LGBTフレンドリー企業の探し方、4つのポイント

LGBT当事者もしくはアライによるレポートシリーズ。今回はLGBTフレンドリー企業の選び方についてです。

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今、日本ではLGBTの方々が就職の際にさまざまな困難を抱えています。そういった方々への対応を進めている「LGBTフレンドリー企業」という会社がいくつも存在します。

当事者が働きやすいような企業に就職するには、こういった企業に就職する方がいいと思います。しかし、どうやって選べばいいのか分からない人がたくさんいると思います。

そもそもLGBTフレンドリー企業はどのような企業でしょうか?

1.社内のLGBT 対応
社内でLGBTが働きやすい社内にするために、何か具体的な対策を行っている企業。
例えば、トランスジェンダーの方のために男女別でなく誰でも使えるトイレを設置しているなど。

2.LGBTコミュニティの支援
パレードや映画祭などLGBT関連イベントの協賛、LGBTサポートの対外的な表明がなされている企業。

などです。

LGBTフレンドリーな企業の探し方

1.LGBT就活フレンドリー宣言に賛同している企業を確認する

https://nijipi.lgbt/lgbtfriendlybeta
多様性を尊重し、セクシュアリティを理由に採用において差別しないことを宣言している企業です。

2.東洋経済の『CSR企業総覧』でLGBT対応企業リストを確認

年々LGBTの取り組みを行う企業数が増加しており、以下の社名リストは大手企業がLGBT対応をしているか知りたいときのガイドラインとして有効です。
http://www.toyokeizai.net/csr/ranking/2016/20160104Data.html

3.履歴書やESなどの「性別欄」を確認

最近では履歴書やESの性別欄をなくす、「その他」という選択肢を設けるといった企業も増えているので、チェックしておくといいと思います。

4.パレードや映画祭などLGBT関連イベントの協賛企業を確認

LGBTコミュニティ支援がわかりやすい形で見えるのが、全国各地で開催されているLGBT関連イベントへの協賛企業表示です。協賛企業表示を普段から確認しておくと良いかもしれません。

まとめ

自分のセクシュアリティを理由に、就職を諦めるのではなく、自分に合った企業を探し求めてみると働きやすい環境が見つかるのでは、と思います。

そのためにも、まずはLGBTフレンドリー企業を知ることが大切です。
企業によって取り組む内容や状況は異なるので、実際にLGBTフレンドリー企業に就職した方や、企業の説明会に行って社員の話を聞くなどをしてみるといいアドバイスがもらえるのではないのでしょうか。

以前に比べてもLGBTに対して配慮をしたり、理解を深めようとしている企業はたくさんあります。その中で、自分の個性や才能・能力などを、存分に発揮できるような会社に皆さんが入社できるといいですね。

LGBTのシンボル「レインボーフラッグ」が6色になった理由

LGBT当事者もしくはアライによるレポートシリーズ。今回は「レインボーフラッグ」についてです。

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毎年代々木公園で開催されるTokyo Rainbow Prideでも見られるように、今やLGBTのシンボルとしてレインボーフラッグは一般的に認知されるようになっています。しかしこれがLGBTのシンボルとして認識されるまでには歴史がありました。

何色の虹が正しいの?

日本では虹色は一般的に7色とされています。
しかし元々のレインボーフラッグは赤、橙、 黄、 緑、 ターコイズ、藍、紫の8色で、現在ではそこからターコイズ、ピンクを除いた6色が正式なようです。

初のレインボーフラッグ

LGBTのアイコンとして初めて用いられたレインボーフラッグは1970年代のアメリカ、サンフランシスコであるといわれています。
芸術家であるギルバート・ベイカーがゲイパレード用にデザインしたものでしたが、当時は8色でした。しかし旗を大量に生産する際の調達の関係で、現在の6色になったといわれています。

当時はゲイつまり男性同性愛者の権利擁護の目的として使われました。レインボーフラッグが用いられた歴史が50年ほどあるというのは私も少し驚きました。

今のレインボーフラッグが持つ意味

上記に述べたように当初はゲイに関してのみでしたが、現在では広くLGBTを象徴するものとして使われていますよね。
現在では「虹のように一人ひとりのセクシュアリティはグラデーション、みんな違ってみんな素敵である」というような解釈がされているように私は感じます。LGBTと4文字で一般的には表されるセクシュアル・マイノリティですが、実際にはその中、それ以外にもたくさんのセクシュアリティがあって、人それぞれ異なっていますよね。

その他のLGBTを象徴するマーク

レインボーフラッグは現在LGBTの象徴として浸透してきていますが、以前にも特定のLGBTを表すものは存在していました。
中でもナチ時代に男性同性愛者に装着が義務付けられていたピンクトライアングル(逆三角形)は有名かもしれません。
ちなみに女性同性愛者はブラックトライアングルを装着させられていました。これらは強制収容をされた際に装着を義務付けられた背景があるためか、レインボーフラッグとは違い現在では当事者自身が掲げるのはあまり目にしません。

最後に

目に見える形で象徴を掲げるのは、何か運動をする際にわかりやすいですよね。冒頭でも述べた代々木公園のTokyo Rainbow Prideでは公園全体が虹色に染まります。この虹色が年々大きくなっていっているように感じて私たちはうれしいです。

LGBT当事者が暮らしやすい国とは?

LGBT当事者もしくはアライによるレポートシリーズ。今回はLGBT当事者が暮らしやすいとされるカナダについてです。

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LGBTフレンドリーな国、カナダ

カナダの北東部に位置するオンタリオ州は、カナダ全州が同性愛を合法とする2005年よりさらに2年前、2003年にはすでに同性愛を認めていたLGBTフレンドリー地域です。
そのオンタリオ州の中にあるトロントで行われる「プライドパレード」に今大きな注目が集まっています。

トロントでは、トロントプライドパレードに向かう1ヶ月間を“Pride Tronto”月間としています。その期間にはLGBT著名人のスピーチや、LGBT関連映画の上映会、バーでのイベントなどが行われ、人々の交流の場となります。
パレードが行われる当日には道路は人でごった返し、さまざまな人種、職業、セクシャリティの人がみんなでフロートを掲げてゴールまで町を練り歩きました。

このような大規模なLGBTイベントの存在は、街の雰囲気をそのまま表しています。人々の偏見が少ないからこそこれらのイベントが成立し、イベントが行われることで住民の理解が深まるという相乗効果をもたらしているのです。

カナダは同性カップルも暮らしやすい

カナダには「コモンロー」というカップルが存在します。

事実婚に近い関係で、婚姻関係はないものの、夫婦同然に暮らすカップルのことです。
同性間、異性間に関わらず、一緒に1年以上暮らしていることでコモンローカップルとして申請することができます。

また、カナダは移民の国と呼ばれる程、多様性のある国です。
セクシュアリティも含めて多様性を受け入れる風土があることや、コモンローカップルなど、様々な面でLGBT当事者が暮らしやすい国と言われています。

LGBTへのセクシャルハラスメント

LGBT当事者もくしは、アライによるレポートシリーズ。今回はLGBTへのセクシャルハラスメントです。

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2016年の5月に、厚生労働省は男女雇用機会均等法において「性的少数者(LGBT)への差別的発言」がセクシャルハラスメントに該当することを明文化する方針を発表しました。

元々、LGBTへの差別的発言はセクシャルハラスメントであるという方針は存在しました。しかし、法律として文書化されていないことで、訴え出ることができずに泣き寝入りを余儀なくされるケースが多かったのです。
それを今回はっきりと法律として明記することで、LGBTへのセクハラを根絶していこうという取り組みとしました。施行は、来年の1月とされています。

どのようなことがセクハラに当たるのか

職場で起こるLGBTへのセクハラには、以下のようなものが挙げられます。

・「あいつはホモだ」「オカマだ」などと陰で言われている。
・身体の性別と、口調や仕草の性別が合っていないことを執拗に注意される。
・カミングアウトした後、周囲の態度がよそよそしくなったり、嫌がらせをされるようになったりした。
・性別適合手術を受け、今後も働き続けたいと会社に打診したところ、拒否される。
・性自認のトイレや、更衣室の使用を拒否される。

まとめ

LGBTへのセクハラは、LGBTについての理解不足によって起こっていることも少なくありません。
職場でのセクハラをなくすためには、社内の理解が必要になってきます。

また、セクハラはあくまで「された本人が不快に感じる」ことです。

「これくらいで騒いではいけないのではないか」と考え、誰にも悩みを打ち明けられないという方も多くいらっしゃるのでしゃないでしょうか。
セクシュアリティに関わるハラスメントの場合、社内の人に相談しにくいということもあるはずです。
その場合は、外部の相談窓口や法テラスを利用するのもひとつの手段だと思います。

ジェンダーレスな服が買えるショップ

LGBT当事者もしくは、アライによるレポートシリーズ。今回はジェンダーレスな服が買えるショップの紹介です。

LGBT当事者の中でも悩んでいる方が特に多いのが服装の問題。今回はそんな悩みを解決するオンラインショップを紹介します。

MALE FE MALE

http://www.malefemale.jp/
LGBT、ジェンダーレス、アンドロジナスのためのオンラインショップで、今年オープンしました。
カテゴリーをレディース、メンズで分けず、サイズ表記も独自のものを用いて男女の区別をなくしています。

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MALE FE MALE という名前は、Male(メール)男性 とFemale(フィメール)女性 を組み合わせ、Female のFe を中央に配置することで性差がなくなるという意味を込めました。「男女の性差がない世界へ」という願いを込めて創った造語です。
(中略)
MALE FE MALE は自分らしさを隠さずに表現できる、本来の自分に出会える空間になることを目指しています。

株式会社リブリッチ プレスリリースより
http://pressrelease-zero.jp/archives/100191

ACROSS THE VINTAGE

http://acrossthevintage.jp/
メンズ、レディース、キッズに捉われないサイズ展開をしています。
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ZARA

http://www.zara.com/jp/
ファストブランドZARAも、ジェンダーレスライン「ungenderd」を展開しています。
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LGBTが直面する服装の問題

服装に関して悩みを持っていることが多いのがLGBTの中でもT、トランスジェンダーの方です。性別適合手術を完了したトランスの方でも、身長や肩幅などの問題で着たい服が着られないことがまだまだあります。

就職活動で悩むことが多いのがスーツの問題。
ネクタイをしてパンツに革靴である男性用スーツと、基本的にはスカートでパンプス、ネクタイはしない女性用スーツ。私服以上に男女が明確に分かれているように感じます。服装以外でも髪型やメイク、バッグなど、就活生が避けて通れないことはたくさんありますよね。

私自身は、男女問わず気に入った服を着ていますが、やはり異性のショップに一人で入る勇気はなかなかありません。
特にアクセサリーや小物を見ていると、「彼女さんへのプレゼントですか?」なんてきかれることもめずらしくありません。
食品や書籍など男女共通して購入するものに比べ、ジェンダーを強くあてはめられてしまうのが衣服ではないでしょうか。

今後服装問題はどうなっていくか

最近では芸能人でもメンズ、レディースにこだわらずに服を選んでいる人が増えているように感じます。異性の服を着こなすことがある意味おしゃれと捉えられていますよね。

一点異性のアイテムを取り入れるおしゃれも素敵だと思いますが、男女区別なく気に入った服を選ぶことができるのが理想です。
需要の増加とともに、このようなショップは今後増えていくのではないでしょうか。

マイリー・サイラスがパンセクシュアルであることをカミングアウト

LGBT当事者、アライによるレポートシリーズ。今回は人気歌手のカミングアウトについてです。

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参照http://aleexart.deviantart.com/art/Miley-Cyrus-mileycyrus-com-396501353

2015年に、人気歌手のマイリー・サイラスさんは自分が「パンセクシュアル」だと公表しました。

パンセクシュアルとは全性愛を意味します。男性・女性の性の分類に適合しない人々も含め、あらゆる人々に恋をしたり、性的願望を抱いたりする人を指します。また、パンセクシュアルの「パン」とは、ギリシア語に由来し、「全て」を意味します。

サイラスはVariety誌の最新インタビューで、自分のジェンダーについてさらに詳しく語りました。

サイラスは、自分自身の性について意識するようになったのは5年生か6年生くらいの時で、最初の恋人は女の子だったと明らかにしました。男の子か女の子、どちらかの性になりたいと考えたことはなかったといいます。

また、自分をパンセクシュアルだと感じるようになったのはいつか、というサイラスは質問にこう答えています。

「ロサンゼルスにあるLGBTQセンターに行って、色んな人の話を聞いた時、ある人が『自分を男性でもないし女性でもない』と言っていました。

センターで会った人たちは、美しく、セクシーでたくましかった。だけど脆くもあり、女性らしく男性らしくもあった。そして私は『自分を男性でもないし女性でもない』と言った人に、これまで出会った誰より、自分と同じものを感じました。

私は人と違って見えるかもしれない。
だけど私を『ジェンダーニュートラル(性的な区別がない)』と見る人はあまりいないんじゃないかな。それでも私は、自分がとてもジェンダーニュートラルだと感じています。

多分、その人は私が初めてあったジェンダーニュートラルな人だと思います。
私は男性でも女性でもないということがわかって、自分の性をもっと理解するようになりました。
『だから、自分がストレートでも同性愛でもないと感じていたのね。だってそうじゃないから』って」

サイラスは「LGBTQ」という言葉はこれからも使われ続けるだろうが、そこにパンセクシュアルのPも加えるべきだ、という考えを伝えました。

まとめ

彼女のカミングアウトにより、勇気づけられた人はきっと多くいると思いました。
このように芸能人が公に自分のセクシュアリティを明かすと、かなり大きな影響力を及ぼすと思います。自分がセクシュアルマイノリティであることを、隠さずにポジティブに捉えているサイラスに感動しました。誰もが自分がどのようなセクシュアリティであっても前向きに生きられると良いですね。

参照
http://www.huffingtonpost.jp/2016/10/13/miley-cyrus-opens-up-pansexual-gender-neutral_n_12481506.html?utm_hp_ref=japan-lgbt

「LGBTが就活・転職で困る10のこと」イベントレポート!

10月28日に、株式会社LGBT総合研究所さん主催のLGBT関連イベントが開催されましたので、取材に伺いました!

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【開催概要】
開催日 2016年10月28日(金)
日時 19:00 〜 20:30
主催 株式会社LGBT総合研究所
協力 ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン株式会社
場所 トムソン・ロイター会議室(〒107-6330 東京都港区赤坂 5-3-1 赤坂 Biz タワー30階
http://www.huffingtonpost.jp/2016/10/11/lgbt-work-event_n_12436390.html
プログラム
●LGBTの基礎知識
LGBT総合研究所社長の森永貴彦さんより

●基調講演
JPモルガン証券株式会社人事部ヴァイスプレジデントの藤谷ひとみさんより

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●グループディスカッション
ハフィントンポスト日本版編集長の竹下隆一郎さんがモデレータとなって、「LGBTの人たちが就活・転職で困る10のこと」についてのディスカッションが行われました。

 

イベント中、特に盛り上がっていたのが、グループ毎のディスカッションです。
参加者をグループにわけ、「LGBTの人たちが就活・転職で困る10のこと」をテーマに、自分たちが企業のダイバーシティ推進担当だと仮定し、解決策を考えるワークが行われました。

各グループの参加者は、企業でダイバーシティ推進を担当する方、一般参加のLGBT当事者の方、アライの方など様々で、一般参加の方の中には学生さんの姿も。

それでは各グループのテーマと解決策案をピックアップしてご紹介します。
みなさんも、自分が企業のダイバーシティ推進担当だったらどうするかな?と考えながら読んでみてくださいね!

 

面接に心の性に合わせたリクルート姿で行っていいの?

・採用情報サイトに、「服装自由」もしくは「自分らしく働いている姿で来てください」と明記する
・どんな服装がOKなのかわかるように、社員の服装の写真を採用情報サイトに掲載する

「服装自由と書いてあるのに、行ってみたらスーツばかりだったということがあった。採用情報サイトに写真があれば目安になると思う」という意見を出していたのは、就活を経験した大学生の方でした。
確かに、服装自由と書かれていても不安なので、スーツで行くという学生さんは多いですよね。サンプル写真の掲載はいいアイデアだなと思いました!

セクシュアリティは合否のポイントになる?

・就職サイトにLGBTフレンドリーのロゴマークを入れる
・面接官向けにLGBTに関する研修を行う

「セクシュアリティが合否のポイントになる会社は応募しない!」という意見も。
確かにそうですよね!セクシュアリティが合否のポイントにならないのであれば、それがわかるようにしてほしいという意見が出ていました。

社員証、メールアドレス、名刺を通称名にしたい

・受付に虹色のものを置くなど、LGBTフレンドリーであることを社内外に表明する

このテーマでは通称名を使えるようにすることを前提に、通称名を使いたいと考えている方が安心して応募できるように、LGBTフレンドリーであることを社内外に表明してはという意見が出ていました。

相談窓口があれば相談しやすいのに設置されていない

・周りが自然な形でセクシュアルマイノリティを受け入れる社風にする
・目安箱を設置する

セクシュアリティに関わる悩みは、上司には相談しにくいという意見がありました。
また、LGBTダイバーシティについては、経営者が経営課題だと認識することが重要だという意見も。そのために目安箱を設置し、社員の声を経営者に届けたいということでした。

プライベートの話をしたくないので、会社の飲み会に参加したくない

・ニュートラルな表現(彼氏・彼女ではなくパートナーというなど)を使う
・単なる飲み会ではなく、ライブに行く、○○を食べに行くなど、会ごとにテーマを設定する(テーマを設定すればプライベートの話になりすぎないのでは?とのこと)

「飲み会に行かないという選択も意思の表れ。行きたくないけれどそれを言えない状況が問題だと思う」という意見から、ニュートラルな表現を使うようにしては、というお話でした。
テーマを設定するという意見も、なかなかおもしろいですよね!

まとめ

今回のイベントには、セクシュアリティも年齢層もバックグラウンドも様々な方が参加されていました。そのため、様々な立場からの意見が出ており、ディスカッションはとても盛り上がっていました。
企業の方からは、LGBT当事者の方や、学生さんの意見がとても参考になったという意見もありました。

LGBT当事者の方が働きやすい環境を整えるためには、アライの存在が大きいのではないでしょうか。
LGBT当事者と非当事者が交流できるこのようなイベントは、とても意味があるものだと感じました。

カミングアウトのきっかけは、TOKYO RAINBOW PRIDE

LGBT当事者、アライによるレポートシリーズ。 今回はカミングアウトのきっかけです。

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私は、家族や友人知人など、周りにいるほとんどの人にカミングアウトしています。
なぜカミングアウトしようと思ったのか、きっかけはTOKYO RAINBOW PRIDE2016でした。

それまでの私は、自分のセクシュアリティを堂々と言えるような勇気を持った人ではありませんでした。
確実に受け入れてくれるであろう人だけにカミングアウトをしていたので、私のセクシュアリティを知る人はほんのわずかでした。
恐らく多くのセクシュアルマイノリティの方が、当時の私のように「言えない状態」にあるのだと思います。

しかし私は、TOKYO RAINBOW PRIDE2016のステージをみたことで、考えが変わりました。

様々なセクシュアリティの人々が何も恐れず人前に出て輝いていました。
中でも私と同じFTMの出演者はかなり勇気のいるパフォーマンスをしていました。そんな彼が発したメッセージが「今変われ」でした。

その時初めて、「私は独りじゃないんだ」と心から思うことができました。
当事者が当事者に励まされることがこんなにも心強いものだとは思いもしませんでした。

「自分もあの人みたいになりたい」と思い、私はその日の帰りに自分のセクシュアリティと考えに考え抜いた想いを文章にしてTwitterで拡散しました。

今までは人前を恐れていたけれど、もう嫌われたって仲間をみつけられたから大丈夫なのだと心から思うことができた結果です。

Twitterでの私の発言に、嫌なことを言う人はいませんでした。

むしろ私の予想を超えた温かい反応が多く返ってきました。

多くの人々から受け入れられた私は、今では病院でLGBT関連の講演会をしたり、大学で初のLGBTサークルを設立しています。
私は「自分でいていいんだ」と思うことができたからクリエイティブになることができました。

次に私が目指すのは、あのステージの上で応援してくれた憧れの人のように、自分も人前に出るセクシュアルマイノリティにとして、今後は多くの人から憧れを持ってもらえる存在になることです。

ベラルーシが、LGBTコミュニティーの権利を阻止

ベラルーシ率いる17か国のグループは、国連が策定したLGBTコミュニティーの権利を含む新たな都市戦略計画を阻止しようとしています。

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ベラルーシってどんな国?

ベラルーシという国はヨーロッパ最後の独裁国家と呼ばれており、ルカシェンコ大統領が1994年以来、その座に就き続けている国家です。

そんなベラルーシでは2010年5月15日、ゲイ・イベント「スラヴィック・プライド」のプライド・マーチが、警察によって強制的に阻止されたこともありました。

そんなベラルーシが、国連が策定したLGBTコミュニティーの権利を含む新たな都市戦略計画を阻止しようとしています。

ベラルーシが率いるグループには、バングラデシュ、マレーシア、ナイジェリア、サウジアラビア、ソマリア、イラン、ジンバブエなどが含まれています。

このグループが都市戦略計画を阻止しようとしている理由としては、下記の通り発表しています。

「我々は、人権が女性と男性子どもや高齢者、障害のある人くを家庭環境内で守られなければない」(=LGBTは家庭環境内で守られるべき対象ではないという意味)

これに対し、カナダのバンクーバーの元市長であるエレン・ウッズワース氏は、以下のように述べています。

「ベラルーシ率いる17か国のグループの発表を最初に聞いた時はショックを受けました。
セクシュアリティで差別することを保護すべきではありません」

※エレン・ウッズワース氏
女性のための都市国際社会変革会議の議長で、文書内に同性愛者の権利を保護することを推した、最初のカナダ人。

まとめ

2015年にロシアが国連内での同性愛者の権利を制限しようとしたことがありました。
ベラルーシの動きに、ロシアもサポートしていると言われています。
今後の動きにも注目です。

どうする同性カップルの遺産相続

同性婚が認められていない日本において、同性カップルはたびたび法律上の壁に直面します。

その大きなひとつが、遺産相続の問題です。法的に結婚関係にない同性カップルがお互いの遺産を相続したいと考えたときに、そこにはどんな障害があって、どんな対策が取れるのか。
代表的なケースについて、考えてみましょう。

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日本の遺産相続制度

まず、日本における遺産相続制度について見てみましょう。
遺言などが何もない状態で半自動的に遺産を受け取ることができる人を、法定相続人と呼びます。
一番優先されるのは配偶者で、全体の半分以上を受け取ることができます。次が直系の子どもや孫、さらに直系の父母や祖父母世代、兄弟姉妹と続きます。特に問題がなければ、遺産は彼らに順次配分されます。

しかし、同性カップルの場合、パートナーはこのどの枠にも入ることができません。同性婚のシステムがない以上、パートナーは法的な配偶者にはなりえないのです。
なので、法的結婚関係にないカップルは、また別に手段を講じる必要があります。

遺言を書く

遺産相続において、法定相続人よりも優先されるのが遺言書の記述です。遺言書に名前と分配分を書いておけば、法定相続人ではない相手にも遺産を相続することができるのです。

他にも生前贈与を利用したり養子縁組を行うなどの手段が考えられますが、同性カップルがパートナーに遺産を分配したいと考えた場合、この方法がもっとも確実かつ手軽であると思います。

その上で、注意すべきことは大きく2点です。
まず、同性のパートナーは正式な配偶者ではないため、相続税の控除を申請できないこと。2016年現在、婚姻関係にないパートナーへの遺産は単なる遺贈とみなされ、相続税がかかるようになっています。

もう1つは、遺留分を考慮しておくことです。
遺産には、法的相続人が最低限相続できると決められている遺留分が存在しており、それは遺言書の適用範囲外とされてしまいます。親兄弟に理解があれば話がスムーズに進むかもしれませんが、もしパートナーに対して理解をしてもらっていなかった場合、争いの元となる恐れがあります。

そのことも考慮し、遺留分を考慮した遺言書をあらかじめ作成しておくなどの対策が必要になってきます。

法的な壁を、できるだけ超える努力

同性パートナーを中心に、LGBTカップルには様々な法的な壁が立ちはだかっています。制度の改正がなされるのが一番の解決ではありますが、まだまだそれは難しい話。なので、それらをできるだけかわしていく手段を考えることがパートナーとの幸せの近道になるのです。