ゲイのレフリーが罵倒され引退
ヘスス・トミジェロはスペイン人で初めてゲイとカミングアウトしているサッカーのレフリーです。
ヘスス・トミジェロがレフリーを務めた、CDラサールとアトレンティコ・サバル(どちらもスペインのサッカーチーム)の試合で事件は起こりました。
出典 ヘスス・トミジェロtwitter
ヘスス・トミジェロがラサール側のファールを判定した際、ラサール側のサポーターの一人が「ゲイは出ていけ!」と罵声を浴びせたのです。
その場で試合は一旦中断され、そのサポーターは退出させられました。
しかし、サポーターは会場内に戻ってきて「You fucking faggot(クソホモ野郎)」と叫んだそうです。
試合後も非難が…
試合後、SNS上ではヘスス・トミジェロの判定への非難は続きました。
「クソ野郎。お前のせいで試合は台無しだ。お前のことはエイズで殺してやる、ホモ野郎」といったコメントや、銃と弾丸の写真と共に「早く死んでしまえ、ホモ野郎。」といったコメントもありました。
ヘスス・トミジェロによれば、試合で何があったのか、詳細にネットに投稿してから罵声はさらに強まったと言います。
自宅に「俺のボスはお前の首に賞金を懸けている。心の準備をしておけよ、ホモ野郎。」とメッセージが添えられた銃と車の写真が届いたこともありました。
ヘスス・トミジェロはこうした多くの罵声にショックを受け、発作を起こすようになります。
自宅周辺を警察が24時間警備するようになりますが、「それでも何か起こるのではないか怖くてたまらなかった」と話しています。
しかし、この時はまだレフリーをやめるつもりはなく、「自分のしたいことをする、どんな困難が待ち構えていても」と話していました。
しかしついに、罵声に耐えることができなくなり、彼はレフリーを引退することになりました。
ヘスス・トミジェロは「同性愛を嫌悪する人に中傷されるよりもつらいことは、大衆全員に笑われることだ」と話しています。
スペインはセクシュアルマイノリティに寛容?
スペインは1975年のジェネラル・フランコの死からセクシャルマイノリティに対して寛容であり、2005年にはヨーロッパで3番目に同性結婚を認めた国です。
3年前に行われた調査によると、国民の88%が同性愛を認めるべきだと答え、結果はヨーロッパで最も高い支持率となりました。
しかし、偏見や先入観はまだ問題として根付いています。
統計によると、マドリードでは同性愛者に対するヘイトクライムが2日に1回起こっているそうです。