台湾で、同性婚を合法化する法案が早ければ年内にも立法院(国会)に提案される見通しです。成立すればアジア初となります。
台湾はLGBTへの対応が最も進んでいる
台湾は、LGBT(セクシュアルマイノリティ/性的少数者)への権利擁護ではアジアで最も進んでいると言われています。
実際に台北の街では同性で手をつないで楽しそうに歩くカップルをたくさんいます。周囲の人たちも気にとめる様子はありません。
2006年4月に台湾の女性団体が6,439人を対象にした調査では、75%の人々が同性間のリレーションシップに対して「認める」と回答し、早くから同性カップルに対して寛容なムードがあります。
職場や学校での性的指向に基づく差別は禁じられ、台北や高雄など主要都市では法的拘束力はないものの同性カップルをパートナーと認める取り組みが始まっています。
このように理解が広がっている背景には台湾の歴史が関わっています。
台湾では、第二次大戦後、中国大陸からやって来た国民党政府が長らく戒厳令を敷き、無実の罪で投獄される人が相次ぐ暗い時代が続きました。
今年5月に女性として初めて台湾総統に就任した蔡英文氏が属する民主進歩党(民進党)は、1986年に国民党に対する抵抗勢力として誕生しました。
LGBT政策は自由と人権、多様な価値観を尊重する「民主化後の台湾社会」を象徴する政治的課題であり、台湾の主体性を重視する立場からすれば、人権抑圧が続く中国との違いを明確に打ち出せるテーマでもあります。
蔡英文氏は、自身のフェイスブックで「愛の前には誰もが平等、私は婚姻の平等の権利を支持します」と同性婚支持を明確にしています。
同性婚を合法化する法案は2013年にも立法院に提出されましたが、委員会レベルで挫折しています。
しかし、今年1月に民進党が選挙で立法院の定数113のうち68議席を獲得し初めて過半数を制しました。LGBT支援を掲げる新党「時代力量」も5議席を得ており、同性婚の合法化が進むとみられています。
改正法案には、同性のカップルを結婚したカップルとして登録することや、財産や不動産の相続、代理親契約などの権利を明記することが検討されています。
同性婚への支持の高まりは世論調査にも表れている
台湾の司法省がインターネットを通じて昨年実施した世論調査では、同性婚の合法化を支持するという回答が71%に上り、それまでの調査よりもさらに増えました。
台湾のマクドナルドは若い男性が自分の父親にカミングアウトするCMを流しました。宗教団体からの反発はありましたが、世論調査では好感度は高く、3月4日にYoutubeに投稿されて以来、支持は9,600件、不支持は600件にとどまっています。
日本からも近い台湾でこのような動きが起こっていることは大変興味深いですね。もちろん政治的な思惑が大きくからんでいるのですが、ぜひ合法化して欲しいと思います。
こあせんせー
この記事を書いた人
こあせんせー
早稲田大学法学部卒のストレートアライ。
時事ネタ、法律関係が得意。趣味は将棋とモノポリー。