Xジェンダーと就活、企業選びの軸とは?当事者による「セクシュアリティ」に関するレポートシリーズ。

LGBT当事者もしくはアライによる「セクシュアリティ」に関するレポートを紹介するシリーズ。
今回のテーマは「Xジェンダーと就活」です。

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はじめに

私自身、LGBT当事者として就職活動を終えた身です。今回は自分の体験を基にLGBTの就職活動をお話しします。

私はLGBTのTの中のXジェンダーを自認しています。
男女で分けられたものに苦しさを覚えるため、スーツを着ることに抵抗があります。もちろん男女別のキャリアパスがあることも嫌なため、その点を見ながら就職活動をしていました。

マーケットという事実

就職活動を始めたとき、私はLGBTであることを武器にLGBT向けのサービスや商品を作りたいという軸で就活をしていました。しかし前回の記事(Xジェンダーという個性は就活でどうみられるか?)でも述べた通り、これが就活における武器にはなりません。

アパレルメーカーを受けている際に言われたのが、「男女に捉われないブランドは面白いとは思うが、市場規模を考えたときにビジネスとするのは難しい」ということでした。

13人に1人と言われるLGBTといっても服装に関する悩みを持つのはその中のさらに一部、そこにターゲットをしぼってビジネスをするのが難しいことは明白でした。

フレンドリー企業を探す

何社もの企業の説明会に参加していくうちに、企業の選び方が変わってきました。

ある企業の説明会で会った人事は、中性的な雰囲気の男性新入社員をホモネタで終始いじっていました。
学生の前でユーモアのあるおじさんを演出したかったのだろうと思いますが、その場にいた私はとても耐えられませんでした。

そのような経験を経ていくうちに、私は企業を探す際にLGBTフレンドリーを謳っているということを最優先にしていくようになりました。
選ぶ範囲はぐっとせばまりましたが、就職してから嫌な思いをするかもしれないなら、行かない方がいいと思ったのです。

LGBTフレンドリー企業とは?

数として決して多いとは言えませんが、LGBTフレンドリーを掲げる企業は増えてきています。

しかしLGBTに理解があると掲げることで求人数が増える事実があります。そのため実際に社員全員に正しい知識があるかはわからないのが正直なところです。
ですがフレンドリーを謳っている以上、自分自身のカムアウトを選考でした際に不利になったり嫌な思いをすることはないはずなので、直接社員の方に社内環境など気になることを質問をするのが一番だと思います。

結果

就職活動は他の人に比べ長期にわたりましたが、実現したいビジョンをしっかり持っていたため、最終的に納得のいく形で終えることができました。
前回の記事でも書きましたが、LGBTであるかどうかに関わらず、仕事の先のビジョンを明確化することが大切です。

当事者からして企業側に受け入れてもらえるかは気になる点ですよね。
本当の意味でのLGBTフレンドリーな会社が増えていってほしいと思います。

 

 

LGBT当事者が働きやすい環境とは?日本の企業の取り組み事例

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東京都の渋谷区や世田谷区などでスタートした同性パートナーシップ制度。
これを機に、LGBTという言葉の認知度は高まり、LGBTに関する取り組みをする企業も増えてきています。

今回は企業がどのような取り組みをしているのかを紹介します。

1.LGBTに関する文言を明文化

社内規定や採用情報などで、「セクシュアリティで差別をしない」といった文言を明記する企業が増えてきました。

これによって、LGBT当事者が安心して採用に応募できたり、働けることができます。
LGBT非当事者にとっても、会社は社員を大切にしているということを認識することができ、自社に対する誇りを持てるというメリットがあります。

また、社外に対しても、LGBTを含むダイバーシティを推進している会社としてポジティブなイメージを持たれやすくなります。

2.アライを増やす取り組み

LGBT当事者が働きやすい環境を整えるためには、アライの存在が欠かせません。

アライを増やすためには、LGBT非当当事者がLGBTについて「知る」ことが重要です。

その手段として、講習会やセミナーの開催する企業も増えています。

3.制度の導入や施設の整備

・同性パートナーも配偶者として認め、福利厚生を適用できるよう制度を改定する
・「誰でもトイレ」を設置する
・性自認の服装や通称名を認める etc…

以上のような取り組みをする企業も増えてきました。

また、同性愛が禁止されており、命の危険がある国もあることから、そういった国への出張を考慮するといった取り組みを行う企業もあります。

 

LGBT当事者の働きやすさを整えようとする企業は徐々に増えています。
このような企業の特徴は、LGBT当事者を特別視しないということです。

LGBTであることを個性と捉えており、ダイバーシティの一環としてLGBT当事者の働きやすさも整えようとしています。
今後発展する企業の要素のひとつは、「多様な人材がそれぞれのパフォーマンスを最大限発揮できる環境を整えること」と認識しているからです。

LGBTフレンドリー企業は、nijipiでも紹介しています。

LGBTフレンドリー企業はこちら

「LGBTフレンドリーだから志望しました!」ではアピール不足?LGBT当事者による就活体験レポート

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LGBT当事者もしくはアライによる「セクシュアリティ」に関するレポートを紹介するシリーズ。
今回はLGBT当事者による、就活レポートです。

LGBTということを就職活動でどう扱うか

LGBTの学生は就職活動を行う上で、自分自身のセクシャリティについて考える場合が少なからずあると思います。LGBTフレンドリーを謳う企業が増えてきたといえど、まだまだ多いとは言えない今、どのように就職活動を進めていけばいいのか。私の経験を元にレポートします。

「LGBTフレンドリーだから志望する」ということ

企業を探す中で、LGBTフレンドリーを謳っているし、働きたいように働けそう、という理由で志望をすることは、多かれ少なかれあるかもしれません。
しかし気を付けてほしいのは、それだけでは志望動機として弱いということです。それはなぜか、企業側の視点から見ていきましょう。

企業の謳うLGBTフレンドリーとは?

企業の謳うLGBTフレンドリーは、「セクシュアリティを採用するかどうかに影響させない」という意味であり、「ストレートの学生よりもLGBT当事者の学生を優先して採ります」という意味では決してありません。

LGBT向けサービスの開発や販売など、LGBT当事者であることを活かせる職種を除き、多くの場合はLGBTに関する職種ではないと思います。

面接官の立場になって考えてみましょう。

Aさん
「私はLGBT当事者であり、御社はLGBTフレンドリーを謳っているので志望をしました」

Bさん
「御社の業務内容、理念に共感しました。また、私はLGBT当事者でもあるので、御社がLGBTフレンドリーであることも志望の理由ひとつです」

AさんとBさんを比較した場合、Bさんの方が会社の理解が深く、入社後のマッチングも高いと捉えられます。
LGBTフレンドリー企業は、LGBTであるかどうかに関わらず公平に選考をするというだけで、LGBTであるということが他の学生より有利に働くという訳ではありません。

うまく自己PRしていこう

志望動機の中に「LGBTフレンドリーであるから」では弱いと書いてきましたが、面接やESでは自分自身のセクシュアリティについて積極的に話していきましょう。
LGBTフレンドリーを謳う企業の面接官であれば、理解して話をきいてもらえるはずです。

LGBT当事者の方はセクシュアルマイノリティについて、深く考えた経験が多いと思います。
どんな困難や悩みがあり、それをどうやって乗り越えてきたのか、きちんと整理して話をすることができれば、あなたの個性がきっと企業側に伝わると思います。

最後に

私自身、LGBTフレンドリーという部分に注目しすぎて会社自体の理解が不充分なまま選考に進み失敗をした経験がありました。

同じく、LGBTフレンドリーという部分で志望及び入社をしたが、実際の事業内容が自分には合わなかったという理由で辞めていく当事者が多くいる、という話をとある企業の人事の方からきいたこともあります。

就職活動においてはセクシュアリティ等も含めた自己分析と、入社以後の具体的なキャリアを想像するための業界、企業分析の両方が充分でないといけません。
そのバランスがうまくとれていないと、上記の例のようなミスマッチが起こってしまうということです。


LGBTであるというのは大切な個性の一つです。就職活動を通して自身の理解をさらに深め、それを企業側にしっかりと伝えることで自分に合った企業が必ず見つかるはずです。

 

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アメリカの企業がLGBTダイバーシティを積極的に進める理由とは?

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LGBTダイバーシティを積極的に進める理由

アメリカでは、LGBTを含めたダイバーシティに積極的な企業が、日本と比較すると多い傾向にあります。

例えば、2013年2月には同性婚を国レベルで認めてもらえるようにアメリカ全土で200社以上もの大企業が申請しました。

アメリカの婚姻制度は州法によって異なるため、2015年までは同性婚が認められていない州もありました。
そのためアメリカ全体でビジネスをする企業は、州によって社員の福利厚生制度等を変更する必要がでてきます。
アメリカ全土で同性婚が認められれば、業務の効率化にもなるという考えから、多くの企業がアメリカ全土での同性婚合法化を支持しました。

企業がLGBTダイバーシティを推進する理由は、その他にも様々あります。

・企業イメージのup
LGBTダイバーシティに積極的であることは、消費者、投資家などに好印象を与えます。
LGBTに対応しているかどうかを、取引や企業を評価する際の基準にする企業も増えています。

・優秀な人材の獲得、企業ロイヤリティの向上
LGBTの対応に積極的な企業には、優秀なLGBT当事者はもちろん、LGBT非当事者も集まりやすくなります。
LGBTに対応しているということは、ダイバーシティが進んでおり、誰もが働きやすい企業であるというひとつの指標になるからです。

また、既存の社員の企業ロイヤリティの向上にもつながり、離職防止になります。

LGBTに関する企業の役割

アメリカでは、企業がLGBTダイバーシティを積極的に推進することで、LGBTの認知、理解を広めることに貢献しました。

現在のアメリカでは、すでにその段階は過ぎ、他社と比較しどれだけのことが出来るか、という企業間競争の時代になっています。
それは人権のためでもあり、ビジネスのためでもあります。アメリカは、LGBTを二つの側面から生かしているのです。

現在の日本でもLGBTダイバーシティを推進する企業が徐々に増えてきました。
LGBTダイバーシティを推進することが、企業の成長にも好影響を及ぼすという理解が広まっているのです。

日本でも誰もが働きやすい社会に向けて、少しずつ変化しています。

日本のLGBTフレンドリー企業一覧はこちら

Xジェンダーと就職

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LGBTはセクシュアルマイノリティの
一部にすぎない

LGBTという言葉の認知度は高まってきています。
LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字を取ったものです。
しかし、LGBTはセクシュアルマイノリティの一部にすぎず、その他にも多様なセクシュアリティがあります。

その中でも今回は、「Xジェンダー」に着目して、Xジェンダーと就職について考えてみようと思います。

そもそもXジェンダーとは?

LGBTは知っていてもXジェンダーという言葉は聞いたことはないという人も少なくありません。

Xジェンダー(X-gender)とは、出生時に割り当てられた女性・男性の性別のいずれでもないという性別の立場をとる人々を指す。

女性・男性の性別のいずれでもない性別を区分するかぎりでは、中性というあり方、無性というあり方、両性というあり方、性別という枠組みから脱するというあり方、女性か男性か定まりきらない流動的であるというあり方など人により様々である。

Wikipediaより
https://ja.wikipedia.org/wiki/X%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC

上記のように、Xジェンダーの中にも様々なアイデンティティがあります。
また、これは性自認の問題であるので、性的指向は人によって異なります。

Xジェンダーが
就職で気になるのは服装

制服が男女に分かれている、制服はなくても男性はスーツにネクタイ、女性はスカートにパンプスなど身体の性によって服装に規定があるという会社も少なくありません。

しかし、Xジェンダーは性自認が男性か女性かのどちらかはっきりしているわけではないため、そういった会社で働くことに抵抗を感じる人も多いです。
そのため、就職先を選ぶ際に自由な服装で働けるかどうかを優先する人も多くいます。

服装自由な職場の探し方

近年では服装が自由な会社も増えてきました。制服はあるけれど男女共通という会社もあります。

服装自由な会社は、ナビサイトでも検索することができます。
例えば就職や転職のナビサイトには検索条件に「服装自由」の項目にを入れているところもあります。

また、検索キーワードで「服装自由」を入力して検索しても多数の企業が出てきます。

パッションナビ
ベンチャー企業に特化した就職ナビ
https://www.passion-navi.com/

企業検索画面の「企業の特徴」に「私服通勤OK」がある。

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リクナビNEXT
大手転職サイト

http://next.rikunabi.com/

検索画面の「こだわり条件」に「服装自由」がある。

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入社後後悔しないために

服装以外にも、Xジェンダーが気をつけたいのは、仕事内容やキャリアパスです。

男女によって仕事内容やキャリアパスが違うという会社もあります。
入社後に後悔しないためにも、選考の段階で、自分の希望する仕事内容やキャリアパスを選択することは可能なのかを確認することも大切です。

FTMの働き方。自衛隊での体験。

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LGBT当事者もしくはアライによる「セクシュアリティ」に関するレポートを紹介するシリーズ。
今回はFTM当事者であり、陸上自衛隊に入隊した方のレポートです。

自分らしく仕事ができると期待したが…

私はFTM当事者です。高校を卒業し私が選んだ道は、男性主体で尚かつ公務員である陸上自衛隊に入るという選択でした。
入隊試験を経て、無事合格。入隊式を終え、自衛隊こそ自分らしく仕事に専念できる環境であると信じて期待していました。

しかし、いざ自衛隊員としての生活が始まってみると、想像とはまるで違いました。
完全なる男女別での行動。女性自衛官として特化した教育。
同じ自衛官であるにもかかわらず通称(女性陸自隊員をワックという)まで違い、この職場環境に私は愕然としてしまいました。

公務員という職業は、国という大きな組織の下にあり、決して我々性的少数者(セクシュアルマイノリティ)が生きやすい職場ではないということに、私はそこでやっと気が付いたのでした。

上司に相談しても、「前例が無いから」「正直よくわからないから」「そういう面倒なことは隠しておいた方が良い」などと全く相手にはされず、寧ろ煙たがられているのがハッキリっと感じられました。
しかし自分が選んだ職業をそう簡単に投げ出すわけにもいかず、悶々とした日々を送っていました。

お前はお前らしく堂々と胸張って仕事すればいい

そんなとき、一人の先輩が「お前はお前らしく堂々と胸張って仕事すれば良い」と声をかけてくれました。
そこで私は、前例が無いのなら自分が初めての例になって微力ながらもこの組織に何らかの風穴を開けてやろうと決意したのでした。

私が思うに、日本人ならではの特徴がLGBTを受け入れる体制作りを阻んでいるのだと思います。
郷に入れば郷に従え。
人権の尊重といいながらも、「出る杭は打たれる」という全くもって個性を殺してしまう固定観念の色眼鏡。男性は雄々しく女性は淑やかに。女らしさ男らしさという考え方。このように数えればキリがないほどの固定観念で固められた人々の頭は非常に固く、日々自分の性認識について説明し続ける日々でありました。

しかしながら個人が説明をするのではなく、組織として現状を受け入れ、人権などの教育にLGBTのことに関しても含めるべきだと強く感じました。
そして集団生活の中にも、こうした性的少数者(セクシュアルマイノリティ)への配慮として、多目的トイレの設置や個別のシャワー室の利用ができるようにする等、できることは山ほどあるように思います。

その中でも最も重要であると思うのは、1人1人の理解の広がり、偏見の払拭だと思うのです。
国の傘下にある公務員こそ、積極的にこの問題に取り組むべきであり、国全体として理解ある社会づくりの代表的な組織であってほしいと思うのです。

この国の全ての企業や組織におけるLGBTへの理解と知識を深める機会を増やすことが非常に重要であり、この国が一歩前進できる素晴らしいきっかけとなってくれることを切に願います。

編集部より

今回は自衛隊で働くことを経験したFTM当事者の方のレポートでした。
まだまだLGBT当事者にとって、働きやすさが整っていない環境があるのも事実…。しかし、この方のように理解ある先輩と巡り合い、自分らしい働き方を目指している方の言葉は、LGBT当事者にとっては勇気になるのではないでしょうか。

レズビアンのキャリアの難しさ

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LGBT当事者もしくはアライによる「セクシュアリティ」に関するレポートを紹介するシリーズ。
今回はレズビアンであるLGBT当事者による就職体験レポートです。
LGBT当事者は働く上での様々な困難を感じることが多いのではないでしょうか。

LGBTが置かれている現状

1日の大半を占める仕事。何の仕事をどこでするか、誰とするのかはLGBTの人々にとっても重要なことです。近頃は、ニュースでもLGBT関連の話題が発信されているので都会の外資系企業や、ベンチャー企業ではLGBTフレンドリーな企業も増えてきたと聞きます。しかし、地方などではまだLGBTの存在自体よく知られていない現状です。

レズビアンのキャリアの難しさ

特に結婚・出産をしないレズビアンの場合、企業選びは慎重になります。ストレート女性の場合は、結婚すれば法律で夫の扶養になれますが私たちはそうもいきません。パートナーがいたとしても経済的に自立していることは大事です。

働くレズビアンのロールモデルは少ない

さらに、働くレズビアンのロールモデルの少なさもあります。レズビアンとカミングアウトして働いている女性は、今のところ芸能人ばかりが目立ちます。彼女たちのキャリアは、一般社会の人とはまた別物だと考えています。だから、私たちは自分自身で見たり聞いたりしたもの、恋人、LGBTの友人たちから聞いた情報を頼りに手探りで就活をしています。

20代後半ならではの就活の難しさ

最近はアラサーレズビアン特有の悩みも出てきました。面接で「結婚のご予定はありますか?」という質問をよく聞かれます。社会人経験がある20代後半女性は転職市場では需要があります。しかし、結婚・出産をきっかけに働き方を変える人も多い時期です。だから採用担当者としては、結婚の予定を聞くのでしょう。レズビアンはその流れには乗らないので、長く勤められます。でも、そのことを伝えるにはカミングアウトしなければならないので難しいのです。

LGBTだと伝えたときの企業の反応

以前勇気を持って「パートナーが女性なので、結婚・出産はないです…」と答えました。その時の、面接担当者の引きつった表情を今でも忘れることができません。挙げ句の果てに「自分でお仕事された方が…」と言われてしまいました。それ以来、自分らしい働き方とは何なのかを自問自答しています。

LGBTだと伝えずに働く

今は、LGBTライターとして情報発信を続けています。そして空いた時間に掛け持ちで複数の企業で働いていますが、ライター活動の時以外はLGBTである事は伏せています。その方が、スムーズなのでそうしているだけです。自分は、どこの企業でなら、ありのまま受け入れてもらえるのか未だにわかりません。本当は、カミングアウトして1つの企業で長くキャリアを重ねていきたいです。しかし、その普通が難しいです。

職場でカミングアウトせずに働く上での悩み

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(Aさん/レズビアン)

私の場合は普通に仕事をする分には、自分がLGBTであることを強く意識することはありません。わざわざ自分がレズビアンだと伝えなくてもコミュニケーションを取ることができます。むしろ、伝えない方が仕事上はスムーズにいくと思います。しかし、一歩踏み込んだ関係を職場の人とも築いていきたいと思った時に立ちふさがる壁が自分自身のセクシュアリティです。

これまでの経験上、職場に入社してある程度組織に馴染み始めてきた頃から、同僚、上司にプライベートの話題や恋愛ネタを振られることが多かったです。休憩時間や、仕事が終わった後、宴会の席などの場を和ませる雑談の1つとしてこのようなネタは好まれます。私の場合は、どこからどう見ても普通の女性にしか見えないので「彼氏いるの?」と聞かれることが多いです。そう聞かれた時に「います」と答えるか「いません」と答えるか、本当に悩んできました。

なぜ悩んでしまうのかというと、まず『彼氏』という言葉に違和感を感じるので無意識のうちに『パートナー』や『恋人』と言い換えて対応してしまう自分がいます。それに、もし「います」と答えれば「付き合ってどのぐらいなの?」「結婚は?」「彼氏の仕事は?」などと他にも質問が来ます。中でも、仕事を聞かれるのは結構困ります。性別を問わない仕事をしていればいいのですが、彼女の職業が医療事務や保育士など女性らしい仕事だと、職種まで嘘をつかなければなりません。それに、写真は絶対に見せられないのでそこも心苦しいです。しかし「いないです」と答えれば「何で?」「どのぐらいいないの?」などと聞かれるので、それはそれで困ってしまいます。

最近は「彼氏がいます」と答えていますが「付き合って3年ちょっとです」というと、20代後半という年齢のこともあるので「結婚は?」と聞かれます。結婚願望がないわけではないのですが「う〜ん。難しいですね…ちょっと」というと、何か訳ありな恋愛をしているという風に受け取られてしまうので「あるんですけど、まだですかねぇ」と答えるのが無難なのかなと思っています。

このように、仲良くなりたいという好意の気持ちを持って接してくれる同僚や上司に対して本音を明かすことの出来ない辛さがいつも付きまといます。
きちんと伝えれば、応援してくれるのかもしれません。しかし、その場の雰囲気を壊したくなくて同棲中の彼女のこともルームシェアをしている友人としか伝えられないのが申し訳ないです。

LGBTフレンドリー企業ってどんな企業ですか?

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現状の日本社会においては、LGBTの当事者が働きにくい職場環境がたくさんあるというのは残念ながら事実です。
ただ一方で、LGBTも含めたダイバーシティを推進して、すべての人が働きやすい職場環境を実現している、あるいはそれに向けて取り組んでいる企業もたくさんあります。

LGBTフレンドリー企業の定義は明確にないので、人や企業によって捉え方は違います。基本的にはLGBT当事者の方でも特に差別をすることなく働きやすい環境をつくろうとしている企業と考えられます。

まずはLGBT当事者にとって働きやすい環境をつくろうとすること。次にそのための制度を整備すること。さらに実際の職場までその意識を浸透させることといくつかのステップがあります。

LGBTフレンドリー企業って具体的にはどこなのか?というのはなかなか分かりにくいですが、参考として東洋経済社が毎年発行している、「CSR企業総覧」という書籍には「LGBTに対する基本方針(権利の尊重や差別の禁止など)「あり」」の企業」が掲載されています。

この「LGBTに関する何らかの取り組みを行っている企業」の社数は2014年版では116社、2015年版では146社、2016年版では173社と増えてきています。
これはLGBTフレンドリー企業のうち大手企業のリストになります。これらの企業の中でもダイバーシティへの取り組み度合いは異なるので、実際にどのような取り組みがされているかや、職場環境の実態は直接聞いてみないとわからないこともあります。

また大手企業以外の中小ベンチャー企業でもフレンドリー企業はたくさんあります。一般的に大手企業は制度が整っていることが多いですが、働きやすい職場環境というのは制度だけでなく、社風にも大きく影響を受けるので、従業員数の少ない中小ベンチャー企業のほうが、働きやすい職場環境を実現できているケースもたくさんあります。

既婚者はキャリアアップ転職に有利ってホント?

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30~40代の転職において、既婚者のほうが有利という考え方があります。

「既婚者は家族がいるから簡単には辞めずに真面目に働きそう」
「結婚していない人は、まだ一人前には思えない」
「会社としては、責任のある行動ができるかどうかの判断材料の一つとする」

特に企業の経営者や人事責任者がこのような考えをもっているとすれば、その企業への転職であったり、その企業の中でのキャリアアップというのは難しくなります。

一方で既婚者より独身者のほうが有利という考え方もあります。

「独身者のほうが転勤なども含めて、柔軟な対応ができる」
「仕事に集中できる」
「今まで仕事が好きで頑張ってきたからこそ、独身のままという人もいる」

さらにセクシュアリティによっても違うという意見もあります。

女性の場合であれば、結婚や出産を機に仕事をやめてしまうのではないかと考える企業があることも事実です。
そのため採用面接の際に、結婚の予定を聞かれるケースもあります。

しかし、結婚の予定を聞かれるのはネガティブな理由だけではありません。

結婚や出産をしても働ける職場環境づくりをしている企業では、結婚の予定を聞いた上で、そのときに備えて会社としてどういうことができるかなどを相談したいという理由から、聞くというケースもあります。

そもそも、最近は初婚の平均年齢は高齢化(晩婚化)しており、また離婚率も高くなってきています。
それだけライフスタイルが多様化してきているといえます。
かつては多くの企業で見られた家族手当なども廃止する企業が増えてきているのは、企業として従業員の結婚や離婚といったプライベートにはあまり踏み込まなくなっている証ともいえます。

既婚者のほうが転職にどの程度有利か不利かは企業によって差はありますが、このような傾向はなくなってきているといえるでしょう。

現在の日本では、同性パートナーとは結婚(婚姻)することはできません。
そのため、LGBT当事者の中には結婚しないことがキャリアに影響するのではと不安に感じる人も少なくありません。

しかし本来、キャリアには結婚の有無は関係ありません。
キャリアアップ転職する際には、仕事でどれだけの成果が出せるかがはるかに大切なのです。