(Aさん/レズビアン)
私の場合は普通に仕事をする分には、自分がLGBTであることを強く意識することはありません。わざわざ自分がレズビアンだと伝えなくてもコミュニケーションを取ることができます。むしろ、伝えない方が仕事上はスムーズにいくと思います。しかし、一歩踏み込んだ関係を職場の人とも築いていきたいと思った時に立ちふさがる壁が自分自身のセクシュアリティです。
これまでの経験上、職場に入社してある程度組織に馴染み始めてきた頃から、同僚、上司にプライベートの話題や恋愛ネタを振られることが多かったです。休憩時間や、仕事が終わった後、宴会の席などの場を和ませる雑談の1つとしてこのようなネタは好まれます。私の場合は、どこからどう見ても普通の女性にしか見えないので「彼氏いるの?」と聞かれることが多いです。そう聞かれた時に「います」と答えるか「いません」と答えるか、本当に悩んできました。
なぜ悩んでしまうのかというと、まず『彼氏』という言葉に違和感を感じるので無意識のうちに『パートナー』や『恋人』と言い換えて対応してしまう自分がいます。それに、もし「います」と答えれば「付き合ってどのぐらいなの?」「結婚は?」「彼氏の仕事は?」などと他にも質問が来ます。中でも、仕事を聞かれるのは結構困ります。性別を問わない仕事をしていればいいのですが、彼女の職業が医療事務や保育士など女性らしい仕事だと、職種まで嘘をつかなければなりません。それに、写真は絶対に見せられないのでそこも心苦しいです。しかし「いないです」と答えれば「何で?」「どのぐらいいないの?」などと聞かれるので、それはそれで困ってしまいます。
最近は「彼氏がいます」と答えていますが「付き合って3年ちょっとです」というと、20代後半という年齢のこともあるので「結婚は?」と聞かれます。結婚願望がないわけではないのですが「う〜ん。難しいですね…ちょっと」というと、何か訳ありな恋愛をしているという風に受け取られてしまうので「あるんですけど、まだですかねぇ」と答えるのが無難なのかなと思っています。
このように、仲良くなりたいという好意の気持ちを持って接してくれる同僚や上司に対して本音を明かすことの出来ない辛さがいつも付きまといます。
きちんと伝えれば、応援してくれるのかもしれません。しかし、その場の雰囲気を壊したくなくて同棲中の彼女のこともルームシェアをしている友人としか伝えられないのが申し訳ないです。