっていたのかもしれません。

ちなみに「女性の身体は美しくない」という主張ですが、ダヴィデ像などの彫刻は男性の肉体美を表しているものの、女性のこのような彫刻作品はないから、というのが理由なようです。

最後に

ヴァイニンガーによればすべての人間は男性的形質と女性的形質を持ちます。彼自身が主張する女性的形質を彼自身が持っていて、それを認めたくない自己ともしかしたら戦っていたのかもしれません。

私自身この本を読んで以降、ますます男らしさ女らしさがわからなくなりました。実際に彼の主張がどこまで真実かもわかりません。100年以上前の古い本ですが、すごく考えさせられました。
 
前の記事でも触れたように、当時は伝統的な男女以外の存在が認識され始め、社会全体が混乱していたことがあるのだと思います。少しずつですが、男らしく女らしくに捉われず“自分らしく”という生き方が受容されるようになってきています。
この動きがもっと進めばいいなと、個人的には思います。

セクシュアリティに言及した本 前編

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は性と性格についてです。

今でこそLGBTという言葉や様々なセクシュアリティが存在していますが、昔はLGBT以外のセクシュアリティはもちろん、同性愛者という概念すらありませんでした。
今回は同性愛者が認識される前に、同性に惹かれる感情について言及した本を見てみようと思います。

『性と性格』

その本の名前は『性と性格』、ドイツのユダヤ系哲学者オットー・ヴァイニンガーによって1903年に書かれました。
興味深いのが、この本を出版したおよそ4か月後、彼は自殺しているところです。

同性愛は1つの章を使って触れられていますが、本の大枠は男性的形質と女性的形質、つまり現代で言うところの男らしさや女らしさとは何かについて論じている本です。

後半の章ではユダヤ人についての章もあり、彼自身がユダヤ系で、同性愛者であったという噂もあることから、本を書いていくうちに自身のアイデンティティについて考えて辛くなり自殺してしまったのではないかとの説もあります。
また極端な女性、ユダヤ人蔑視の主張であるこの本は、のちのナチスに影響を与えたという説もあります。

同性性欲と鶏姦

本の前半第四章は「同性性欲と鶏姦」と名付けられ、男性に惹かれる男性と女性に惹かれる女性に言及しています。同性愛者という語はどこにも見当たりません。

彼によれば、「男性に牽かれる男性は、どこか女性的な容姿をもち、同じように、他の女性を求める女性は、肉体的に男性の特徴を示すことが昔からよく知られている。」だそうです。

現代になって考えてみれば、この主張が間違ったものであることは一目瞭然です。当時はイギリスでオスカー・ワイルド(ゲイの作家、派手な見た目で人気を博した)が話題であったことなどもあり、このような間違った知識がついてしまったのかもしれません。

現代のオネエとの関連

上記で触れた「ゲイは見た目が女らしく、レズビアンは男らしい」という主張は、現在でも勘違いしている人がいますよね。

その例として最も顕著なのが、テレビで活躍するいわゆるオネエ系タレントだと思います。言葉づかいや見た目が女らしい彼らは、みんな筋骨隆々な男の人が好きなんでしょ?と未だに思っている人がいます。最近になって段々と変わってはいますけどね。

最後に

冒頭でも述べた通り当時は同性愛者という概念自体がなく、同性に惹かれる人がいる、と認識され始めたまさにその時代でした。
そのためヴァイニンガーをはじめ、多くの学者がその理由を研究しようと試みました。この後の時代に、「同性愛は病気、治療で治る」と言われる時代があります。

現在LGBTを取り巻く環境がいいか悪いかは一概には言えませんが、彼らが必死で研究したからこそ、現在こうやって多くの人がLGBTの活動ができているとも言えるでしょう。
ヴァイニンガーは「どんな人間にも(中略)同性愛の傾向はまったくないとはいえない。」とも書いています。
全ての人が自身のアイデンティティについて考える機会を、彼は与えていたのです。
彼が主張した男らしさと女らしさについては、また別の記事で触れようかと思います。

参考『性と性格』(1903)オットー・ヴァイニンガー

“伝説のおかま”と呼ばれた男

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は“伝説のおかま”と呼ばれた人についてです。

最近日常生活の中でLGBTというワードを耳にする機会が増えてきたと思います。
それは、社会全体がLGBTを少しずつ、受け入れている証拠でもあります。私たちもこのようなメディアを運営していますが、10年、20年前に同じことをしても、続けていけたかどうかわかりません。今回の記事では、今からずっと昔にLGBTの擁護を訴えた一人の男性を紹介します。

“伝説のおかま”

彼の名前は東郷健、1932年兵庫県で生まれました。2012年に他界されています。ゲイ雑誌編集やゲイバーを経営するほか、政治活動も活発に行っていました。

今でこそテレビなどのメディアでいわゆる“おかま”と称される方を見かける機会は多くなりましたが、40年以上前に、彼は自らをおかまと名乗っていました。おかまという言葉自体は江戸時代に誕生したと言われていますが、彼が蔑称であったこの語を自ら用いたことで、世間に広く認知されたようです。

政治活動について

彼は選挙戦に数回、立候補しています。
その中で彼は候補者としての認知度をあげるために「おかまの東郷健です。」という文句を使っていたのです。

彼の主張は一貫していて、自らも含まれる同性愛者をはじめとして、セクシュアルマイノリティや障がい者、エイズ患者などの、いわゆるマイノリティとして差別を受ける立場の権利向上を訴えていました。

現在、国内の外国人などいわゆるマイノリティに対してどのような態度をとるのか、ということは候補者として重要な要素の1つとなっています。しかし現在でも、彼らへの差別撤廃を第一に掲げる方はほとんどいないのではないでしょうか。

過激であるが故の批判

候補者演説などで過度に性的な発言が多かったこともあり、実際に彼の訴えるマイノリティの中に含まれる方の中でも、批判の声はあったようです。

また、自分自身をおかまと称した上で、ゲイに関する個人的な見解を発言していたため、「ゲイ=おかま(女性的である)」と言った偏見を生んでしまった事実もあります。

確固たる主張を持っていたにもかかわらず、言葉が過激であったためにイロモノ扱いされてしまったのかもしれません。

まとめ

私自身、彼の死後存在を知りましたが、彼について調べてみて、「時代が追い付いていなかったのかな」といった印象を受けました。
性的な発言や彼自身のゲイへの偏見は賛同できるものとは言えませんが、もし現在の日本で彼が立候補していたら、社会に与える印象はまた違っていたのかなと思います。

このような時代に彼に注目してみることで、気づかされることが多くあるかもしれませんね。

参考
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E9%83%B7%E5%81%A5
http://www.2chopo.com/article/detail?id=329

twitterで使えるLGBTな絵文字

twitterでも様々な絵文字が使えるようになり、その種類は多彩です。

その中に、LGBTな絵文字があることをご存知でしょうか?
今回は、twitterで使えるLGBTな絵文字をご紹介します。

レインボーフラッグ

LGBTを象徴するレインボーフラッグが絵文字には存在します。

レインボーフラッグは旗のカテゴリーの中にあり、「レインボーフラッグ」と入力すると検索結果に出てくることがあります。

同性カップル

カップルの絵文字は複数ありますが、その中には男性同士のカップル、女性同士のカップルの絵文字もあります。
小さくてややわかりにくいのですが、絵文字名には「キス(女性、女性)」といった表記があります。
「カップル」「キス」「ハート」「二人」といったワードの検索で出てくることがあります。

多様な家族の在り方

家族についても、多様な在り方が絵文字で表現されています。

異性カップル、シングルマザーやシングルファーザーの他、同性カップルの家族の絵文字もあります。
こちらも小さくてややわかりにくいのですが、絵文字名には「男性、男性の家族」といった表記があります。

これらの絵文字は、スマホでも使用することができます。
また、twitterでは人のアイコンの肌色を変え、白人や黒人などにすることができます。
twitterがセクシュアリティや人種など、多様性を尊重しているということを感じます。

タイで活躍するトランスジェンダーキックボクサー

LGBT当事者orアライによるレポート。今回はタイで活躍するトランスジェンダーのキックボクサー、ローズさんの紹介です。

現在18歳の彼女はタイの農村部に住む、リングネームRot-Duan(ロット-ドゥアン)のキックボクサーです。
彼女の生物学的な性は男ですが、ローズさんはメイクをしたりピンクのタンクトップスを身に着けたりして試合に臨んでいます。
彼女は7歳で試合を経験してから2~300試合をこなしてきました。

タイ語でトランジェンダーを意味する「カトイ」は、タイ社会で認知されています。
英語では「レディーボーイ」と訳されることが多く、「第三の性」と呼ばれたりもしています。

トランスジェンダーに対する扱いはさまざまであり、受け入れられ、(トランスジェンダーであることを公表しているセレブのように)もてはやされるカトイがいる一方で、社会的、法的に辛辣な差別にさらされているカトイもいます。

地元では友人・家族・ファンに支えられているというローズさんですが一方で、彼女と一緒に戦うことを嫌がる選手もいたり、野次を飛ばしてくる人も少なくないと話しています。
ムエタイの試合では選手間の言葉のやりとりは珍しくないそうです。

そのため、試合中に悪口を言ってきたりして心理的な嫌がらせをしてくる選手もいるそうですが、彼女はそういった選手の言動は無視しています。

また、試合のアナウンサーまでもが彼女を馬鹿にした発言を伝えることさえあるのです。

今までに数多くの試合をこなしてきた彼女は、どんなに嫌な気持ちにさせるような言動があっても、気持ちを切りかえられると言います。
ムエタイの試合では、「上半身裸と短髪」が試合出場条件に含まれていることが多いのです。しかし、一方ではリングコスチュームが自由な試合もあり、彼女はそのような試合を選んで出場しています。

このような自己表現が自由に許可されている場で活躍している彼女は、メディアに取り上げられたりもしています。

今では地元のセレブリティとなったローズさんは高校卒業後、髪を伸ばし堂々と自分の着たい服を着て生活しています。
彼女は引退後、性別適合手術を受けることを考えていて、今は少しずつ理想に近づけていると感じているそうです。

~感想~
タイではトランスジェンダーの人への偏見や差別が少ないと思っていましたが、未だに心無い悪口を浴びせる人たちはたくさんいるということに驚きました。彼女が強くたくましくいられるのは、支えてくれる人たちのおかげだと思います。

また、彼女自身の未来を見据えていて明るく生きているからだと感じました。

LGBT、言葉の枠組み LGBT当事者レポート

LGBT当事者&アライによるレポートシリーズ。今回はLGBTという言葉についてです。

LGBTという言葉が広まりつつありますが、この言葉が持つ意味とはなんでしょうか。
ストレートに考えるとL(レズビアン)G(ゲイ)B(バイセクシャル)T(トランスジェンダー)の省略ですが、ではそれ以外のセクシャルマイノリティの人は含まれていないのか?という問題になります。

IS(インターセックス)やアセクシャル、クエスチョニングなどLGBT以外にもセクシャルマイノリティの方は多く存在します。
LGBTという枠組みを作ってしまっていることは、こうした人々が排除される形になってしまうのではないかという問題があります。

LGBTと名乗ることでセクシャルマイノリティ内部にさらなるマイノリティを生んでしまう可能性もあります。
時に、LGBTsやLGBTIQなどその他について表記する場合もありますが、あまり見慣れません。
さらに私個人で思うことはLGBとTでは抱える問題に大きな差があると思います。

LGBの場合、性的指向の話になってきます。
パートナーシップ制度の利用や職場でのカミングアウトに関する問題、プライベート(特に恋愛や結婚)での悩みが多いと思います。

Tの場合、性の認識の話になってきます。
職場での性の扱い(服装や通称名の使用)が主になると思います。LGBTに限らず、セクシャルマイノリティ当事者が抱える問題は様々であり、一概にまとめていいものではないように感じます。

そもそもLGBTという言葉は1990年代にアメリカで生まれました。
初めはGLBやLGBといった呼ばれ方でした。そして90年代にはいり、Tが加えられました。

もともとはセクシャルマイノリティと名乗っていたが、それは「よくわからない性の人々」に対する他者からの呼び名とされていた。

そこにゲイ、それからレズビアンが主体的に名乗りを上げ始めました。
その後、バイセクシャル、トランスジェンダーの存在も学問的に判明しましました。個人の性の問題とせず、人々の情報を集め、学問に昇華し、丁寧に違いを分析し、名前を付けていくという作業を米国社会では繰り返してきました。
そして、90年代のエイズ問題を機に、「バラバラではいけない。ともに活動をしよう。」と連帯しLGBTという表し方になった歴史があります。

つまり、私たちは言葉が生まれた順序や要因を知らずにLGBTという言葉を使っているのです。
言葉を使う上で、広めるうえで、この事実を知っているかどうかで言葉のとらえ方が変化してくると思います。広める意味で存在した言葉が、現在では当事者間に格差を生み、新たに問題を与えています。

個人的にはLGBTという言葉が廃れ、セクシャルマイノリティついて偏見のない社会が生まれることが一番良いと思います。まだまだ、誰しもが知っている分野ではないですが、これからの政府や企業の取り組みによって一個性として認められるのではないでしょうか。

LGBTについて勉強してよかったこと

LGBT当事者、アライによるレポートシリーズ。今回はLGBTを勉強してよかったことです。

今の時代、自分が当事者であるかどうかにかかわらず、LGBTについて知っておくことは大切だと思います。
LGBTについて理解を深めてどんなよかったことがあるか、感じたことを述べてみようと思います。

より深い仲で人と接することができるようになった

友達同士、他愛もない話をする中で恋愛の話が出ることもあるかと思います。
非当事者同士の会話ではやはり好みの異性の話や結婚などが多いかと思いますが、そこで一歩踏み込んで同性愛の話やトランスジェンダーの話をしてみると、より深い話ができるでしょう。もしかしたら相手は差別的な発言をしたり、笑って話を流すかもしれない、しかしそこで「私たちの身の回りにもたくさんいるんだよ」「気持ち悪いなんて言ってはいけないよ」と指摘をすることで、理解を促すきっかけにもなりえます。
逆に普段はあまり踏み込んだ話をしない友達がLGBT差別について真剣に考えていた、なんてことが知れると関係がより深くなるきっかけにもなりますよね。

差別や偏見についてより注意するようになった

LGBTについての理解を深めることで、LGBTの方を差別してはいけない、特別視してはいけない、という考えを持つことは自然といえます。しかし私はそれだけではないと思っています。
身体、知的、精神障がいの方、人種、民族的な背景がある方など、世の中にはマイノリティであるがゆえに差別で苦しむ方が未だ多くいます。LGBTについて理解を深め「差別をしてはいけない」という考えを持つことで、他のマイノリティの方々への差別に対しても、疑問を持つきっかけになると思います。
そのような意味では私は、以前より懐が広く優しい人間になれたのではないかと思います。

自分自身についての理解が深まった

LGBTについて知る前は、自身のセクシュアリティやジェンダーについて深く考える機会はあまりありませんでした。しかし多様な性があることを知って以降、自身の性自認や性的指向について考え直すことができました。

当事者の方と接していくうちに、「自分ももしかしてそうなのかも?」と思った経験がある人もいるかもしれません。それでもいいと思います。当事者かどうかにかかわらず、LGBTについて知ることは自分を知ることでもあると思います。