アイルランドの首都ダブリン市郊外にあるフェニックス・パークで、今年7月反同性愛のヘイトクライムの被害にあったIT エンジニアの男性マーチン・マリノウスキーさん(38)(偽名)が、アイルランドの国家警察を監視する独立の法定機関Garda Síochána Ombudsman Commissionに訴えを出しました。
7月に被害にあったヘイトクライムに関して警察からの調査を受けていた際、不適切な応対を受けたためだといいます。
“これは明確なヘイトクライムだ”
マリノウスキーさんは今年7月30日、ダブリン市郊外のフェニックス・パークで10代と思われる若者の集団に襲撃され暴行を受けました。
その最中、「ホモを殺せ!」など明らかに同性愛嫌悪に基づく中傷が聞こえたといいます。襲撃してきた少年たちは全員自転車に乗り、ゴルフ(フォルクスワーゲンの車種)に乗った年長の男たちに先導されていました。
マリノウスキーさんはたまたまそばを通りかかった男性に助けられマリノウスキーさんは一命を取り留めました。
「この襲撃は明確に同性愛嫌悪に基づく計画的なヘイトクライムだと確信してる」とマリノウスキーさんは言います。
警察によってさらに広がった「傷」
襲撃で負った身体的・精神的な傷は、警察による事件への対応でさらに広がってしまったとマリノウスキーさんは語ります。
事件の5日後、初めて警察に事件について調査を受けたとき、警察はヘイトクライムであることを疑うような質問を投げかけました。
マリノウスキーさんは警察の誰も自分の話を聞いてくれないのではないかと思ったといいます。
この予想は女性職員からの電話でさらに強まりました。
何か相手を刺激するようなことをしたのではないかと尋ねられたほか、性交渉のために男性に会いに来ていたのではないかと疑われたといいます。
さらに、後日マリノウスキーさん宅に警察から送られた個人情報も含むに書類には封さえされていませんでした。
マリノウスキーさんによる訴えに対し、アイルランド警察はコメントできないとしています。
マリノウスキーさんはポーランド出身。母国ポーランドで高まる外国人嫌悪と同性愛嫌悪がアイルランドに来た理由の1つ。
襲撃の1月前にダブリンに引っ越してきたばかりでした。
同性婚は合法化されたけれど…
昨年の国民投票で同性婚が合法化されたアイルランド。法律上は差別がなくなっても人々の意識の上ではまだまだ同性愛嫌悪が残っているのが現状です。
参照:the guardian