就職で何が変わる?LGBT当事者による就活体験記まとめ

2018年3月卒業予定の学生さんの就職活動も活発になってきました。
今期は前期よりもさらにスタートが早まり、リクナビやマイナビなどの大手ナビサイトでの就職情報が公開開始となる3月1日以前から、企業説明会や選考を受ける学生が多いです。

今回は、2018卒の学生さんの先輩にあたる2017卒のLGBT当事者による就活体験記のまとめ記事です。

就職活動では自分の価値観や自分の長所短所など、自分のアイデンティティを知る、伝える機会が多くなります。
自分のセクシュアリティを就活でオープンにするかどうかは本人の自由なので、オープンにすることがよいことというわけではありません。
ですが、セクシュアリティは自分のアイデンティティのひとつですから、おのずと、あらゆる経験や価値観の中にセクシュアリティに関わることも含まれるのではないでしょうか。

そのためLGBT当事者にとっては、就活においてどの程度自分のセクシュアリティをオープンにしたいかも考えるテーマになってきます。

今回の記事はひとつの事例ですが、様々な価値観のひとつを知る機会になればと思います。

会社説明会に参加して気づいたこと。LGBT当事者による就活体験記。

就活で身についたマナー。LGBT当事者による就活体験記2。

自分の理解が深まった。LGBT当事者による就活体験記3。

就活を経験して変わったこと。LGBT当事者による就活体験記4。

就活を経験して変わったこと。LGBT当事者による就活体験記4。

LGBT当事者もしくはアライによるレポートシリーズ。今回は、就職活動の体験記の最終回です。

第1回会社説明会に参加して気づいたこと。LGBT当事者による就活体験記。
第2回就活で身についたマナー。LGBT当事者による就活体験記2。
第3回自分の理解が深まった。LGBT当事者による就活体験記3。

最終回は、就活を経験して自分が変わったと感じる点についてのレポートです。

強くなった

とても曖昧な表現ですが、就活を始める前に比べて、強くなったように感じます。
とても広い表現なので、さらに項目に分けて紹介します。

体力的に強くなった

就活では、多くの場合スーツを着て歩き回ります。
慣れないスーツやヒールで、慣れない街に行くのはそれだけでも疲れます。春ごろに終えてしまえればいいのですが、夏場になってくると真っ黒のスーツに太陽が降り注ぎます。場合によっては替えのシャツを持って行って、会場付近で着替えてからいくことも…

また、説明会は長い場合2~3時間にわたります。
当然ですが途中でうたた寝や、あくびをしていてはいけません。常に集中して参加するため、座っている時間がほとんどですがすごく疲れます。

面接の場合は言わずもがな、自分で考えて発言する時間が長く、面接官は常に学生を見ているために終わったあとはすごく疲れます。
このような経験を通して、以前よりも体力がついたのではないかと思います。

NEXT 自信がついた

自分の理解が深まった。LGBT当事者による就活体験記3。

LGBT当事者もしくはアライによるレポートシリーズ。今回は、就職活動の体験記の3回目です。

第1回会社説明会に参加して気づいたこと。LGBT当事者による就活体験記。
第2回就活で身についたマナー。LGBT当事者による就活体験記2。

自分の理解が深まった

就活で必須なのが自己分析、3年生の方は既に始めている人も多いかと思います。
自己分析の方法については別記事を参照してくださいね)
自己分析、つまり自分の過去を振り返り、理解すること、そして、ESや面接を通してそれを他者に伝える経験を、就職活動ではすることになります。

就職活動以前に親や友達などから「おまえって○○なやつだよなー」とか「あなたは本当に△△な人だよね」などと言われることはあったかもしれませんが、自分で自分の性格を表現することはあまりありません。

また性格を紹介するにあたって、過去の経験を振り返りますが、ふと過去の出来事を思い出す機会はあっても、それがなぜ起こったか、や得たことなど掘り下げて考えることはあまりなかったかと思います。
就職活動においては、自分をしっかりと理解し、それを言葉にしてうまく伝えられるようにしなければいけません。

私は今までに自分ってこういうところがあるなと軽く考えたことはあっても、それを過去の経験と関連付けたりすることは多くありませんでした。
周りからの印象や経験を踏まえて、改めて自分を把握することで、今までに気付いていなかった自分の特徴に気づくことができました。

自分はLGBT当事者であることに加えて、軽い障害も抱えています。その点の特徴は文字に起こして伝えやすいことですが、それだけで判断されたくないという気持ちもずっと持っていました。
就職活動では「1分間程度で自己PRをしてください」といった質問が来ることがあります。その際に以上のような特徴以外に、堂々と自分の説明をすることができるようになったのは、大きな進歩だと思います。

就職活動における自己分析は、いい点だけではありません。自分の短所に改めて気づくこともあるために、辛いこともあるかと思います。しかし、働くにおいて、自分と言う存在をしっかりと自分で把握しておくことは役立つかと思います。

就活で身についたマナー。LGBT当事者による就活体験記2。

LGBT当事者もしくはアライによるレポートシリーズ。今回は、就職活動の体験記の2回目です。

前回の記事に続いて、私が就職活動を経て変わったことを紹介します。

敬語や礼儀を身につけられた

今までに接することがあった目上の人は、少なくはなかったと思いますが、厳格な礼儀が必要になる場面はほとんどなかったと思います。
学校の先生や、バイト先や学校での先輩があたるかと思いますが、体育会系などでかなり厳しい関係などでなければ、あまり厳しくはなかったと思います。
実際に私は体育会系の部活などの経験はなかったために、先生や先輩に対してタメ口まじりの不適切な敬語を使っていました。
メールの書き方などは大学生活を経て学んだ面もありますが、機会が多くなかったために慣れてはいませんでした。

敬語で言えば、学校で尊敬語、謙譲語、丁寧語は習いましたが、使い慣れていなかったため初めは苦労しました。
使い間違えると聞き手としては主語が分からずに混乱してしまう場合があるので、注意が必要です。

NEXT 就活で身についた「マナー」

会社説明会に参加して気づいたこと。LGBT当事者による就活体験記。

LGBT当事者もしくはアライによるレポートシリーズ。今回は、就職活動の体験記です。

私は就職活動を既に終えました。数か月にわたる就職活動を通して、私は変わったと思います。それはいい意味もあり、悪い意味もあります。その経験を、これから就職活動をする方たちへのアドバイスも含め紹介していきたいと思います。

会社に対するイメージが変わった

就職活動では、Web、会社説明会、就活イベントなど様々な機会で、会社を知る機会があります。

私は、普段愛用している商品のメーカーや、よく行く店舗を運営している会社に行ったこともあれば、今まで自分が意識したことのなかった事業を行っている会社を見に行ったこともあります。

特に今まで消費者として関わっていたメーカーや小売店の場合は、説明会や求人情報でのそのギャップに驚くことが多くあります。

ナビサイトやコーポレートサイトの情報ももちろん重要な情報源ですが、それ以上に説明会が一番印象に残りました。実際に足を運んで説明会に行っても、選考に進んだ例も進まなかった例も多くありました。

説明会は多くの場合以下のような内容で構成されます。

・会社紹介
・先輩社員の話(職種紹介)
・社長や役員からの話
・募集要項、選考フローの説明
・質疑応答、アンケートなど

現場で働く社員と直接接することができるが故に、会社の印象に大きく影響します。社長や人事の方がすごくだるそうに話していれば、それだけで受けるかどうか悩んでしまうほどです。

逆に会社の業種や規模を問わず、すごく親切で丁寧な説明会だとそれだけで魅力的な会社に見えますよね。

また、休日の数や勤務時間、福利厚生などの労働条件をデータとして見ることになるので、実際に消費者としての印象とのギャップが生まれる場合もあります。

業界によっての傾向はありますが(平日休みか休日休みかなど)、募集要項はよく見ておいて他社とよく比べた方がいいです。自社の社員を大切にできている会社が本当にいい会社ですよね。

NEXT 会社説明会の参加時のポイントは?

就活とLGBT。服装やカミングアウトなど。 就活ノウハウ講座

就活において、セクシュアリティに関わることで悩むLGBT当事者は少なくありません。
今回は、就活とLGBTをテーマに記事を紹介していきます。

カミングアウトする?しない?

カミングアウトするかしないかは、個人の自由ですが、どうすべきか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

▼カミングアウトせず就活したMTFの学生の場合

【就活体験記】大手企業から内定を得るまで。トランスジェンダー編

▼カミングアウトして就活したXジェンダーの学生の場合

【就活体験談】Xジェンダーという個性を就活でどういかすか?

LGBTフレンドリー企業の探し方

カミングアウトするしないなどに関わらず、できればLGBTフレンドリーな会社に入社したいというLGBT学生は多いです。
また、LGBTのダイバーシティが進んでいる企業は、多様な個性を尊重することで成長しようとしている企業なので、今後の成長性も高い可能性があります。

▼LGBTフレンドリー企業の探し方、4つのポイント

career

まとめ

LGBTといっても、就活の上での悩みは人それぞれです。
自分がどんな働き方をしたいかによって、就活の仕方や、志望する企業も異なります。
悩んだら、信頼できる人に相談するなどして、楽しみながら就活をしましょう。

「LGBTフレンドリーだから」は志望動機になる?「志望動機の書き方」 就活ノウハウ講座

就活において「志望動機」をしっかり考えておくことは重要なことです。なぜなら、志望動機は面接や履歴書など様々な過程において求められるからです。今回は就活における志望動機の書き方をご紹介したいと思います。

なぜその企業で働きたいのか?

志望動機を書く手順として“自分はなぜこの企業に入りたいのか”ということを考えてリストアップしてみましょう。

社風、企業理念、事業内容、福利厚生など、まずは書き出してみるといいです。

また、なぜ働きたいのかをリストアップする上で、その企業を深く知ることが必要になってきます。
企業のコーポレートサイトや採用情報、新聞やニュースなどの情報を収集するのもよいです。

志望動機の書き方

志望動機を書く際には構成を組み立てることが重要です。

1 最初に結論を書く
2 希望する業界への志望動機
3 希望する会社への志望動機
4 入社したらやりたい事・できる事
5 やる気のアピールや決意表明

この順序で組み立てていくと、読みやすいので相手に伝わりやすいです。

また、自分の長所を踏まえ、その会社でどんな活躍ができるのか、どんなことをやってみたいのかも同時に考えてみましょう。
それらは、自己PRにもつながりますし、自分の想いを言葉にすることで、熱意が伝わります。

志望動機に「LGBTフレンドリーだから」は書いていいの?

最近では、LGBTフレンドリーであることを社外に発信する企業も増えてきました。

LGBTフレンドリーであることをきっかけにその企業に興味を持った、より志望度が上がったということであれば、志望動機に加えてもまったく問題ありません。
実際に、LGBTフレンドリーであることを発信するようになってから、LGBT当事者・非当事者に関わらず、「LGBTフレンドリーに興味を持って応募をしてくれる人が増えた」という企業は多いです。

LGBTフレンドリー企業はたくさんあるので、志望動機が「LGBTフレンドリーだから」だけだとやや弱いです。
その他にも興味をもったポイントを書くと、より説得力が増していきます。

見られている?会社説明会で気を付けたいこと 就活ノウハウ講座

会社説明会では、企業概要や理念・仕事の内容やどんな人材が欲しいかなどの話をされます。
参加する前の準備次第で、より参加する意義のあるものになります。
また、LGBT学生の中には服装を気にしている人もいるのではないでしょうか。

事前に下調べをしておこう

説明会に行く前に、その企業のホームページなどを見てある程度企業情報を知っておきましょう。
そうしておけば、当日に企業の方に質問したいと思うことが見つかるかもしれません。

また、ニュースサイトで企業がどのようにメディアで取り上げられているかなどを把握しておくと良いでしょう。

説明会の態度はみられている

説明会では、人事の人が学生を見る機会でもあります。
次のようなことに気をつけると、好印象を持たれます。

・遅刻しない
・早く行きすぎない(開始5~10前がちょうどよいです)
・話を聞いているときは、話をしている人の方を見て適度にうなづく
・質問をする

どんな服装で参加すればいい?

会社説明会に参加する際は、リクルートスーツの着用が一般的です。
上記でも述べたように、人事から見られているということに注意して、身だしなみを整えましょう。

・髪に寝ぐせがついていたり、ボサボサになっていないか
・スーツのサイズはちょうどよいか(サイズが合っていないとだらしない印象を与えます)
・ネクタイがまがっていないか
など

ただ、LGBT当事者の学生の中には、リクルートスーツの着用に抵抗があるという人もいます。
リクルートスーツは義務ではないので、それにかわる清潔感のある服装でも原則的には問題はありません。

また、自由な服装で参加OKな企業もあります。
そういった企業の説明会に参加時する際は、普段着ているような服装でかまいません。
ただし、清潔感のある身だしなみはこころがけましょう。

国際協力機構初のトランスジェンダーの隊員が誕生

LGBT当事者もしくはアライによるレポート。今回は、国際協力機構初のトランスジェンダーの隊員となった永崎公志朗さんについてです。

永崎さんは女性として生まれましたが、性自認は男性のFTMです。
北九州市立大在学中から男性名を名乗っています。

大学では国際協力について学び、途上国で病気に苦しむ子供らを支援したいと考え、協力隊に応募しました。
応募時には「不合格したときに性同一性障害のせいと悩みたくない」と思い、戸籍上の名前である女性名で出願し、合格しました。

永崎さんがブログで一連の経緯をつづると、永崎さんと同じくトランスジェンダーだという人から「性別の問題でやりたい仕事に挑戦することをためらう人は多い」とのメッセージが寄せられ心が揺れ動いたそうです。
「自分のありのままを公表して働くことで同じ境遇の人が活動しやすくなることにつながれば」と決心します。

そして、合格後「自分は性同一性障害であり、永崎公志朗として活動したい」と、国際協力機構(JICA)に電話で申告しました。

するとJICAから、アフリカは性的少数者への理解が進んでいないということを理由に予定されていたアフリカへの派遣延期の通知を受けました。

永崎さんは申告したことへの後悔も込み上げ、人目をはばからず涙したそうです。

NEXT→ アフリカへの派遣は延期されたが…

これからが本番!就活ノウハウをおさらいしよう!

2018卒の学生を対象とした新卒採用は、2017年3月が広報解禁となります。
しかし、ここ数年は採用活動の早期が続いており、外資系やベンチャー企業などを中心に、早くから採用活動を行う企業が増えています。
それに伴い早くから活動する就活生も増えており、特に今年は2月、3月が就職活動のピークになるのではと言われています。

ということで、今回はこれまでご紹介してきた就活ノウハウをピックアップしていきます。

就活のポイントは事前準備!

就職活動でポイントとなるのは、どれだけ事前準備をしたかです。

事前準備で特に重要なのは、自己分析と志望動機です。
自分のよさと、なぜその企業を志望しているのか、どんな角度から質問されても答えられるように、よく考え、整理しておくとよいです。

【就活ノウハウ】LGBT就活の先輩が教える「自己分析」

【就活ノウハウ】「自己分析」が必要な理由とは?  

面接のコツを抑えよう!

就活生が伝えたいことと、企業が知りたいことには、ややズレがあります。
そのため、一生懸命考えていった自己PRも、企業にはあまり魅力的に伝わらないことも。

企業がどんなことを知りたいかを知ることで、面接通過率は格段にあがります。それが、面接のコツです。

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【就活転職ノウハウ】面接でセクシュアリティに関わる質問をされたら?

まとめ

就職活動は初めてのことばかりで、緊張したり不安になることも多いのではないでしょうか。
特にLGBT当事者にとっては、これまで以上に自分自身のセクシュアリティに関わることで悩んだりすることもあるかもしれません。
そんなときは、相談窓口を利用したり、先輩に相談するなどして、一人で抱えこまえないようにしましょう。