セクシュアルマイノリティと災害

LGBT当事者もしくはアライによるレポート。
今回はセクシュアルマイノリティと災害です。

2011年3月11日、東日本大震災が起きました。この地震で、多くの人が亡くなり、負傷し、さまざまなかけがえのないものを失いました。被災した地域にも、もちろんLGBTは存在します。
しかし、小さな地域の中でLGBTであることが周囲に知られた際に家族や友人から拒絶されたり、仕事や住む場所を失ったり、地域から孤立・排除されるなどの可能性を恐れて、自分が何者であるかということの一部を懸命に隠して生活せざるを得ないと感じているLGBTが多いのが現状です。

トランスジェンダーの場合

トランスジェンダーは、仮設トイレや風呂の使用の際に、「不審者」のような目で見られることもあるようです。

また、トランスジェンダーでホルモン治療を行っていた人の場合、震災により病院に通うことができなくなって治療が止まってしまうと、体調不良になる可能性もあります。

パートナーの死亡が知らされない

現在の日本では法的に同性のカップルは認知されていません。
そのため、同性カップルのどちらかが地震の被害で亡くなったといても、それがパートナーに知らされることはありません。

周りの人たちに「パートナー」として紹介などしていて、それが広まっていたら行方不明になっていたとしても人づてに会うことができたり、安否を確認できるかもしれませんが、地方の場合だとそもそも「パートナー」として紹介している人が少ないため、相手の生存が確認しにくかったり、面会しづらいこともあります。

仮設住宅に入居できない

仮設住宅は世帯単位での入居が原則です。
そのため、法的に「家族」と認められない同性パートナーは、例え何十年も連れ添っていたとしても、現在の日本の制度と環境では、今回のような災害で仮設住宅での生活を余儀なくされてもともに暮らすことは困難なのです。

課題

日本はとても地震が多く発生する国です。
大きな地震はいつ自分の地域で起こってもおかしくありません。そのため、地震について備えておく必要性があります。あらかじめ、パートナーと地震が発生した際の集合場所や連絡手段を決めておくなど、話し合っておくと良いでしょう。また、国としても地震に際してのLGBTに対する取り組みについてもっと対策を進めていくべきだと思います。