企業が「LGBTフレンドリー」を謳う理由とは??

LGBT当事者もしくはアライによるレポート。今回はLGBTフレンドリー企業についてです。

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現在、LGBTフレンドリーを打ち出す企業が急速に増えています。企業にとってLGBTフレンドリーを打ち出すことにどのようなメリットがあるのでしょうか。

LGBTフレンドリー企業って?

そもそも、LGBTフレンドリー企業とはなんでしょうか?LGBTフレンドリーについての具体的な規定はなく、取り組みも企業ごとに様々です。

例として、
社員向けに理解を促すセミナーを開催している
選考でLGBTであることを理由に区別をしない
ジェンダーフリートイレを用意している
などがあります。

これらは一例に過ぎませんが、LGBTに特化して、何かしらの取り組みを行っていることが、LGBTフレンドリー企業と呼べる基準であるといえると思います。

どんなメリットがあるのか

LGBTフレンドリーであると企業が謳うことによるメリットにはどんなことがあるのでしょうか。

1.売り上げがアップする!?

フレンドリーであるということは、LGBT当事者にとってはとても安心できます。
商品を購入するにしろサービスを受けるにしろ、LGBTに配慮している会社を選択するのは必然的であると言えます。人口の約8%のシェアを獲得できるのは競合他社との差別化という点でメリットになりますね。

2.売上増加は8%以上!?

LGBTフレンドリーを打ち出すことで、LGBTでない消費者にも影響するようです。
LGBT総合研究所さんの「“LGBTフレンドリー”企業の印象に関する調査(http://lgbt-marketing.jp/2016/06/28/lgbt-friendly-companies/)」によるとLGBTへの取り組みを行っている企業の商品/サービスを利用したいと思うか、という問いに対して、約6割の方が、「利用したい」と回答しています。

この調査はLGBT当事者、非当事者両方含まれています。
ここで注目したいのが、非当事者の方に絞って数字を見ても、依然約6割が「利用したい」と答えているということです。

LGBT向けの商品やサービスを提供しなくても、LGBTフレンドリーであると謳うだけでも、謳わないときよりも売上アップにつながるということです。

3.雇用の拡大

LGBTフレンドリーを謳うことは、人材確保の点でも有利になります。
LGBT当事者がLGBTフレンドリー企業を優先して選ぶのは容易に想像できます。(全員が全員とは限りませんが、私はそうでした)

LGBTに対する差別を受けた方は特に、会社の理解があるかどうかが選ぶ際の重要な基準になることが多いです。
裏を返して言えば、優秀であるのにLGBTであるがゆえに会社選びの幅を狭めざるを得ない人が存在しているということです。

まとめ

昔に比べれば認知度はあがったものの、まだまだLGBTダイバーシティが浸透しているとは言い難い社会です。

仕事という場では、全体の理解は会社1社1社が変わっていくしかありません。メリットがあるから実施する、だけではいいとは思いませんが、すべての人が気持ちよく働けるという点でも進んでほしいと思います。

LGBTフレンドリー企業の探し方、4つのポイント

LGBT当事者もしくはアライによるレポートシリーズ。今回はLGBTフレンドリー企業の選び方についてです。

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今、日本ではLGBTの方々が就職の際にさまざまな困難を抱えています。そういった方々への対応を進めている「LGBTフレンドリー企業」という会社がいくつも存在します。

当事者が働きやすいような企業に就職するには、こういった企業に就職する方がいいと思います。しかし、どうやって選べばいいのか分からない人がたくさんいると思います。

そもそもLGBTフレンドリー企業はどのような企業でしょうか?

1.社内のLGBT 対応
社内でLGBTが働きやすい社内にするために、何か具体的な対策を行っている企業。
例えば、トランスジェンダーの方のために男女別でなく誰でも使えるトイレを設置しているなど。

2.LGBTコミュニティの支援
パレードや映画祭などLGBT関連イベントの協賛、LGBTサポートの対外的な表明がなされている企業。

などです。

LGBTフレンドリーな企業の探し方

1.LGBT就活フレンドリー宣言に賛同している企業を確認する

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多様性を尊重し、セクシュアリティを理由に採用において差別しないことを宣言している企業です。

2.東洋経済の『CSR企業総覧』でLGBT対応企業リストを確認

年々LGBTの取り組みを行う企業数が増加しており、以下の社名リストは大手企業がLGBT対応をしているか知りたいときのガイドラインとして有効です。
http://www.toyokeizai.net/csr/ranking/2016/20160104Data.html

3.履歴書やESなどの「性別欄」を確認

最近では履歴書やESの性別欄をなくす、「その他」という選択肢を設けるといった企業も増えているので、チェックしておくといいと思います。

4.パレードや映画祭などLGBT関連イベントの協賛企業を確認

LGBTコミュニティ支援がわかりやすい形で見えるのが、全国各地で開催されているLGBT関連イベントへの協賛企業表示です。協賛企業表示を普段から確認しておくと良いかもしれません。

まとめ

自分のセクシュアリティを理由に、就職を諦めるのではなく、自分に合った企業を探し求めてみると働きやすい環境が見つかるのでは、と思います。

そのためにも、まずはLGBTフレンドリー企業を知ることが大切です。
企業によって取り組む内容や状況は異なるので、実際にLGBTフレンドリー企業に就職した方や、企業の説明会に行って社員の話を聞くなどをしてみるといいアドバイスがもらえるのではないのでしょうか。

以前に比べてもLGBTに対して配慮をしたり、理解を深めようとしている企業はたくさんあります。その中で、自分の個性や才能・能力などを、存分に発揮できるような会社に皆さんが入社できるといいですね。

LGBT当事者が暮らしやすい国とは?

LGBT当事者もしくはアライによるレポートシリーズ。今回はLGBT当事者が暮らしやすいとされるカナダについてです。

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LGBTフレンドリーな国、カナダ

カナダの北東部に位置するオンタリオ州は、カナダ全州が同性愛を合法とする2005年よりさらに2年前、2003年にはすでに同性愛を認めていたLGBTフレンドリー地域です。
そのオンタリオ州の中にあるトロントで行われる「プライドパレード」に今大きな注目が集まっています。

トロントでは、トロントプライドパレードに向かう1ヶ月間を“Pride Tronto”月間としています。その期間にはLGBT著名人のスピーチや、LGBT関連映画の上映会、バーでのイベントなどが行われ、人々の交流の場となります。
パレードが行われる当日には道路は人でごった返し、さまざまな人種、職業、セクシャリティの人がみんなでフロートを掲げてゴールまで町を練り歩きました。

このような大規模なLGBTイベントの存在は、街の雰囲気をそのまま表しています。人々の偏見が少ないからこそこれらのイベントが成立し、イベントが行われることで住民の理解が深まるという相乗効果をもたらしているのです。

カナダは同性カップルも暮らしやすい

カナダには「コモンロー」というカップルが存在します。

事実婚に近い関係で、婚姻関係はないものの、夫婦同然に暮らすカップルのことです。
同性間、異性間に関わらず、一緒に1年以上暮らしていることでコモンローカップルとして申請することができます。

また、カナダは移民の国と呼ばれる程、多様性のある国です。
セクシュアリティも含めて多様性を受け入れる風土があることや、コモンローカップルなど、様々な面でLGBT当事者が暮らしやすい国と言われています。

ユニリーバ・ジャパンがLGBT支援プログラム開始

ユニリーバ・ジャパンが2016年9月から、LGBT等性的マイノリティを支援するプログラム「ユニリーバ・プライド・ジャパン」を開始しました。

従来のブルーのロゴを、レインボーカラーにしたロゴも発表されています。

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ユニリーバ・ジャパンってどんな会社?

ユニリーバ・ジャパンは世界最大級の消費財メーカーです。
Dove、LUX、modshairなど、シャンプーやボディーソープ製品の他、紅茶ブランドLiptonや、プレミアムアイスクリームBEN&JERRY’Sなど幅広く展開しています。

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そんなユニリーバ・ジャパンですが、従来からダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを積極的に行っています。
課長職以上に占める女性比率は32%(2016年9月自)になっているほか、2016年7月には「WAA制度」が導入されました。

WAAとは、Work from Anywhere and Anytimeの略。社員が働く場所や時間を選べる勤務制度です。

多様性を尊重する組織文化であるため、以前よりLGBT当事者も自然に受け入れられていたと言います。
制度としてなかったものの、LGBTの社員の職場環境や休暇なども、個別に対応されていました。

LGBT支援プログラム「ユニリーバ・プライド・ジャパン」を開始した目的としては、昨今の社会的な動きを受け、LGBTの社員のための制度を明文化し、LGBT支援活動を強化するためとのことです。

ユニリーバ・プライド・ジャパンとは?

ワークフォース(人材)、ワークプレイス(職場)、マーケットプレイス(パートナーとの協働)、コミュニティ(社会活動)の4つの枠組みの下、活動が行われています。

ワークフォース・・・LGBT人材の採用・活躍を推進します。
2016年10月に開催される、企業とLGBTがともに“自分らしくはたらく”を考えるイベント「RAINBOW CROSSING TOKYO」に協賛・出展します。

ワークプレイス・・・人事制度の改定や職場環境づくりを行います
・2016年9月から、企業行動原則に性自認や性的指向による差別禁止を明記しました。また、セクハラやパワハラに
関する匿名の社内相談窓口では、LGBTに関する相談受付も受け付けています。
・2016年9月から、アライ(支援者)を社内募集し、コミュニティを設置しました。 LGBTアライ・コミュニティには、LGBT
当事者を含め LGBTを応援する社員が参加でき、社内外でLGBTに対する理解促進のための活動を行う予定です。
・2016年10月1日から、同性パートナーを持つ社員に対して結婚・忌日休暇、結婚祝い金・弔慰金の制度を適用しました。
今後、段階的に同性パートナーの父母や子女にも制度を適用していく予定です。
・今後、 LGBTへの理解を深め、チームマネジメントに活かす社内トレーニングを実施する予定です。

マーケットプレイス・・・他の企業やNPO法人、行政団体などのパートナーと協働を通じて、LGBTを支援します。
・NPO法人ReBitと協働し、社内外でのLGBTへの理解促進を図ります。

コミュニティ・・・LGBTフレンドリーな社会の実現を目指す社会活動に協賛します。
・従来から引き続き、LGBTをサポートする外部イベントに、会社やブランド(ベン&ジェリーズ)として協賛する予定です。

出典 https://www.unilever.co.jp/news/press-releases/2016/pride-japan.html

 

LGBTインタビューvol.1株式会社サニーサイドアップ

LGBTフレンドリー企業に取り組み内容などをインタビューをするコーナー。
第1回目は株式会社サニーサイドアップさんです!

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同性婚・事実婚の場合でも結婚出産祝金、結婚休暇を認める「パートナーシップ」制度の導入や、TOKYO RAINBOW PRIDEへの広報PR協力など、LGBT支援を積極的に行う株式会社サニーサイドアップ(http://www.ssu.co.jp/)さん。

制度導入のきっかけや、ダイバーシティに関するお考えを、バイスプレジデントの松本理永さんにお伺いしました。

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松本理永氏
株式会社サニーサイドアップ
バイスプレジデント
株式会社サニーサイドアップの代表取締役社長である次原悦子氏とは同級生であり、会社立ち上げ当初からのメンバー。昨年発足したSSU DIVERSITY LABプロジェクトのリーダーでもある。
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御社ではLGBT支援を積極的にされていますが、何かきっかけはあったのでしょうか?

きっかけは現在TOKYO RAINBOW PRIDEの代表をしている杉山文野さんとの出会いです。10年ほど前、人を介して当時学生だった杉山さんと知り合いました。

この出会いがきっかけで、4・5年前のことでしょうか。TOKYO RAINBOW PRIDEの存在も知りました。

TOKYO RAINBOW PRIDEは今年も多くの方が参加されて、大規模なイベントになりました。しかし、当時はまだまだ知名度は高くはありませんでした。人手も足りず、PRにもそれほど力を入れられていないという話を聞き、それなら私たちができることで協力しよう、ということになったのです。

※協力参加した当時のイベント名は「東京レインボーウィーク」

2016年のTRPにも広報PR協力されていますよね。

はい、今では毎年、当社の新入社員が広報協力として参加させていただいています。当日のメディアの受付や、取材の対応などのお手伝いをするほか、もちろん彼ら自身もパレードに参加して、当社のオウンドメディアで自分達が感じたことを率直にレポートしています。

TOKYO RAINBOW PRIDEでの活動の様子
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「パートナーシップ」制度の導入はどのようなきっかけだったのでしょうか?

渋谷区の「男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」の施行などを受け、当社の制度にも見直すべきところがあるのではないか、ということになり、その一つとして以前からあった結婚祝金制度などの対象に同性婚・事実婚も加える形で、「パートナーシップ」制度をスタートさせました。

社内でのLGBTの理解はいかがでしょうか?

例えば新入社員はTOKYO RAINBOW PRIDEに参加する前に、トランスジェンダー活動家である前出の杉山文野さんによるLGBTに関する講義を受けています。これは希望があれば新入社員以外も参加することができます。

その他SNS等でも積極的にLGBTに関する情報を発信しているので、社内での理解は少しずつ進んできているのではないかと思います。

杉山文野さんによるLGBTに関する講義の様子
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LGBT就活生から、カミングアウトのタイミングについて相談を受けることがあるのですが、御社ではどのように考えられていますか?

どのタイミングであっても問題ないです。
現在当社にはカミングアウトした当事者の社員も働いていますし、していない人もいると思います。
もちろん誰もがカミングアウトしなければいけないということではないですが、カミングアウトして働きたいけれど会社の環境に何らかの問題があってできない、という人がいないような環境にはしていきたいです。

LGBTに関する取り組みを始められて、何か変化はありましたか?

LGBT当事者の学生さんが選考に来られることが増えました。
エントリーシートにLGBT当事者であることを書かれている方もいますし、面接で話をされる方もいます。お友達が当事者だったという方や、アライとして積極的に活動をしていた、という方もいます。
まだあまりLGBTフレンドリーを公表している企業が少ないから、当社に興味を持ったという話をよくされますね。

LGBT就活生から、履歴書やエントリーシートの性別欄をどう書けばいいか悩むといった相談も受けます。御社ではどのように対応されていますか?

当社の代表である次原はもともと、性別だけでなくあらゆるバリアがない人です。
ですから当社では性別によって就けない仕事もありませんし、選考においても男女関係なく人物重視です。
だったらもうエントリーシートにも性別欄は不要なのではないか、そもそもこの二択は適切ではないのでは、という話になり、今年から新卒採用のエントリーシートには性別記入欄をなくしました。
中途採用に関してはもともと弊社指定のエントリーシートがないのですが、中途採用にエントリーいただく際にも何かしらの形で導入していけたらと考えています。

御社ではどのような想いでLGBTを含むダイバーシティを推進されているのでしょうか?

この会社を、「職場」というよりも「生活する場所」にしたいという考えがあります。
起きているうちの多くの時間を共に過ごす場所を、できるだけ気持ちよい環境にしたいんですね。
とはいえ、どんな環境であれば気持ちいいのかは人それぞれ価値観が違うので難しい部分はありますが、であれば常に「できるだけ多くの人が」気持ちよく過ごせるようにしたいと考えています。

また、ダイバーシティは企業にとって大きな強みです。
特に当社の仕事には性差がありません。採用したいと思うのは、例えば社会性が高く、かつ自分の得意分野を持っている人。オタク気質というか、興味を持ったことをとことん追求できる人が多様に集えば、会社としては大きな財産だと考えています。
例えばLGBT当事者の人であれば、経験や、考え方、人脈など、LGBT当事者だからこそ持っているものがあると思います。LGBT当事者以外にも、留学をした人、バイトや部活での経験、出産や子育てを経験した人、アーティスト活動をしている人、追っかけをしていた人、ダンスに没頭する人、介護をしている人など、人それぞれ、その人だからこそ経験してきたことがあります。
一人が全部を経験できるわけではないのですから、それぞれ違った深い経験や視点を持つ人が集まることは、まさに会社の懐の深さや幅につながります。そしてその人々が会社の掲げるミッションの元に同じ方向を向いて共に進む、そこにこそ、一人ではなくみんなで仕事をする意味があるのではないでしょうか。
それに、当社の場合はクライアント様も、ニュースを届ける先も多種多様。様々な方の気持ちがわかるということはもちろん、強みになります。
そういう意味でも多様性というのは今後ますます重要であると思っています。

社内ミーティングの様子

 

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編集部より

すべての社員が気持ちよく働ける環境を目指し、ダイバーシティを推進するサニーサイドアップさん。とにかく人物重視で採用も行ってきたいと話されていました。

「LGBTフレンドリーだから志望しました!」ではアピール不足?LGBT当事者による就活体験レポート

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LGBT当事者もしくはアライによる「セクシュアリティ」に関するレポートを紹介するシリーズ。
今回はLGBT当事者による、就活レポートです。

LGBTということを就職活動でどう扱うか

LGBTの学生は就職活動を行う上で、自分自身のセクシャリティについて考える場合が少なからずあると思います。LGBTフレンドリーを謳う企業が増えてきたといえど、まだまだ多いとは言えない今、どのように就職活動を進めていけばいいのか。私の経験を元にレポートします。

「LGBTフレンドリーだから志望する」ということ

企業を探す中で、LGBTフレンドリーを謳っているし、働きたいように働けそう、という理由で志望をすることは、多かれ少なかれあるかもしれません。
しかし気を付けてほしいのは、それだけでは志望動機として弱いということです。それはなぜか、企業側の視点から見ていきましょう。

企業の謳うLGBTフレンドリーとは?

企業の謳うLGBTフレンドリーは、「セクシュアリティを採用するかどうかに影響させない」という意味であり、「ストレートの学生よりもLGBT当事者の学生を優先して採ります」という意味では決してありません。

LGBT向けサービスの開発や販売など、LGBT当事者であることを活かせる職種を除き、多くの場合はLGBTに関する職種ではないと思います。

面接官の立場になって考えてみましょう。

Aさん
「私はLGBT当事者であり、御社はLGBTフレンドリーを謳っているので志望をしました」

Bさん
「御社の業務内容、理念に共感しました。また、私はLGBT当事者でもあるので、御社がLGBTフレンドリーであることも志望の理由ひとつです」

AさんとBさんを比較した場合、Bさんの方が会社の理解が深く、入社後のマッチングも高いと捉えられます。
LGBTフレンドリー企業は、LGBTであるかどうかに関わらず公平に選考をするというだけで、LGBTであるということが他の学生より有利に働くという訳ではありません。

うまく自己PRしていこう

志望動機の中に「LGBTフレンドリーであるから」では弱いと書いてきましたが、面接やESでは自分自身のセクシュアリティについて積極的に話していきましょう。
LGBTフレンドリーを謳う企業の面接官であれば、理解して話をきいてもらえるはずです。

LGBT当事者の方はセクシュアルマイノリティについて、深く考えた経験が多いと思います。
どんな困難や悩みがあり、それをどうやって乗り越えてきたのか、きちんと整理して話をすることができれば、あなたの個性がきっと企業側に伝わると思います。

最後に

私自身、LGBTフレンドリーという部分に注目しすぎて会社自体の理解が不充分なまま選考に進み失敗をした経験がありました。

同じく、LGBTフレンドリーという部分で志望及び入社をしたが、実際の事業内容が自分には合わなかったという理由で辞めていく当事者が多くいる、という話をとある企業の人事の方からきいたこともあります。

就職活動においてはセクシュアリティ等も含めた自己分析と、入社以後の具体的なキャリアを想像するための業界、企業分析の両方が充分でないといけません。
そのバランスがうまくとれていないと、上記の例のようなミスマッチが起こってしまうということです。


LGBTであるというのは大切な個性の一つです。就職活動を通して自身の理解をさらに深め、それを企業側にしっかりと伝えることで自分に合った企業が必ず見つかるはずです。

 

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LGBTフレンドリーな京都。同性結婚式を仏前で行える寺院も

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8月24日、京都伝統産業交流センターが京都市の伝統産業を担う若手職人が異業種の人々とLGBTについて語り合う交流企画を開催しました。

京友禅・京焼・清水焼・西陣金襴など京都を代表するさまざまな伝統産業の担い手が集まり、今後LGBTを想定した商品展開や、市場の将来性などについて話し合いました。

この交流企画にはホテルグランヴィア京都の営業推進室担当室長池内志帆氏が講師として登壇しました。
ホテルグランヴィア京都は同性婚をする同性カップル向けの結婚式プランをいち早くスタートさせたLGBTフレンドリーなホテルでもあります。

※トップの写真は春光院のWikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%A5%E5%85%89%E9%99%A2)より

LGBTフレンドリーな寺院

京都にはLGBTフレンドリーな寺院もあります。

京都・花園にある春光院では、同性カップルも仏前で結婚式を行うことができます。
春光院は、宗教やセクシュアリティに関係なくすべてのカップルの結婚式を受け入れる、同性結婚式を行うと公式に発表した日本初の寺院です。

同性カップルの結婚式の受け入れを始めた春光院副住職の川上全龍氏は、もともとLGBTに理解があるわけではなかったと言います。
しかし、アメリカへの留学中、LGBT当事者の友人ができたことがきっかけとなり、LGBTを理解するようになっていきました。

同性カップルの結婚式を始めたきっかけは、座禅指導で出会った同性カップルでした。

春光院では英語での座禅指導を行っており、そこに参加していたスペイン人の同性カップルから、結婚式をすることはできないかと相談をもちかけられました。

仏教では同性愛は禁止されていないこともあり、受け入れることを決めたということです。

日本では近代に入るまでLGBTに寛容だった

かつての日本は同性愛に寛容であり、同性愛が禁忌だとする価値観は西洋から輸入されたものであると川上氏は言います。

春光院では前述したホテルグランヴィア京都と提携したホテルでの仏前結婚式のプランも行っています。

現在は外国人の同性カップルの割合が多いそうですが、今後はより日本国内に周知し、日本人カップルも多く受け入れる体制を作っていきたいとしています。

ホテルグランヴィア京都
禅宗のお寺にて仏前結婚式同性婚
http://www.loveandtravel.co.jp/japan/hotel/8088/

京都市では、まだパートナーシップ証明の発行は行なわれていません。
しかし、京都市は差別をなくすための教育・啓蒙活動に積極的に取り組み、市民の意識の高まりに応じて導入を検討していくと回答しています!

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この記事を書いた人

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こあせんせー
早稲田大学法学部卒のストレートアライ。
時事ネタ、法律関係が得意。趣味は将棋とモノポリー。

LGBTフレンドリーな沖縄県

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LGBTフレンドリーな沖縄県

LGBTフレンドリーな取り組みを積極的に行う沖縄県。

那覇市では同性パートナーシップ登録制度が導入され、浦添市もLGBT支援宣言に向けて準備を進めています。

また、ピンクドット沖縄(「性的マイノリティの人々が生きやすい社会」を目指す人々が、ピンク色のものを身に着け集まるイベント)の開催や、同性カップルの結婚式やカップルプランでの宿泊を扱うホテルも増えています。

LGBTフレンドリーな
沖縄のホテル

LGBTフレンドリーなホテルのひとつであるカフーリゾートフチャクコンド・ホテルは、2014年10月からLGBT向けのウエディングプランを販売しています。

挙式はチャペル・ビーチサイド・室内の3つのタイプがあり、予算や人数の規模によって選択することができます。
2人だけで行う式や、ウエディング姿での写真撮影のみも受け付けているようです。

また、選択肢の広さは式の際に着るコスチュームにも適用されています。タキシードとウェディングドレスは、2人とも同じ種類のものを着ることも、別々のことを着ることも可能です。

このウエディングプランを利用したのは、2016年7月末までの1年半強の時点で既に15組。
最も遠い地域で北海道からの利用者も。全国各地から、LGBT結婚式の利用者がやってきているそうです。

さらに同ホテルは、記事冒頭でも紹介した「ピンクドット沖縄」の2016年度開催に参加。イベント内で人前結婚式のプランニングをし、参加者への周知を図りました。その後、問い合わせは増加しつつあるようです。

カフーリゾートフチャクコンド・ホテル
Let It Be
http://www.kafuu-wedding.com/lgbt/

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同性カップルも利用できる
ハネムーン向けサービス

カップルプランを同性カップルも利用できるホテルもあります。

沖縄県内で最初に「国際ゲイ&レズビアン旅行協会(IGLTA)に加盟したホテルパームロイヤルNAHAでは、ハネムーンカップルに提供している、「部屋が空いている場合、スイートルームに無料でランクアップできる」サービスを2013年から同性カップルにも適用しました。

現在はウエディング業者と提携し、LGBT用のウエディングサービスの販売に向けて動いているそうです。

また、同ホテルではホテルの入り口にレインボーフラッグを掲げるなど、目に見える形でのLGBTフレンドリーも行っています。

ホテルパームロイヤルNAHA
http://palmroyal.co.jp/appeal/

parmhotel

 

LGBTフレンドリーで
観光業も活性

沖縄県では、LGBTフレンドリーであることを観光業の活性化にもつなげたいとしています。

国内からの観光客はもちろん、LGBTフレンドリーな国である台湾などのアジア諸国からの観光客を呼び込むにも、LGBTフレンドリーであることはアピールポイントになりそうです。

沖縄での結婚式、素敵ですね~♪
LGBTフレンドリーであることは、観光地としてのアピールポイントになりますよね。
沖縄の事例が、他の地域にも広がっていくといいなと思いました!

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この記事を書いた人

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こあせんせー
早稲田大学法学部卒のストレートアライ。
時事ネタ、法律関係が得意。趣味は将棋とモノポリー。

電通本社でLGBTに焦点を充てたDiversity Week開催中

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電通報より

電通本社でDiversity Week開催中

東京・汐留にある株式会社電通の本社1階エントランスでDiversity Weekが、9月1日~9月9日まで開催中ということで、さっそく見学に行ってきました。

今回のDiversity Weekでは、LGBTに焦点を当て、「ちがうは、ちから ~違うから分かろうとする。そこに力がうまれる。~」をメインコピーにダイバーシティ社会への理解を深める狙いだそう。(電通報よりhttp://dentsu-ho.com/articles/4387

エントランスに虹色の装飾と、写真家レスリー・キー氏が撮った「OUT IN JAPAN」プロジェクトのさまざまな家族や、カップル、個人などの写真が展示されていました。

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写真家レスリー・キー氏によるプロジェクト「OUT IN JAPAN」。
東京汐留の電通本社での展示会の後は、愛知、奈良でも開催予定だそうです。

OUT IN JAPAN 全国写真展 キャラバン

第3弾:9月17日(土)~9月25日(日)
@7th cafe(愛知県名古屋市中区栄3-18-1 ナディアパーク内デザインセンタービル7階)
※主催:虹色どまんなかパレード実行委員会 ※#007 の写真を中心に約100枚

第4弾:9月17日(土)~10月2日(日)
@ホ・スセリ(奈良県奈良市東向北町6 さくらバーガー 2F)
@きずなかふぇ(奈良県奈良市東向南町6 奈良県女性センター 1F)
@ギャラリーまつもり(奈良県奈良市橋本町31 もちいどのセンター街)
@きらっ都・奈良(奈良県奈良市橋本町3-1)
@藝育(げいいく)カフェ Sankaku(奈良県奈良市下御門町28-1 2階
@ホテルサンルート・奈良(奈良県奈良市高畑町1110) ※なら国際映画祭との連携(期間内6カ所にて実施) ※#007 を除く、#001〜#009 の写真を中心に約800枚

詳しくはこちら
twitter https://twitter.com/outinjapan
Instagram https://www.instagram.com/outinjapan/
HP http://outinjapan.com/

ちがうは、ちから

今回のテーマでもある「ちがうは、ちから」。
エントランスに飾られているタペストリーのメッセージの中には、電通社内でのLGBTへの理解もまだまだこれから、といった内容も。
こうした定期的な発信が、LGBTダイバーシティを知る、考えるきっかけになりそうですね。
エントランスの見学は自由だそうです。

18卒LGBT学生の就活スタートアップイベントレポート

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18卒LGBT学生の就活スタートアップイベント開催

こんにちは!nijipi編集長のtommieです!
8月27日(土)に株式会社Nijiリクルーティングが開催した「LGBT就活応援会」に取材に行ってきましたので、レポートします!

当日のプログラムは、「就活スタートアップ講座」と「交流会」の二本立てでした。
今回のイベントに参加したのは、18卒就活生でありLGBT当事者もしくはアライのみなさん。さらに、交流会では希望の企業から内定を獲得した17卒のLGBT学生さんたちも加わりました。

「どんな企業で働きたい?」就活スタートアップ講座

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就活スタートアップ講座は、基本的な就職活動のノウハウを学ぶ内容でした。
「就活の目的は2018年4月から働く会社を探す、見つける、決めること」。そのためにやるべきことは何なのか?を講師がわかりやすく解説。
途中でテーブル毎に「今自分が考えている希望の就職先」についてディスカッションを行いました。

当日使用されたスライド
就活スタートアップ講座

LGBT学生のみなさんにとっては就職先を選ぶ上でセクシュアリティの問題も気になるところ。
今回のイベントでは参加者がLGBT当事者もしくはアライのみということで、みなさん自分のセクシュアリティのことも気兼ねなく話すことができたようです。

「大学で専攻している分野を活かしたい」
「Xジェンダーなので服装が自由な職場がいい」

「就職で東京に出たいと思ってる」

「自分はチームワークよりも一人で集中する仕事の方が向いているかも」

「ダイバーシティを推進している企業がいい」

などなど、みなさん今自分がイメージする働き方を自由に話し合っていました。

ディスカッション中の様子。
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最後に講師から、希望の就職先を探すには①自分の希望や適性を内省し、明確にすること、②どんな会社があるのかを知ること。そしてそのためには、たくさんの情報をインプットすることが大切だという話がありました。

18卒の就活では2017年3月に広報解禁すると経団連が発表しています。しかし、これはあくまで経団連が会員企業1340社に向けて通知しているにすぎません。多くの企業がすでに様々な手法で採用活動を行っており、企業と接触できる機会はたくさんあります。

「今の時期から、たくさんの情報をインプットしましょう!」講師からのそんなメッセージで講座はしめくくられました。

「就活で苦労したことは?」17卒LGBT学生に質問!

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続いて行われた交流会では、アルコールや軽食も出され、和やかな雰囲気でスタート。ここから希望の企業から内定を獲得した17卒のLGBT学生さんも加わりました。

18卒のLGBT学生さんからの質問に、17卒のLGBT学生さんが答えるという場面も。

これまでNijiリクルーティングの就活イベントに参加したり、キャリアアドバイザーに就活相談をしながら無事内定を獲得した17卒LGBT学生のみなさん。
「内定先が決まってほっとしているし、うれしい」
「自分の体験が後輩のみなさんの役に立てれば」
と話していました。

こんな質問が出ていました!

Q.今の時期から就職活動に向けてやっておいた方がいいことってありますか?
A.インターンシップの参加、SPIの勉強、業界・企業研究をしておくといいと思います。自分が就活を経験してみて、早い時期からやっておけばよかったなと思いました。

Q.就活では誰に相談しましたか?

A.就職を経験している友人にアドバイスをもらいました。友人は一度就職したのですが、再度専門学校に通っています。自分のやりたいことをどうやって見つけたのかなど、相談に乗ってもらいました。

Q.セクシュアリティはオープンにしましたか?
A.私はオープンにしました。ですが、いい反応をされない企業もあったので、失敗したなと思うこともありました。カミングアウトするかしないかは自分が必要だと感じればすればいいと思います。カミングアウトする場合は、企業の社風や社員さんの人柄などを見極めた上で、タイミングをはかって行うのがいいと思います。

LGBT学生同士で交流できて楽しかった

当日のアンケートでは、多くの参加者の方が「楽しかった」と回答。

「普段LGBT当事者と交流する機会があまりないので交流できてよかった」という方や、「同じセクシュアリティの人と話したいと思い参加した。実際に出会えて話をすることができてよかった」という方も。

最後には気の合った人同士で連絡先を交換するなど、それぞれが交流会を楽しんだ様子でした!

就活ではいろんな人に話を聞いてみるのも大切ですよね。
今回のイベントでは18卒同士はもちろん、17卒と18卒とも交流ができ、みなさん楽しそうに帰っていきました^^!

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tommie
関西外国語大学卒、LGBTアライ。
nijipi編集長。イベント&エンタメ系担当。趣味はアイドルのおっかけ。