「トランスジェンダーとして生きる」トランスジェンダー当事者によるレポート

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LGBT当事者もしくはアライによる「セクシュアリティ」に関するレポートを紹介するシリーズ。
今回のテーマは、トランスジェンダーです。

 

私は、トランスジェンダーです。
カウンセリングも受けておらず、未治癒ですが、自分自身ではトランスジェンダーだと確信しています。

小学校時代から自分の性別に違和感を覚え、スカートなどの女性らしい服装がとても嫌いでした。
兄や弟のように男の子の服装を好み、一人称も「俺」、髪も短く、祖母からは「もっと女らしくしなさい」と言われ続けました。

中学に入学すると女子の制服を着なければならず、どうして自分の望む格好をしてはいけないんだろうと、とても疑問に思いました。
また、自分の身体に第二次性徴が訪れ、胸が大きくなることや生理が来ることに苦痛を覚えました。
どうして自分は女なんだろう、男に生まれたかったと何度も思いました。

高校に入学すると、好きな人ができました。
同じ部活の女の子でした。意を決して告白すると、「同性で付き合うなんておかしい。無理だ」と言われました。

今までは、自分は少し人と違うだけで別におかしくないと思っていたのですが、その一言で「自分はおかしいんだ」「変なんだ」と自覚しました。
それ以来は、自分が女性を好きなこと、男性として生活したいことを隠して生きていこうと思いました。
自分を偽り、友達や家族に嘘をつき続ける事は苦痛でした。

大学に入学し、1年目は大学の寮で生活することになりました。
初めての共同生活に加え、周りは全員女性。お風呂も共同で、不安でいっぱいでした。

しかし、一緒に生活する中で友人ができ、私の話を親身になって聞いてくれる友人にカミングアウトしたいと思うようになりました。
私が男として生きたいこと、恋愛対象が女性で、彼女がいることをカミングアウトしました。

友人は驚いていましたが、受け入れてくれました。
友人の「あなたはそのままでいいんだよ」という言葉に励まされ、とても気持ちが楽になりました。

今まで、自分の性に対し違和感を覚え、自分を偽ることに苦しんできました。しかし、受け入れてくれる人、応援してくれている人もたくさんいることが分かり、自分らしく生きてもいいんだと思えるようになりました。
受け入れてくれて、そのままでいいと言ってくれた友人には感謝しています。

20歳の誕生日を機に両親にカミングアウトすることを決心し、
「俺は女性として生きていくことはできない。男として生きたい。だから成人式もスーツで出たい」
と、成人式1か月前に両親にカミングアウトしました。

両親は驚いていたものの、「自分の好きなように生きなさい」と受け入れてくれました。

まだまだ、自分の身体への違和感、周りからの差別や理解が得られないなど問題は多くありますが、たった1人の声でもLGBT当事者は救われると思います。

現在、私はより多くの人にLGBTについて知ってもらいたいと思い、大学のセクシュアルマイノリティサークルで活動をしています。
偏見は無知から始まるという考えから、LGBTとは何かを知ってもらえるよう文化祭での展示やワークショップを行っています。

いつか、LGBTという言葉が世界からなくなり、セクシュアリティに関わらず1人1人が尊重される世の中になればと心から願っています。

私自身もトランスジェンダーであることに引け目を感じず、胸を張って生きていきたいと思っています。