男性カップルの養育里親認定で注目された「同性カップルを描いた漫画」

先月、大阪市が男性同士の同性カップルを、虐待などで親元で育てられない子どもの「養育里親」として認定したことがわかりました。
様々な意見があがる中で、1995年に連載された漫画「ニューヨーク・ニューヨーク」の一番面がSNSで取り上げられ注目されました。

ニューヨーク・ニューヨークとは

1995年~1998年に花とゆめで連載された、同性カップルの愛とヒューマニズムを描いた作品で、作者は「赤ちゃんと僕」などの作品が有名な羅川真里茂さんです。
単行本で全4巻発行されており、ストーリーの主軸となっているのは、ニューヨークで警官を勤めるケインと、パートナーであるメルの男性カップルです。

ゲイの男性を主人公にしたシリアスな話。BL的な内容ではなく、ゲイである事を隠して生活をする難しさやそれに伴うジレンマ、ゲイへの偏見や弾圧、肉親への罪悪感、エイズ (HIV)、更にはゲイカップルが養子を取る事で発生する問題まで、現実に生活しているゲイの人々が直面している、あるいはするであろう極めて深刻なテーマを多岐に渡って扱っている。
wikipediaより


Amazn.Co.Jpより

SNSで話題になった場面とは

大阪市が同性カップルを養育里親に認定したニュースで話題となったのは、ケインとメルが育てる「エリカ」のシーンです。

ケインとメルは養子縁組によって夫婦関係になった後、実の母親が麻薬中毒で育てられないため養護施設に預けられていたエリカという女の子を養子にします。

成長したエリカは、学校で「ゲイカップル」に育てられていることについて男子生徒から「ゲイは子供が作れないけど子供をほしがって養子を取ったりするが、それは勝手なのではないか。ニセモノの親の愛情を受けることになる子供がキズつくのでは」と言われます。

それに対しエリカは「自分はかわいそうに見えるか?」と返した上で、「私は親に恵まれなかった。彼らは子供に恵まれなかった。片方しかいなかったらこんな不公平なことない。でも私たちは求めあって一緒になれてすごく公平だ」と答えます。

「ニューヨーク・ニューヨーク」ではケインとメルが養子を取り、育てる姿も描かれています。
このことから、大阪市のニュースをみて「エリカのシーンを思い出した」という声がありました。

まとめ

20年以上前に連載された漫画ですが、現在でもなお続く様々な問題が描かれています。
決して軽いテーマではありませんが、どんなセクシュアリティの人にとっても、いろんなことを考えさせられる作品となっています。

LGBTへのハラスメント「SOGIハラ」とは?

LGBT当事者へのハラスメントを「SOGI(ソジ)ハラ」と呼び、防止する活動が行われています。

SOGIハラとは?

SOGIハラとは、好きになる人の性別(Sexual Orientaition)と、自分の性別についての認識(Gender Identity)の頭文字である「S O G I」と、ハラスメントと組み合わせた造語です。

好きになる人の性別や、自分の性別についての認識に関わることで差別的な扱いを受けたり、発言をされたり、いじめや暴力といった精神的・肉艇的な嫌がらせを受けることをSOGIハラと呼びます。

SOGIハラを防ぐための支援団体は、ウェブサイトを開設してSOGIハラの体験談を集めています。
http://sogihara.com/

どんなことがSOGIハラになるの?

差別的な呼称

レズ
オネエ
オトコオンナ
etc…

差別的な言動

「ホモ/レズって気持ち悪い」
「オトコオンナって変だよね」

学校や職場でのいじめ、差別的な扱い

学校で「ホモ」とからかわれ、無視されたり暴力を振るわれる
職場で「オネエ」とあだ名をつけられ、何かとからかわれる
etc…

望まない性別での生活の強要

望まない性別の制服を着用するよう言われる
職場で「女性なのだから化粧をするように」と言われる
etc…

不当な異動や解雇、不当な入学拒否や転校強制

「髪を切らないのなら仕事を辞めろ」と言われる
カミングアウトしたら理由なく異動をさせられた
etc…

自分の望まない形でセクシュアリティを知らされる「アウティング」

上司にカミングアウトしたら、職場で自分のセクシュアリティが広まってしまい、好奇な目で見られるようになった
友だちにレズビアンであることを周囲にバラされてしまい、学校でからかわれるようになった
etc…

SOGIハラを防ぐためには

SOGIハラを防ぐためには、正しい知識が必要です。
SOGIハラが起こる原因の多くは「知識がない」からです。

例えば、よく耳にする「オネエ」「ホモ」「レズ」といった言葉は差別的な言葉であり、それによって傷ついているLGBT当事者もたくさんいます。
しかし、LGBTについて知らない人によっては、それらが差別的な発言であることも、誰かを傷つけていることもわかりません。

こうしたことを防ぐためにも、現在は、企業や行政、NPO法人などがLGBTの正しい知識を広めるために、様々なセミナーを開催したり、LGBTの相談窓口の設置、同性パートナーシップ制度の導入、誰でもトイレの設置などが行われています。

「LGBT対応 大手企業の4割」その取り組み内容とは?

5月15日に、経団連が会員企業にLGBTに関する取り組みについて調査を行ったところ、4割の企業が何らかの取り組みを行っていると発表したことが報道されました。

「LGBT」対応 大手企業の4割 経団連調査
経団連は、性別を問わないトイレを職場に設置するなど、「LGBT」と呼ばれる性的マイノリティーの人たちが働きやすくするための取り組みを行っている大手企業は、全体のおよそ4割に上るという調査結果を発表しました。
経団連はことし3月、会員企業を対象に「LGBT」の人たちへの対応を尋ねる初めての調査を行い、全体の15%に当たる233社から回答を得ました。

それによりますと、何らかの取り組みを「実施している」と答えた企業は42.1%に上りました。また、「検討中」という企業が34.3%だった一方、「予定なし」と答えた企業も23.2%に上りました。

2017年5月15日 NHKニュース

LGBTフレンドリー企業は増えている?

経団連は「回答率は15%で、実際には企業の対応をより促していく必要があると感じている。グローバル化が進む中、多様な人材の受け入れは、優秀な人材を確保したり成長性を高めたりするための大きな課題となっていて、職場環境や制度の整備を広く呼びかけていきたい」とコメントしています。

会員企業のうち回答があった企業は全体の15%である233社であり、その42.1%が「実施している」ということは、おおよそ98社がLGBTに関する何らかの取り組みを実施ているようです。

今回の調査は経団連の会員企業のみが対象となっているため、日本全体の企業を含めるともっと多くの企業が「実施している」と思われます。
しかし、やはり現状ではLGBTフレンドリーは大手企業を中心に広がっているため、まだまだ数としては少ないことが予想されます。

LGBTフレンドリー企業の取り組みとは?

経団連の発表によると、「実施している」と回答した企業に具体的な内容を聞いたところ、下記のような結果になりました。

91.8% 社内セミナーなどの開催
82.8% 相談窓口の設置
52.2% 性別を問わないトイレなど職場環境の整備
32.8% 結婚休暇や配偶者手当を同性のパートナーにも認めるなどの人事制度の改定

LGBTダイバーシティいついては、まずは「知ること」が大切になってきます。「知らない」ことが偏見や差別の大きな原因となっているためです。
LGBTに関する差別には「悪気はないけれど知らずに相手を傷つけてしまっている」ということが起こりがちです。そういったことを防ぐためにも、LGBTについて知るためのセミナーを開催する企業は多いようです。

LGBTフレンドリー企業の今後の動きに期待

LGBTフレンドリー企業といっても、取り組み内容・状況は企業によって様々です。

「LGBTフレンドリー言っているのに実際には職場の理解が進んでいない」といった意見も見られますが、最初から完璧に理解が浸透させることは非常に難しいです。
理解を浸透させるためにも、まずは始めることが大切です。
日本の企業でのLGBTダイバーシティの推進はまだ始まったばかり。今後の動きに期待です。

ドンキ「LGBT用トイレ」に様々な意見

5月11日にディスカウント店大手のドン・キホーテが旗艦店である「MEGA(メガ)ドン・キホーテ渋谷本店」に「LGBT用トイレ」を設置すると報道されました。

ドンキがLGBT用トイレ
先進地・渋谷の旗艦店に

ディスカウント店大手のドン・キホーテは11日、同性愛や性同一性障害などの性的少数者(LGBT)用のトイレを、差別解消を目指す先進地として知られる東京・渋谷の旗艦店に初めて設けたと発表した。小売業界では珍しい試みで、顧客の反応が良ければ他の店舗への導入も検討する。

 旗艦店は「MEGA(メガ)ドン・キホーテ渋谷本店」で、12日にオープンする。渋谷区が多様性を認め合う地域づくりの一環で、同性カップルを夫婦と同等のパートナーと公的に認める証明書を交付していることなどに賛同した。

 「ALL GENDER」の案内板を掲げた個室トイレ3室をつくった。

2017年5月11日 共同通信

「LGBT用トイレ」の表現はおかしい?

記事中では「同性愛や性同一性障害などの性的少数者(LGBT)用のトイレ」と紹介されています。
これに対し、「トイレの問題は性同一性障害などのT(トランスジェンダー)の問題であり、LGB(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル)には関係がないのでLGBT用という表現はおかしい」といった意見も見られました。

しかし、トイレの案内板には「ALL GENDER」と書かれており、セクシュアリティを特定した書き方はされていません。
報道のされ方と、ドン・キホーテのトイレ設置の意図にズレがあったことにより、こうした意見が出たようです。

「ALL GENDERトイレ」はLGBTフレンドリーなのか

ドン・キホーテでは、渋谷区の多様性を認め合う地域づくりという考えに賛同しています。
そのことから、「ALL GENDERトイレ」が設置されることとなりました。

これまでも様々な企業や自治体などで「ALL GENDERトイレ」が設置されてきました。
案内板にLGBTの象徴である6色のレインボーや、身体の半分はズボン・もう半分はスカートを履いているようなイラストを使用するなどで表現されています。

このような「ALL GENDERトイレ」には「トイレを利用しやすくなった」という声がある一方で、「利用することで当事者だとわかってしまう」といった否定的な声もあります。

▼ドン・キホーテはTOKYO RAINBOW PRIDE 2017にも出展。
LGBTフレンドリーな取り組みを進めている。

まとめ

賛否両論ある「ALL GENDERトイレ」ですが、設置の目的は「多様性を認め合う」ということにあります。

まだまだ社会で浸透していないため様々な意見が出ていますが、実際にトイレに困っている人たちにとって利用しやすいものになるための、必要な段階なのかもしれません。

みなさんはドン・キホーテの「ALL GENDERトイレ」について、どう感じましたか?

今週の記事まとめ~TRPレポートやLGBTフレンドリーインタビュー~

本日は今週公開した記事をまとめて紹介します。TOKYO RAINBOW PRIDE 2017のレポートや、LGBTに関する情報発信をする雑誌編集部へのインタビューなど様々な記事を公開しました!

渋谷が虹色に染まる日 TOKYO RAINBOW PRIDE 2017レポート前編!

前編ではTRPのブースをレポートしています!

渋谷が虹色に染まる日 TOKYO RAINBOW PRIDE 2017レポート前編!

渋谷が虹色に染まる日 TOKYO RAINBOW PRIDE 2017レポート後編!

後編ではTRPのパレードをレポートしています!

渋谷が虹色に染まる日 TOKYO RAINBOW PRIDE 2017レポート後編!

LGBTインタビューvol.7 株式会社ダイヤモンド社

LGBTに関する情報を発信する「Oriijin(オリイジン)」編集部の福島さんにインタビューしました!

interview

教育現場でのLGBT

LGBTアライによるレポート。LGBTに関する教育の必要性についてです。

教育現場でのLGBT

LGBT当事者との出会い。

LGBTアライによるレポート。LGBT当事者との出会いによってLGBTの理解がより深まったというレポートです。

LGBT当事者との出会い。

LGBTフレンドリーな性病クリニックの紹介

LGBTフレンドリーな性病クリニックの紹介

LGBTフレンドリーな性病クリニックの紹介

同性愛者カップルにとって怖いものは複数あると思いますが、性行為による「性病」や「HIV」の感染は特に恐ろしいです。性行為は愛情表現やコミュニケーションの一環として、カップルの信頼関係を築くものとして重要な行為です。しかし片方が感染していると発覚したら、性行為に及ぶことは難しくなりますし、秘密にしてパートナーに感染させてしまったら信頼関係を崩壊させかねません。

ただ性病やHIVに感染した後、専門病院に受診しにいく事はストレートの人にとってもハードルが高く、同性愛者においてはそのハードルはより高まります。
日本においてHIV感染者の感染経路が同性間感染の異性間感染の3倍といったデータもあり、専門病院に関する知識も入れる必要があると考えます。

そこで今回の記事で紹介するのは、LGBTフレンドリーの性病クリニックです。

あおぞらクリニック

http://www.aozoracl.com/
新橋駅徒歩8分 夜8時まで診療している性病専門クリニックです。毎月500もの人が訪れていて、多くのLGBT当事者に利用されています。
ではなぜこんなに多くの方に選ばれているのでしょうか。

1 プライバシーを守ってくれる
自費診療なので、保険診療と違って匿名で診察を受ける事が可能、払うのは検査料金と薬代のみです。また自費診療にすることによって家族に知られる心配もありません。クリニック内のレイアウトも極力ほかの患者と接触しないように配慮されています。

2 LGBTフレンドリー
LGBT当事者の患者の割合が他のクリニックに比べ多く、LGBT当事者の治療経験が豊富な医師が多く在籍しています。LGBT当事者もそうでない方も同じように接するのが当たり前という考え方が当クリニックに存在しています。また、男性診療は男性スタッフのみで行い、女性診療は女性スタッフのみで行っています。

3 即日対応、即日治療
基本的に通院は1回で大丈夫で、検査や薬の受け取りも即日で終わります。また、即日で検査がでなくてもwebで結果を閲覧することが可能です。また、病気によって治療費が明確に設定されています。

LGBT当事者のみならず、一般の方でも利用しやすいのが当病院です。性病にかかってしまった事は知人には極力知られたくないです。病院に行くということも人によっては非常に恥ずかしいことだと思います。しかし性病やHIVは早期発見・治療が大事になってくるので、このような病院があることは大変ありがたいですね。

LGBT当事者との出会い。

LGBT当事者orアライによるレポート。今回はLGBT当事者との出会いです。

私がLGBTというワードを初めて知ったきっかけは、2年前の12月でした。
その時、LGBT当事者は日本の人口の8%(AB型や左利きの人と近い割合)ということを初めて知り、思っていたより多いなという印象を受けました。同時に、当時私の友達に(私が認識している範囲で)当事者はいなかったのですが、もしかしたらいるかもしれないと感じました。

出会い1

私の会社にはLGBT当事者の方がいます。
入社してカミングアウトを聞いたときは、多少の驚きはありましたが、他の社員さんたちと変わらずすぐに打ち解けられ、毎日一緒にたのしく仕事をしています。
仕事をしたり、食事をしたり、会話をしたり、日々生活する中で、だれが当事者でだれが当事者でないということはほとんど意識していません。つまり、LGBTという知識はもっていて、関わる人は全員1人の人として関わっている、といった感じです。私はそれでいいと思っています。

出会い2

タイムリーなことに、入社して2週間過ぎ、現在海外に留学していて、一時帰国中の親友と遊んだときのことです。いつも通りたわいもない恋愛話をしていました。

私「最近どうなのー?」
親友「すごい私のことを好いてくれる人がいて、私もその人のこと気になってるんだよね~」
私「え!めっちゃいいね!どんな人??」
親友「トランスジェンダーの人なんだよね!そういうの抵抗ある?」

という会話をしました。
私は「全然ない!(親友に好きな人ができて)うれしい!!」と即答しました。
LGBTという存在を知っていて、すごくよかったなと思いました。もし私が、LGBTについて何も知らなかったら、私は珍しいことを聞くような反応をしてしまい、親友を傷つけていたかもしれません。

私は、もともとLGBTなどセクシュアルマイノリティの方々に対して、なんの抵抗もありませんでした。(深く考えたことがなかったと言った方が合っているかもしれません。)これは悪いことではないかもしれませんが、もしかすると自分の気付いていないところで誰かを傷つけていたかもしれません。

LGBTという存在を知り、当事者と出会ったことで、より“その人を理解しよう”“知りたい”という気持ちを持って人と接するようになった気がします。

2年前の私のようにLGBTに対して何も知らない人が世の中にはたくさんいます。知るきっかけは何でもいいと思います。知ることで、LGBTに対して理解するきもちや少しの配慮をもった接し方ができる人たちがもっとたくさん増えればいいなと思います。

教育現場でのLGBT

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は教育現場でのLGBTについてです。

幼稚園生の事例

ある小さな男の子が体の性は男なのですが、心の性が女である子供の事例を紹介します。
その子供のお父さんは男の子であるため、息子と一緒にキャッチボールをしたり、男の子用のおもちゃを買ってあげたりして‘男の子’として接していました。

しかし突然ある日、一緒におもちゃを買いに行ったときに、泣き出してしまい、女の子が好きなかわいいものが好きだと言い出したのです。お父さんはびっくりしたと同時に、自分が今まで子供に傷をつけていたのだと深く反省した瞬間だったそうです。それと同時に幼稚園で「くん」付けから全員に対して、「ちゃん」付けにすることを幼稚園側と話し合い決めたそうです。

小学校におけるLGBT授業

私が小学生だった10年以上前では、LGBTという言葉は聞いたことはなく、それに関する授業も受けたことはありません。
4年ほど前に、福岡県の小学校で6年生の道徳の授業で「自分らしく生きること」をテーマにした公開授業が行われました。これは実際に当事者の方が講師となって、自身の経験を基に語りました。
その結果児童が自分のことを肯定的にとらえて、他人をしっかりと理解しようとする児童が増えたと担任の先生は述べました。
さらに教員でも性の多様性について深く考えるきっかけになったと話していました。しかし多くの小学校現場では依然として偏見を持っている先生が多いため、まずはセミナーなどに参加して教員の勉強会を行う必要性があります。
そしてそこで学んだことを子供たちに教えて、早い段階から子供たちに理解させることが重要になってきます。

中学校での取り組み

性的マイノリティーの人たちが自分の性や恋愛対象を自覚するのは早くて小学校の段階ですが、思春期に入った中学校の段階で自覚する人が多いようです。
性的マイノリティ―の方が学校生活においていじめを受けたのは全体の68パーセントにまでのぼります。そこで小学校と同じようにまず教員からの理解を得るために、LGBTに関する教材を中学校の教員向けに無料で配布を開始したり、「誰でもトイレ」を設置したり、まだ実現はしていませんが、今後男女の制服を同じものへ変更することを検討するなどが行われています。

また、ある学校では文化祭で、3年生がLGBTについての自作の劇をおこなっていますが、生徒からの不満や反発はほとんどありません。
むしろ小中学生のほうが受け入れも柔軟で早く、生徒たちが進んでやっているそうです。その事例からもやはり小中学校における教員のLGBTの理解と、早い段階での教育がますます大切になっていきます。

LGBTインタビューvol.7 株式会社ダイヤモンド社

LGBTという言葉が新聞やテレビで取り上げられることが増え、「ブーム」のように感じる人も少なくありません。しかし、LGBTをはじめとしたセクシュアルマイノリティについて知り、理解することは決してブームで終わらせてはいけない…そんな想いから誕生した雑誌「Oriijin」。
今回は「Oriijin(オリイジン)」の編集長である、株式会社ダイヤモンド社のクロスメディア事業局の福島宏之さんにお話を伺いました。

「Oriijin(オリイジン)」とは

ダイヤモンド社が2017年3月に出版した雑誌。
「ココロ」と「多様性」の話を軸に、LGBT当事者・非当事者の双方にとって有効な情報をとりまとめ、多様な人物が“わたしのココロスタイル”と称して、自身の心の在り方を発していく。同時にダイバーシティを推進する企業や人事担当者に向けた、LGBTについての“A to Z”を併せ持つ。

「Oriijin(オリイジン)」出版のきっかけは何だったのでしょうか?

スタートは、「世の中にとって価値のある情報を、新しい雑誌で出版したい」という想いでした。
今はネットで検索すれば気軽に様々な情報を得られますが、便利な一方、ネットは情報量が多すぎて、見たり読んだりするのに疲れている人も多いのでは?と思います。
また、ネット「検索」では目的以外の情報はなかなか得られません。しかし、雑誌というメディアは、たまたま本屋で見かけたとか、他の特集を読んでいたら知らなかった情報も掲載されていた……など、偶然に得られる情報もあることに価値があります。
もともと、私は雑誌の編集者なので、雑誌への思いもことさら強かったです。

なぜLGBTをテーマにしたのでしょうか?

「Oriijin(オリイジン)」は、弊社の各部門を超えて、多様な有志メンバーでアイデアを出し合って創り上げた雑誌です。
「LGBT」については、自然発生的にメンバーから出たものですが、当初、私自身は消極的でした。

なぜLGBTをテーマにすることに消極的だったのですか?

誰を想定読者にし、情報発信するべきか…そこに、他のテーマにはない難しさを感じたからです。
当事者の方か、アライの方か、LGBTにまったく知見のない人たちか?
LGBTの当事者やアライの方々は、既に知識も見識もあるでしょうから、基礎的な情報を発信しても意味がなく、物足りないはずです。カルチャーやライフスタイルについても、ビジネス系出版社の弊社がはたして読者満足度の高い情報を発信できるのか?
「LGBT」をメインコンテンツにしたときに、誰にどういう情報を発信すべきかを、かなりの時間を割いて考え、迷い、メンバーで討議を重ねました。
「ダイバーシティやLGBTをテーマにすることにはたいへんな意味がある」という意思だけはブレませんでしたが…。

ご存じのように、2020年の東京オリンピックのエンブレムである組市松紋には「多様性と調和」というメッセージが込められています。
東京をはじめ、日本は2020年に向けて、社会がダイバーシティ推進へと動いています。しかし、LGBTという言葉自体を知らない人もまだ多いですし、理解促進に向けて、一出版社の私たちが雑誌メディアでやるべきことがあるのではないか?と、討議に熱が入りました。

もうひとつ言えば、弊社が渋谷区にあるということも、私の中では大きかったです。東京レインボープライドのパレードは、弊社前の明治通りがコースになっています。フェスタの会場である代々木公園と弊社の社屋は目と鼻の先です。同性パートナーシップ制度が導入されている渋谷区の出版社が、LGBTをテーマにした雑誌を創ることに価値があるのではないか、と。

ダイヤモンド社の本社はTOKYO RAINBOW PRIDEのパレードの沿道にある

TOKYO RAINBOW PRIDE 2017には「Oriijin(オリイジン)」としてブースを出展した

「Oriijin(オリイジン)」というタイトルやキャッチコピーである「暮らす&働く わたしのココロスタイル」はどのように決められたのでしょうか?

性自認や性的指向と、それぞれの人の心(ココロ)は密接な関係にあります。
LGBT当事者か非当事者かに関わらず、人は誰もが自分の性自認と性的指向を持っています。
自分の心(ココロ)にプライドを持ち、他者の心(ココロ)の在り方をリスペクトしていくこと……それが何よりも大切と考え、私たちは「ココロスタイル」というキーワードを掲げました。
雑誌のタイトル案は20ほどありましたが、メンバーの総意で最終的に「Orijiin(オリイジン)」に決定しました。その意味は編集後記にも書きましたが、誰にでも分かると思います。

実際に様々なフォントで作成したタイトル案と、新媒体を企画するにあたっての企画書

編集の際にこだわったのはどのようなところでしょうか?

LGBTの当事者、非当事者、NPO関係各位など、たくさんの方々にお話を伺い、アドバイスをいただきながら制作を進めました。
また、「雑誌」というアナログメディアならではの見せ方にもかなりこだわりました。たとえば、冒頭のタレントインタビューは2ページ構成ですが、見開き完結にせずに、片ページ起こし(=ページをめくって本文が表れる構成)にしています。
マウスでスクロールして情報を得るのではなく、指でページをめくって、紙の質感とともに情報を得ていただく……桜の季節に発売した雑誌なので、ある特集ではページ全体で桜を満開にさせています(笑)。

雑誌のテイストが明るくカラッとした雰囲気なのも心がけたことです。企画のテーマやデザイン、本文、写真、イラストの見せ方で、誰にでも手に取りやすいようにしました。
さらに、「誰にでも手に取りやすい」という創りとしては、井ノ原快彦さん・さだまさしさん・小林幸子さん・ヒロシさん・小島瑠璃子さんといった人気アーティスト・タレントの皆さまにもご登場いただき、「ココロスタイル」を語っていただきました。それは、LGBTに関心のない人たちにも、雑誌に触れていただきたいという考えがあってのことです。
実際、自分の好きなタレントが載っているから買ったという方から、「他のページを読んでLGBTのことが良く分かりました」という声をいただき、SNSでも拡散してくださいました。

明るい雰囲気の誌面

次回以降に取り上げてみたい特集などはありますか?

今回はトランスジェンダーの方があまり登場していないので、次回はきちんと情報発信させていただく予定です。私たちメディア側も「LGBT」と一口に括ってしまいますが、LGBT以外のセクシュアル・マイノリティの方も多くいらっしゃいますし、当然、L・G・B・Tの方々それぞれで、社会生活における悩みや考え方は異なります。
また、小誌は「インクルージョン&ダイバーシティ マガジン」ですので、LGBTをはじめとしたセクシュアル・マイノリティに限らず、多種多様な“ココロスタイル”で形成される社会について、然るべき情報を、正しく発信していくつもりです。
ダイバーシティを推進する企業・自治体・学校法人の情報なども、たくさんの方にお話をいただきながら、雑誌メディアという独自のスタイルでまとめていきたいと思います。

ありがとうございました!

編集部より
ダイヤモンド社といえば、週刊ダイヤモンドの出版や、「嫌われる勇気」といったビジネス書・経済書をはじめとした幅広いテーマの出版物を制作する会社さんです。
「Oriijin(オリイジン)」は、様々な角度からLGBTを特集しており、内容の堅さ柔らかさのバランスがちょうどよく、LGBT当事者もアライも、LGBTにそれ程詳しくない人にとってもおもしろく読めるのではないかと思います。そんなところがダイヤモンド社さんならではの雑誌だな、と感じました。
インタビューでは企画段階から出版まで、福島さんを中心に多くの方の熱い想いが詰まっていることを知れました。次回の「Oriijin(オリイジン)」発行もとっても楽しみです!

渋谷が虹色に染まる日 TOKYO RAINBOW PRIDE 2017レポート後編!

今年も渋谷で開催されたTOKYO RAINBOW PRIDE 2017。

今年はなんと、108,000人が参加と過去最高!
パレードも非常に多くの方が参加されていました。

nijipi運営のNijiリクルーティングも「LGBT-Allyシンポジウム」としてパレード参加してきました!
ということで後編はパレードの様子をレポートします♪

TOKYO RAINBOW PRIDE 2017では、23のフロートが参加。
パレード参加希望者は、希望のフロートを選んで受付をし、整列します。

フロート毎にデコレーションした車などが先導します♪

12時に代々木公園をスタート!

Nijiリクルーティングはこちらのフロートに参加♪

今年も渋谷モディのビジョンはレインボー♪

表参道のLUSHもレインボー♪
LUSHのスタッフさんは手を振って応援してくれていました♪

 

スターバックス渋谷公園通店もレインボーでした♪

この他にもレインボーの装飾をしている店舗などがたくさんありました^^
パレード中は沿道から応援している人も♪♪

いろんなところから「Happy pride!」という声があがっていました!

 

Nijiリクルーティングとして初めて参加したパレードでしたが、参加すること自体とっても楽しかったです!
みんなで渋谷の街を歩く一体感や、沿道から声をかけてくださる方とのコミュニケーションなど、とっても盛り上がっていました♪

改めて、TOKYO RAINBOW PRIDEというイベントは、参加することの楽しさはもちろん、LGBTについてたくさんの人が知る機会になっているのだろうなと感じました。

また、LGBT当事者の方もたくさん参加されており、手をつないでいる幸せそうな同性カップルの方もたくさんいらっしゃいました。
普段は気づかないことも多いですが、LGBTは本当に身近で自然に存在しているのだなということも感じました。

今回Nijiリクルーティングとしては、アライを増やす活動の一環としてパレードに参加しました。
多くの方にアライであることを知ってもらうことができ、来年も是非参加したいと感じました!