20歳、性同一性障害と向き合っていくこと 後編

LGBT当事者もしくはアライによるレポート。今回はトランスジェンダー当事者のレポートの後編です。

前編はこちら

14d8516e407a2dc12d01750bbde25cd4_s

カミングアウトのタイミング

とても仲の良い友達には高校に入るころくらいから少しずつ伝えてはいましたが、周囲全体に隠さなくなったのは高校3年生の頃です。

カミングアウトを決意したのには、自分の中で治療のことを考え始め、性同一性障害について調べていく中で当事者の啓発活動が大切に感じる節が多々あったからです。

嫌だと思うこと、男子として扱われたいことはあったけど言わなかったことが私を苦しめていました。

でも、周囲からしたら伝えなければそんなことはわからないですよね。カミングアウトすることはとても怖かったし、勇気のいる行為でした。

幸いなのか、周囲の友達やバイト仲間に偏見や差別のある人は少なく、バイト先では通称名の使用許可していただけて、少し気持ちが軽くなりました。
両親とは、ぶつかる時期もありましたが、時間をかけてお互いの気持ちを理解し、お互いに受け入れて過ごすことができています。
なので、今現在カミングアウトをしてオープンに生きていることに後悔はしていません。

社会に求めること

20年の人生の中で、必要に思ったことはカミングアウトのしやすい環境です。自分の想いを伝えられるかどうかでその人の人生は大きく変化すると思います。

私自身、オープンにしてからはとても楽になったし、劣等感を感じなくなりました。
カミングアウト前まではなんでこんな風に生まれてきたんだとかマイナスなことばかり考えていました。
ですが、カミングアウト後からはこの障害あっての今の自分なんだと思えるようになったし、だからこそできることに取り組もうと前を向けるようになりました。

今は、ブログを通して当事者や友人に思っていることや治療内容を伝えより理解を深めてもらえるように努力しています。
この先まだまだ問題はあると思いますが、一歩ずつ着実にセクシャルマイノリティが当たり前に認められる社会になればよいと思います。

20歳、性同一性障害と向き合っていくこと 前編

LGBT当事者もしくはアライによるレポート。今回はトランスジェンダー当事者のレポートです。

14d8516e407a2dc12d01750bbde25cd4_s

私は、性同一性障害者(FTM)です。
現在は大学に通っており、バイトをしたり遊んだりごく普通の大学生活を送っています。ですがやはり常日頃から考えていること、興味のあることはジェンダー関連、特に性同一性障害の問題についてです。

私の性自認

私は物心がついたころから性別へ違和感を持っていました。

なんで自分は女の子なのだろうか、男の子として過ごすことは許されないのだろうか毎日考えていました。

女の子として過ごすことで嫌な思いをたくさんしてきました。制服のスカートや赤いランドル、女子トイレや女子更衣室の使用、男女の席順わけ、さん・ちゃんで呼ばれること、両親など周囲の人から言われる「女の子なんだから~」と女の子らしい振る舞いを求められることなど挙げたらきりがありません。

好きになるのは女の子で、男の子として好きになってほしい、男として扱われたいと日々思っていました。
思うところはたくさんありましたが、きっとおかしいことなんだ、誰かに言っていいことではないんだと何となく思っていたので、誰かにカミングアウトすることもなく、我慢の日々を繰り返していました。

性同一性障害は第二次性徴期が一番辛い

第二次性徴期は、大体10~16歳ごろ(個人差有)です。

身体の性差が表れ始め、性への関心が高まり、男女間でお互いの性を意識しだす頃になります。
そして生殖機能、つまり生理が発現する時期です。心とは裏腹にだんだんと女性的な体つきになっていくことがとてもつらかったです。
胸の発達・初潮など死にたくなるほど嫌でした。

男子とはどんどん体格差が広がり、比べてしまうことで羨ましさと屈辱感が生まれました。カミングアウトすることも出来なかったので、全て心の中に留めることでより辛かったんだろうなと今では思います。

後編へつづく

性別適合手術と仕事の並行は可能か?

LGBT当事者もしくはアライによるレポート。今回は、性別適合手術です。

b24ad6f6e521b030d26cf6bc127c9096_s

性同一性障害の人で、性別適合手術を行うことを考えている人が多くいると思います。
そのために仕事やアルバイトに励んでいる方も大勢いると思います。実際に私もその一人です。ですが、仕事をしながら治療や手術をスムーズに行えるのでしょうか。

性別適合手術とは?~行うまでの道のり~

性別の不一致、性同一性障害を抱える者に対し、当事者の心の性に合わせて外科的手法により形態を変更する内外性器に関する手術療法のことです。

戸籍上の性別を変更するためには必ず性別適合手術が必要となります。では、この性別適合手術を行うまでの流れについてご存知でしょうか?

初めに、精神科(ジェンダー科)へ受診し、精神的カウンセリングを行います。
二名の精神科医の診断の後(通常、診断が出るまで半年以上かかる)、身体検査・染色体検査・ホルモン値の検査を行い、身体的に健常であるか検査を行います。

二名の精神科医に性同一性障害であると診断を貰い、身体的に健常であると分かると、性別変更判定会議にかけられその後の治療へ進めるか医師たちによる話し合いが行われます。

許可が下り次第、ホルモン療法を始めることができます。ホルモン療法を一年以上行うと、性別適合手術を行えるようになります。(GID治療のガイドラインに基づく)

性別適合手術は、人によってどこまで手術を行うのか段階があると思います。
今回はFTMの方を参照にしていきます。FTMの方の場合、性別変更を行うために必要とされる手術は、子宮・卵巣摘出手術です。さらに乳腺摘出手術を先、または同時に行う方が多いですね。

タイと日本の費用と期間の違い

仕事をしてくる人に大きく関わっていることは休暇しなければならない期間です。正社員ともなると中々長期的に休みをもらうことは難しいですよね。

乳腺摘出と子宮・卵巣摘出手術を同時に行う場合、そして日本で行うか、手術の症例も多く性別適合手術に関して有名であるタイで行うのか2タイプの比較を行いました。

日本
約126万円
入院期間は1週間

タイ
約60万円
入院期間、その後の滞在期間を含めて2週間

日本とタイで、それぞれメリット、デメリットがあるので人それぞれ自分の生活スタイルに合わせて選択を行うのがベストです。

日本で行う場合、病院によっては一泊だけで帰宅できる病院もあります。
費用は高いですが、仕事がなかなか休めず、すぐに復帰したい方には良いのかもしれません。

タイの場合、費用は安く済みます(航空費、宿泊費別途かかります)が、一週間程度の入院+抜糸するまではタイに滞在しなければなりません。時間のある人ではないと中々難しいでしょう。

また、どちらで行うにしても術後、運動制限が一か月ほどあることも忘れてはいけません。

身体を使う仕事の場合、休暇がとれるか会社側と話し合う必要があります。会社側へカミングアウトをすることも必要になってくると思うので、慎重に考えなければいけない問題です。