性自認に関するぼんやりとした怯え

LGBT当事者もしくはアライによるレポート。今回は性自認についてです。

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私の身体的性別は女だし、性自認としても女だと思う。
しかし、自分が本当にこの性別なのか不安になることがしばしばある。

私の名前は男女どっちにもありそうなもので、名前だけを見た人から男だと思われていたこともたくさんある。
それが嫌だと思ったことはない。むしろ、しっくりくる。

でも考えてみれば、名前に性別が表れるってすごく不思議だ。

似た話題で、一人称が男女で分けられているのもよく分からなかった。

公的な場面では男女共通で「私」と言えばいい。
しかし、私的な場面では「あたし」が女性で、「俺」や「僕」が男性の一人称として認識されている。
私は「俺」を使っては、よく周りから「女の子でしょ」と訂正されていた。そのことに、違和感しかなかった。

きっと私は、自分の性別というものをよく理解できていないのだと思う。
女性なので女子トイレに入ることが習慣となっているけれど、入るたびに間違っていないか不安になり、周りの人々が何も言ってこないのだから合っているのだろうと無理やり納得する。
「女の子」と呼ばれることに違和感がある。

大学に入ってから、いわゆるセクシュアルマイノリティの人と何人か知りあう機会を得た。

今までの生活から、何か漠然とした恐怖のようなものを植え付けられていたのだけれど、喋ってみたらなんてことはない。他の人と変わらなかった。
今まで何を不安に思っていたのか恥ずかしくなったし、申し訳なくなった。

そして、そうした当事者や理解者たちと接していくうちに、自分の感覚も別におかしなものではないのだという自信が生まれた。

思うに、彼らと私たちの間に変わったところはない。
ただ、多数派に属する人たちの多くが見慣れない性質に ぼんやりとした怯えを抱いているだけだ。

そういう性質を持つ人がいることは至って普通のことなのだという見方が広まって、怯えや不安がなくなって、みんなが落ち着いて暮らせるようになればいいと思う次第である。

性別適合手術と仕事の並行は可能か?

LGBT当事者もしくはアライによるレポート。今回は、性別適合手術です。

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性同一性障害の人で、性別適合手術を行うことを考えている人が多くいると思います。
そのために仕事やアルバイトに励んでいる方も大勢いると思います。実際に私もその一人です。ですが、仕事をしながら治療や手術をスムーズに行えるのでしょうか。

性別適合手術とは?~行うまでの道のり~

性別の不一致、性同一性障害を抱える者に対し、当事者の心の性に合わせて外科的手法により形態を変更する内外性器に関する手術療法のことです。

戸籍上の性別を変更するためには必ず性別適合手術が必要となります。では、この性別適合手術を行うまでの流れについてご存知でしょうか?

初めに、精神科(ジェンダー科)へ受診し、精神的カウンセリングを行います。
二名の精神科医の診断の後(通常、診断が出るまで半年以上かかる)、身体検査・染色体検査・ホルモン値の検査を行い、身体的に健常であるか検査を行います。

二名の精神科医に性同一性障害であると診断を貰い、身体的に健常であると分かると、性別変更判定会議にかけられその後の治療へ進めるか医師たちによる話し合いが行われます。

許可が下り次第、ホルモン療法を始めることができます。ホルモン療法を一年以上行うと、性別適合手術を行えるようになります。(GID治療のガイドラインに基づく)

性別適合手術は、人によってどこまで手術を行うのか段階があると思います。
今回はFTMの方を参照にしていきます。FTMの方の場合、性別変更を行うために必要とされる手術は、子宮・卵巣摘出手術です。さらに乳腺摘出手術を先、または同時に行う方が多いですね。

タイと日本の費用と期間の違い

仕事をしてくる人に大きく関わっていることは休暇しなければならない期間です。正社員ともなると中々長期的に休みをもらうことは難しいですよね。

乳腺摘出と子宮・卵巣摘出手術を同時に行う場合、そして日本で行うか、手術の症例も多く性別適合手術に関して有名であるタイで行うのか2タイプの比較を行いました。

日本
約126万円
入院期間は1週間

タイ
約60万円
入院期間、その後の滞在期間を含めて2週間

日本とタイで、それぞれメリット、デメリットがあるので人それぞれ自分の生活スタイルに合わせて選択を行うのがベストです。

日本で行う場合、病院によっては一泊だけで帰宅できる病院もあります。
費用は高いですが、仕事がなかなか休めず、すぐに復帰したい方には良いのかもしれません。

タイの場合、費用は安く済みます(航空費、宿泊費別途かかります)が、一週間程度の入院+抜糸するまではタイに滞在しなければなりません。時間のある人ではないと中々難しいでしょう。

また、どちらで行うにしても術後、運動制限が一か月ほどあることも忘れてはいけません。

身体を使う仕事の場合、休暇がとれるか会社側と話し合う必要があります。会社側へカミングアウトをすることも必要になってくると思うので、慎重に考えなければいけない問題です。

性別に違和感を覚えたのは小学校高学年の頃だった。

LGBT当事者もしくはアライによるレポートシリーズ。今回は性同一性障害についてです。

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私が性別に違和感を覚えたのは小学校高学年の頃でした。
といっても、幼少期からずっと何の戸惑いもなく自分は男であると思って過ごしてきたのですが、そういった意味では女の子として振る舞った時期というのは無かったと思います。

服装も、遊びも言葉遣いも全てが男でした。海で遊ぶ時も、BBQなどで花火をする時にも上半身は裸で過ごしていました。
まだ幼かったからか、周りの大人たちも何も言わなかった記憶があります。

しかし、成長するにつれて段々と「スカートを穿いたら?」「髪を伸ばしてみたら?」などと、友達や先生から言われ始め、身体的にも女性としての特徴が出始めた頃、自分はみんなと違うのかもしれない。と思うようになっていきました。

そして自分が女性であると決定的に気づかされたのは、初潮を迎えた事が大きなきっかけでした。

初めは何が起こっているのか意味が分からず、何かの病気ではないか、ケガをしてしまったのかと戸惑いながら、母親に相談するとそれが女性に起こる生理であることを説明され、頭がパニックになったのを覚えています。

そうしているうちに中学校入学を迎え、制服という男女の違い、男らしさ女らしさという周りの大人たちの教育に物凄く嫌悪感を抱くようになっていったのです。

そして周囲の友達が恋愛の話をしている中、自分自身の恋愛の対象が女性である事を心に秘め、やはり自分は頭が変なのか、病気なのか、なぜみんなと違う感覚であるのかということに日々葛藤していました。

高校はブレザーの制服で、女子のズボン着用が認められており、服装での精神的苦痛からは逃れることができましたが、未だ自分の性別について何がどうなっているのか分からずにいました。

ちょうどその時期にテレビで目にした「性同一性障害」という人々の映像を観て、全てが自分自身の事の様に当てはまり、ネットで詳しく調べ始めたのです。

初めは“障害”という文字に戸惑いましたが、それが悪い事ではないという事や同じ苦しみを持つ人々がいるという現実を知り、とても心が楽になったのを覚えています。

しかしながら周りの大人たちをはじめ、親や友達にはそのことを打ち明ける事は出来ませんでした。
高校を卒業後、就職し実家を出ることになった時、初めて母親に自分の悩みを打ち明けました。勘当されはしなかったものの、母親が泣いている姿を見たとき改めてショックを受けました。

それから成人し、精神科医2名の診断を経て正式に「性同一性障害」という診断名がついたのでした。

「バイセクシャルとは?」LGBT当事者レポートより

LGBT当事者もしくはアライによるレポートシリーズ。今回は、バイセクシュアルについてです。

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私は、自分はバイセクシャルなのではないかと思っています。それを意識し始めたのは大学に入ってからです。しかし、振り返ってみるともしかすると物心ついた頃から、男性も女性も好きになっていたように思います。

私は自分がバイセクシャルだと気づいてから、LGBTのオフ会やイベントに行くようになりました。そこでは当事者や理解者、様々な人の体験談を聞くことができました。

私は大学3年生の初夏に年下の女性とお付き合いしていました。約1か月で別れてしまいましたが、その方ももしかして同性が好きなのかもしれないと思っていたそうです。

その後も私はセクシュアルマイノリティ人たちと会って話をすることを続けていました。その中で、私はレズビアンであることを公言する女性と出会いました。

彼女は作詞作曲をしており、時々学外でライブをしています。さらに、LGBT向けのブランドも立ち上げており、ライブグッズとしても売っていきたいと考えています。

そんな彼女から、私は一緒にLGBTを知ってもらう活動をしないかと誘われました。私自身も当事者として、今の日本ではLGBTに対する理解が遅れていると感じています。
私にできることがあるなら是非やってみたいと思い、彼女と一緒に活動することを決意しました。

主な活動内容はライブ活動で、LGBTをテーマにした曲をライブハウスやイベント会場で披露しています。現在のメンバーは私を含め3名。結成してまだ間もないですが、ライブ活動を通じてより多くのLGBT当事者・理解者、LGBTを知らない人にもメッセージを伝えていきたいと考えています。

「LGBTは自分には関係ない」という人

LGBT当事者もしくはアライによるレポート。本日はLGBT非当事者にLGBTについて話すときについてのレポートです。

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自分自身がLGBTに関することをしていくうちに、周りの知り合いに「LGBTに関する仕事や活動をしている」と伝える機会も増えました。
その際に、「面白い」「素晴らしい」など言ってもらえることも多いのですが、そういってもらえる反面、「自分には分からない、関係のない分野だ」という態度を示されることがあります。
しかし、LGBTについて知っておくことは、全ての人に必要なことだと思います。なぜなら全ての人に関係のあることであるからです。

「私には関係ない」という人

まず、なぜ「関係ない」と思ってしまうのか。理由を聞くと、大方以下の答えが返ってきます。

「今までそういう人(LGBT)に会ったことがないから」

しかし、日本におけるLGBTの割合は2015年の調査の段階で7.6%、約13人に1人の割合で存在しています。

日本で多い苗字ベスト6の佐藤、鈴木、高橋、田中、伊藤、渡辺を合計しても全人口の7%程度だそうです。そう考えると「LGBTの人と会ったことがない」のはこれらの苗字の方と会ったことがない、ということよりも確率が低いことになりますね。

私は今まで会ったことがない、私の周りにはいないから、といった返答をされたときは必ず「いないのではなくて、いるけど気づいていないだけ」と答えています。

私は当事者であることを全員にオープンにしているわけではないので、「あなたの目の前にいるよ!今会っているよ!」なんて思いながらこのような会話をしていることもあります(笑)。

学校で、「人種差別や障がい者差別をしてはいけません」「お年寄りは大切にしましょうね」と習うので、それに気を付けている人は多いと思います。

しかしLGBTは目に見えることが多くないため、知らぬ間に傷つけてしまっている危険性があります。だからこそ尚更、LGBTについて知って配慮をしていくことが大切になります。

どうやって知ればいいのか

周りにいるかもしれないのは分かっても、どこにいるかも分からないし、自分には知識も何もない…という人も多いと思います。
最初は何も知らなくて当たり前です。今はネットで調べると多くのLGBT関連のサイトも出てきますし、近年LGBTとは何かを基礎から説明するような本も増えてきています。

当事者と実際に接することは、理解するうえで一番有益だと思います。文字で「同性愛者はこういった人である」といくら読んでも、完全な理解はできません。

また、多くの当事者と接するうちに、LGBTだから何か特別であるわけではない、一人ひとり個性を持っている普通の人間である、と感じることができるでしょう。
今はストレートの人も参加可能なLGBTに関する交流会などを開いている団体も増えてきているので、実際に知り合うことはずっと簡単になりました。

まとめ

LGBTの方の多くが抱える悩みとして、「本当の自分を隠して周りと接するのが辛い」があります。仲のいい友達に自分のことをすべて打ち明けたいというのは誰でも同じですよね。

関係ないと思っていたストレートの方がアライ(LGBTの理解者、支援者)になることでその周りの当事者がカムアウトして楽になれる、より深い関係になれるかもしれません。

実際に私もLGBTについて知ったことで仲良くなれた友達が多くいます。
全員が自分に関係のあること、という意識で社会全体のLGBT理解を深めていけるのが理想ですね。