「セクシュアルマイノリティの子どもの人権」講演を聞いて

LGBT当事者orアライによるレポート。今回は、こうぶんこうぞうさんによる「セクシュアルマイノリティの子どもの人権」講演を聞いてです。

こうぶんこうぞうさんとは

大阪府南市出身の美術家・画家の方で、2003年に、関西のローカル番組でトランスジェンダーであることをカミングアウトしています。

講演の内容

3兄弟の次男として生まれ、幼い頃からおままごとやお人形遊びが好きで、「自分は女の子」と信じ、ほかの男の子との違いを感じていました。
両親からは「お前は男らしくないからもっと男らしくなれ!」と言われ、小学校では「オカマ!」といじめられ、挙句の果てに担任からは「あなたが男らしくないからいじめられるのよ。」といった心無いことを言われたそうです。

思春期に入ると、髭が生えてきたり声変わりが始まったりと、自分の心と反することが身体の成長にみられるようになり、 自分が何者なのか、どうして自分がこうなのか、と追いつめた結果、自殺未遂を図りました。

奇跡的に九死に一生を得たこうぶんさんは、中学三年生になり美術教師であった担任と出会ったことをきっかけに今の美術家としての道へと歩み始めました。
苦しいときの支えは絵を描くことであったこうぶんさんは、独学で絵を学び、理不尽な世間への怒りを絵に吐き出し、25歳で初めて個展を開きました。
当時は、学童保育の指導員をしながら童画や児童心理について独学で学び、「こどもの教室」を開講し、たくさんの子どもたちに絵心を伝えていました。

現在も、独創的な子どもたちの絵を通じて、セクシュアルマイノリティや児童虐待など現代社会のさまざまな問題を世間に訴え続けています。
さらに、画家活動に加えて、性的少数者への理解を深めてもらおうと、自身の生い立ちや経験、保育現場で働いていた経験を踏まえた子どもの抱える悩みや気づきを話す講演なども行っています。

まとめ

子どもは、家族や両親、先生、友達、あらゆるところで「嫌われないように、嫌われないように」と生きようとします。

そんな中で自分の心と体の性に対する違和感を抱いたとき、周囲にそれを相談したり打ち明けたりできる環境があることが大切だと感じました。
決して否定する大人がいてはいけないと思いました。この講演を聞いて、こうぶんさんのようにカミングアウトをして生きている方もいれば、カミングアウトできずに生きている方々もたくさんいるということに改めて気付かされました。

100人いたら100通りの悩みがあり、一概にこうしようとは言えません。

しかし大切なことは、性別がどうこう以前に、みんな同じ命なのだから、目の前の人に対して1人の人間として心を通わすことだと思いました。
その人をありのままに受け入れようと思うほんの少しの心遣いと優しさを忘れてはいけないと思いました。