LGBTは性自認のトイレを使ってもよい?

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トランスジェンダーなどのLGBT学生は、体の性、心の性、どちらのトイレを使用するべきか?

アメリカでは今、これについての論争が起こっています。
(アメリカで物議を醸す「トイレ法案」とは?https://nijipi.lgbt/life/844

LGBTは性自認のトイレを
使ってもよいか

アメリカでのトイレを巡る論争、これまでの流れは以下の通りです。

2016年2月
ノースカロライナ州のシャーロット市が、「LGBT学生が性自認のトイレを使ってよい」とする条例を可決

2016年3月
ノースカロライナ州が、シャーロット市の条例を「無効」とするための州法を可決

2016年5月
オバマ政権がノースカロライナ州の州法は「違憲である」として同州を提訴
連邦の性差別に関連する法律を市民権の問題として引用し、学校はトランスジェンダーの学生が自身の性自認と一致するトイレの使用や、学校設備の使用を許可しなければならないとしました。
この決定は「タイトル9」と呼ばれています。

こうして、トランスジェンダーなどのLGBT当事者が性自認のトイレを使ってもよいかどうかについての論争が繰り広げられてきました。

テキサス州はオバマ政権に反対

オバマ政権の「タイトル9」に反対するのは現在13州。そのうちのひとつであるテキサス州は、「タイトル9」を不服とする訴えを起こし、8月21日に「タイトル9」の法的効力を強制的に停止しました。

つまり、テキサス州はトランスジェンダーなどのLGBT当事者が性自認のトイレを使ってはいけないとしているのです。

LGBTのトイレ使用にまつわる論点

LGBT当事者のトイレ問題では、以下のような論点で争われています。

・LGBT当事者が性自認のトイレを使えないとするのは、差別ではないか

・どちらのトイレを使うか自由に選べるようになることが、犯罪につながるのではないか
(=性的嗜好の目的で使用する人が現れるのでは?など)

・オバマ政権の「タイトル9」は正当な手続きを踏まえた決定ではない。権限を越えての規制ではないか

テキサス州の決定には賛否両論

テキサス州の決定に対しは様々な意見が出ています。

賛成派

ACLU(アメリカ市民自由連盟)
この不幸で時期尚早な判決は単にトランスジェンダーの学生を混乱をさせるだけでなく、トランスジェンダーを支援している学校や学区を混乱させうるものです。

トランスジェンダー平等の為の公立センター ハーパージャン政策担当官
「生徒、親、そして関連コミュニティはまだ権利を訴え続けることができます。そして私達は差別を続ける学校を訴えることを期待しています。そして私達はほとんどの学校が差別のない、正しい選択をすると期待しています」

反対派

アラバマ州司法長官のルーサーストレンジ
アラバマ州のトイレ政策を「ワシントンの社会実験」から阻止するために訴訟に参加していたと述べました。ストレンジは判決を「すべてのアラバマ州の親と子供のための勝利」と呼びました。

ジェームズ・ランクフォード上院議員
テキサスの判決は有効だとする見解を述べた。「私達が繰り返し述べているように、オバマ政権によるトイレと更衣室に関する指示は、大統領が移民や、環境規制などほかの問題に取り組んでいる時と同じように、新しい規制を作る際の正当な手続きを踏んでいない」「どこの学校もいじめや差別があってほしいとは思っていないが、教育省は国家教育委員会として、すべての学区に対して解決策を課す権限はもっていないと考えています」

 

アメリカのトイレ問題の続報です。
アメリカは「州」の権限が大きいです。そのためテキサス州の決定は、アメリカ全土に大きな影響を及ぼしています。
LGBTのトイレ使用を巡る議論の論点には、問題の本質とは異なることも含まれており、議論が長引いています。
よりよい方向へと動いていくことを期待しています!

koasenseこあせんせー

 

この記事を書いた人

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こあせんせー
早稲田大学法学部卒のストレートアライ。
時事ネタ、法律関係が得意。趣味は将棋とモノポリー。

ノージェンダーコスメ「SIX」が、店頭販売へ

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http://www.sixtokyo.com/より

8月24日、伊勢丹新宿本店メンズ館に新たな商品が登場しました。モノトーンのシックなパッケージが特徴のその商品は、「SIX」と呼ばれるシリーズ化粧品。LGBTメディア「GENXY」が企画開発した、ノージェンダーコスメです。

ノージェンダーとは主にファッション業界で使われる言葉で、「男女の性差を感じさせない」こと。男女両方の性に向けたユニセックスとは違い、最初から性差を意識していないことを指します。
ノージェンダーは、LGBT当事者であるなしに関わらず、ここ最近若者を中心にトレンドともなっています。

そんな中、今年の3月に登場したのが、ノージェンダーコスメ「SIX」です。
もともと、「男性向けの商品は清涼感が強すぎる、もっと刺激のない化粧品を使いたい」や「女性に限定された可愛らしいものではなく、セクシュアリティを感じさせない商品を使いたい」といった要望は多く、その要望が寄せられたLGBTメディア「GENXY」が企画開発しました。

「SIX」と名前を付けられたそのシリーズ、当初はインターネット上での販売でした。しかし口コミで話題となり、8月24日より新宿伊勢丹での店頭販売が開始しました。

現在のラインナップは、美容水(化粧水と美容液をミックスしたもの)と、洗顔フォーム。どちらもすべて国内産の材料で作られた、高級感のある仕上がりになっています。

かつては女性のものというイメージがあったスキンケアや化粧。しかし現在では体の性に関係なく、多くの人が取り入れています。LGBT当事者だけでなく、自分の好きなようにファッションを楽しみたい、自分を表現したいという需要が増えてきているのです。
ノージェンダーコスメは今後も、需要は高まっていくのではないでしょうか。

私は正しくフェミニストだったのか

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LGBT当事者もしくはアライによる「セクシュアリティ」に関するレポートを紹介するシリーズ。
今回はバイセクシュアルであることを自認している方のレポートを紹介します。

私は正しくフェミニストだったのか

私はフェミニストである。
つい数年前まで、私は度々そう自称していた。
ここで言う「フェミニスト」とは近現代で使われるようになった「女権拡張主義者」の意味ではない。本来の意味である「女性を特に尊重する、女性を大切にする」という意味で用いる単語である。

自分がフェミニストであると自覚したのは小学校高学年のときだった。
女の子に優しくしたい、守ってあげたいと思う気持ちが他人よりも強いらしいということに気付いた。そして、そのような人をフェミニストと呼ぶことを知った。

また、中学生になる頃には、どうやら自分はバイセクシュアルな部分があり、恋愛対象として女性にフェミニズム思想を持っているのではないかと考えるようになった。
フェミニストを自称するようになったのは、その頃である。

しかし、現在の私はフェミニストであると自称していない。
自称することを辞めた理由は一つ、高校の同級生に言われた言葉に引っかかってしまったからだ。

同級生の彼は言った。
「女なのにフェミニストなの?それって自分も特別大事ってこと?どっちかっていうとナルシストなんじゃない?」

私はその瞬間、二つのことに気付いた。
まず、私は自分をフェミニズムの対象にはしていないこと。
そして私が「女の子だから」という扱いを受けることをとても不快に思うこと。

私はバイセクシャルだが、性自認は間違いなく女である。
スカートに抵抗もないし、小物はピンクを好む。女性に恋をするのも、女の自分としてだ。

フェミニストの私は大切にしたいが、優しくすべき対象の女性に自分は入っていない。
自分自身が女性として丁重に扱われることは拒否してしまう。

この感情は一体どこから来るものなのだろうか。
自分が気づいていないだけで、実はトランスジェンダーなのか。もしくは私の中には男性と女性、二人分の「私」がいるのだろうか。

この問いの答えを、私は未だに持ち合わせていない。同級生の彼に、どのような返事をしたのかも覚えていない。きっと、大したことは答えられなかったのだろう。
だから私は今日も、自分が「正しく」フェミニストであったのかを考えている。